秘蔵ライブ(6) 「母」

今回は私の提供した「母」です。
これは私がYoutubeに初めて投稿した動画です。もう4年前になりますが、Youtubeを知り、こういう形で真理さんの名唱を多くの人に聴いてもらえれば、真理さんのうたのすばらしさを実際に知ってもらえると考え、手探りで作ったものです。
最初にどの曲を使うか、直ぐに決まりました。真理さんの実力を誰にも納得させることのできるインパクトを持った曲にしようと思ったのです。それが「母」でした。それには私自身の体験がありました。

これの元の音源は私の持っているオープンリールテープです。私が真理さんと”再会”したのは2003年でした。(この辺のことについては本編「空いっぱいの幸せ」をご覧下さい)しかしその時私が持っていたのはダンボール箱に眠っていた10本程度のカセットテープと2本のオープンリールテープだけでした。しかもオープンリールテープはデッキが故障していて聴けなかったのです。ところが幸い音響機器に詳しい知人が直してくれて、ようやく聴けるようになったのです。
そこで玉手箱を開けるような気持ちで胸をときめかせながら聴き始めました。順にいくつかの録音を聴いた後、この曲になりました。私は「母」という曲を知らなかったので全くイメージがなかったのですが、真理さんのうたに聴き入っているうちにぐんぐん気持ちが引き込まれ、そのうち身体がガタガタと勝手に震えてきました。聴き終わったあとしばらくはただ茫然としていましたが、その後、何か怒りのようなものがこみ上げてきました。「いったいこれだけのうたを歌える歌手がどれだけいるのか。それなのに世間は彼女のうたをまともに聴くこともせず、これほどの才能をつぶしてしまった!」そんな思いでしばらくは気持ちを沈めることができませんでした。

そんな体験から、真理さんの実力を誰にも納得させることのできるインパクトを持った曲としてこの曲を第一に考えたのです。
動画としては全く未熟なものでしたが投稿すると多くの人からコメントをいただきました。いずれも驚きを含んだものでした。再生数も現在65000ほどで、私の投稿したものの中では最も多いものの一つです。

それでは天地真理さんの熱唱をお聴きください。



いかがだったでしょうか?
ダイナミックな起伏と豊かな情感が深く心を捉え揺さぶります。公式、非公式、すべての録音を含めても天地真理さんの屈指の名唱の一つと言えると思います。

ところでこの動画に対していただいたコメントから「母」という曲が誰の曲かようやく分かりました。作詞、作曲は杉本真人さんなのですね。杉本さんはシンガーソングライターでもあり、作曲家として小柳ルミ子さんの「お久しぶりね」などのヒット曲もあります。最近では「吾亦紅」をご自分で歌って紅白にも出場されました。
そして若き日の杉本さんの初アルバム「あすふぁると」にこの「母」が収録されていたのです。また、その後、藍美代子さんが歌ってシングル発売もされました。

ところが不思議なことがあります。それは、真理さんがどのようにしてこの曲を知ったのかということです。
「あすふぁると」は1975年発売です。一方、お聴きいただいた真理さんの「母」の録音も同じ1975年の4月7日TBS「モーニングジャンボ」からのものです。(この番組の様子については前半後半に分けて投稿してありますのでご覧下さい)司会者とのやりとりからすると、この曲はすでに何回かステージで歌っているようです。そうすると常識的に考えて、真理さんがこのアルバムを聴いたとすれば2月以前です。ところが真理さんはこの年2月にはパリに約一ヶ月の一人旅に出かけています。1月も正月公演があったりして多忙であったはずです。当時同じステージで歌っていた「赤ちょうちん」とか「学校の先生」のようなヒット曲ならわかります。しかし「母」は当時(今でも)一般には知られていなかった曲です。それをどうして真理さんが知り取り上げたのでしょうか?

ここからは私の根拠のない推測ですが、真理さんは杉本さんのオリジナルのうたを聴いていないのではないでしょうか。真理さんは、聴かなくても楽譜さえあれば歌える人です。「水色の恋」もそうでした。この曲はスタッフが
(「あすふぁると」を聴いたかどうかはわかりませんが)楽譜を持ってきたのではないでしょうか。

杉本さんのオリジナルのうたをちょっとだけ聴いてみましょう。前にはYoutubeにあったのですが今はなくなっているので、アルバムの試聴からです。

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今の杉本さんとはかなり違って吉田拓郎によく似た感じです。曲調はフォークですね。
真理さんがこの杉本さんのオリジナルのうたを聴いていたとしたら、あんな劇的なうたになるでしょうか。
真理さんはそのすぐれた読譜力によって、音符の連なりの中に、作曲者自身さえ見えていなかった大きな音楽を読み取ってしまったのではないでしょうか。私にはそう思えてならないのですが。

なお藍美代子さんのうたは杉本さんのオリジナルに近い印象です。可憐な感じで比べて聴くと面白いのですが、やはりYoutubeからは削除されているようです。


※ NHKFM「ミュージックプラザ」(月曜 16:00~17:20)に「11月5日は天地真理特集を」とリクエストを出すたびに要望してきたのですが、残念ながら実現しませんでした。
そこでその代わりに11月5日はこのブログでネット版「天地真理誕生日スペシャル」をやりたいと思います。
それらしくしたいので、私が勝手に作るのではなく、皆さんからのリクエストを募集します。ぜひ聴きたい、聴いてもらいたい天地真理さんの1曲(オリジナル、カバーを問わず)をお知らせください。なお、リクエスト曲はYoutubeの動画で見られるものからお願いします。その動画のURL,そして一言メッセージもそえてメールでamhikokigumo@gmail.comまでお願いします。(10月31日まで)
なお、本当の「ミュージックプラザ」では11月5日は「秋のリクエスト特集」だそうですから、こちらもどんどんリクエストしましょう。


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No title

いい歌ですね。

天地真理は紛れも無く歌手でした。

Re: No title

酩酊居士さん
コメントありがとうございます。

当時、日本中で天地真理さんを知らない人はいなかったと思うのですが、私にとっては“自分の耳で発見した歌手”でした。それまで私が親しんでいたクラシックの分野でも“自分の耳で発見したピアニスト”とか“自分の耳で発見した指揮者”とかいましたが、どういうわけか、私が“発見”した人たちは一般的には人気のない人たちばかりでした。だからむしろ私は「この人の価値は自分だけが知っている」と愛着を持っていたのです。
その意味では天地真理さんは私が“発見”した人の中で唯一世間でも人気を得た人です。それも超弩級の。つまり、天地真理さんは芸術的に優れたものと大衆的な魅力とを兼ね備えていたということだと思います。

神がかりの名唱

こんにちは、bellwoodです。
昨年、YouTubeで真理さんを“再発見”した私ですが、この神がかりの名唱を初めて聴かせていただいた時の衝撃と感動は忘れられません。なるほど真理さんがこの曲をカバーした経緯には謎が多いようですが、とにもかくにも完全に自分のものとして昇華して歌っており、彼女の表現力の幅の広さと奥行きの深さに改めて驚かされます。こうした曲をこのように歌いこなす実力があったからこそ、対極にあるあの無類の明るさや楽しさが表現できたのではないでしょうか。
知人が『もしかすると真理さんは、まだまだ「天地真理」を全部出し切ってはいなかったのではないか?我々が目にする事が出来なかった「天地真理の魅力と才能」が、まだまだ沢山あったのではないか』と言っていましたが、この熱唱を聴いていると確かにそんな気がしてきますね。

Re: 神がかりの名唱

bellwoodさん
コメントありがとうございます。

“神がかりの名唱”という表現、まさにそうですね。本文に書いたとおり、私も最初に聴いた時の“衝撃と感動”は今もこのうたを聴くたびに甦ってきます。

>こうした曲をこのように歌いこなす実力があったからこそ、対極にあるあの無類の明るさや楽しさが表現できたのではないでしょうか。

その通りだと思います。彼女は一連の大ヒット曲のような明るい曲でも巧みに表情を工夫して歌っているのです。ただそれがあまりに自然なためにすぐには気気付かれないのですね。

> 真理さんは、まだまだ「天地真理」を全部出し切ってはいなかったのではないか?

もしあのアクシデントがなく、歌手として活動を続けていたらどんなうたを聴かせてくれただろうか、私もそんなことを考えることがあります。
でも、残された録音によってすばらしい歌の数々を聴くことができる、そのことに感謝したいと思っています。

※ bellwoodさんもよろしかったらリクエストをお寄せください。

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