秘蔵ライブ(2) 「OtherWise」と「小さな私」
秘蔵ライブシリーズ第2回
Youtubeでは真理さんのデビュー前の貴重な録音を聴くことができます。
まず一つは「OtherWise」。
真理さんは国立音楽大学付属高校卒業後、ヤマハのヴォーカルスクールに通い、ジャズシンガー マーサ三宅さんの指導を受けていました。またヴォーカルスクール生でグループを組んでの活動もあったようです。そんな縁のためか、その年(1970年)の’70作曲コンクール(翌年からは「ヤマハポピュラーソングコンテスト」)に「斉藤マリ」名で"譜面歌手"として出場しました。"譜面歌手"とはどういうものか、私も正確には知りませんが、応募者から特に歌手の指定がない場合に歌う歌手のことではないかと推測しています。
ともかく、その時歌ったのが「OtherWise」です。作詞・作曲者はJune Chunさん。歌詞についてはこちらをご覧ください。コメントもご覧になると3人の方が意見を交換しながら翻訳に取り組まれた様子がわかります。今読んでも素晴らしい過程でした。June Chunさんについてもそのコメントの中にヒントがありますのでご覧ください。
この曲の動画は現在Youtubeでは見られなくなっているのが残念ですが、高校を卒業したばかりの無名のアマチュア歌手とは思えない堂々とした歌いぶりです。弘田三枝子、赤い鳥、尾崎紀世彦、本田路津子、ジェリー藤尾といったそうそうたるプロ歌手に混じって臆することなく歌っています。(何とか動画を見られるようにしようと試みたのですが、やはりだめなようです)
声はすでに「天地真理」の声ですが、歌い方はジャズ風ではないでしょうか。私はジャズについては知識がないので漠然とした印象で言っているのですが、やはりマーサ三宅さんの影響があるのではないでしょうか。ファーストアルバムに「尊敬する歌手」としてナンシー・ウィルソンを挙げているのもそのためのようです。その後の真理さんは公開の場ではジャズはあまり歌わなかったのでこういうスタイルのうたは、その意味でも貴重です。
次は「小さな私」です。これも’70作曲コンクール応募作で「OTHERWISE」と同じステージで歌われました。歌ったのは藤田とし子さんですが、作詞は田上えりさん、作曲は田上みどりさんです。つまりこの曲が後に天地真理さんのデビュー曲となる「水色の恋」の原曲なのです。
真理さんがこの曲に出会ったのは、ヤマハヴォーカルスクールのレッスン室だったようです。そこにコンクール応募曲の楽譜が置いてあり、その中の「小さな私」に心ひかれて、自分で歌うようになったのです。そして、ソニーのオーディションでもこの曲を歌い、他に候補曲もあったが結局これがデビュー曲になったのです。
そう言う経過から、私はこの「小さな私」と「水色の恋」が題名だけ変えた同じ曲だと思っていました。ところが2010年5月に健太さんと言う方から「さいとうまり」さんがTBSの「ヤング720」で「小さな私」と言う曲を歌っているテープがあるというコメントをいただき、その一部をいただいてYoutubeにUPしました。(詳しい経過はこちらをご覧ください)
その後多くの人にご覧いただいて、現在、再生数は10万回を超え、真理さんの非公式音源としては最多となっています。それは一つには真理さんのルーツに関心があるからと言えるでしょう。そしてもう一つは、やはりここでの真理さんの初々しい歌声の魅力でしょう。
ここでの真理さんの歌い方はまったくフォーク調で、ほぼ同じ時期のはずなのに「OtherWise」とはかなり違う歌い方です。
「OtherWise」がコンクールへの応募曲に合わせた歌い方だとすれば、「小さな私」は真理さんが"自分の歌"にして歌っていると言えるのかもしれません。
お聴きになってわかるように「水色の恋」とは少し違います。この違いが曲そのものの違いなのか、歌い方の違いなのか、もう少し後(「あなたの姿、あなたの声が」)まで聴かないと判断できませんが、今聴けるのはここまでです。
最近のインタビューで真理さんは、この時は「(田上えりさん・みどりさんの曲を)たぶん変えていない」と言っていますが、曲そのものがどう変わったかはともかくとして、実際に聴く限りかなり自由に歌っているように思えます。
デビュー後のような表情の細やかさはないものの、心のおもむくままのびのびと歌っているのが何よりの魅力です。
アーカイブ(過去記事)へ 「空いっぱいの幸せ」INDEXへ
コメントは掲載までに多少時間がかかることがあります。しばらくお待ちください。
Youtubeでは真理さんのデビュー前の貴重な録音を聴くことができます。
まず一つは「OtherWise」。
真理さんは国立音楽大学付属高校卒業後、ヤマハのヴォーカルスクールに通い、ジャズシンガー マーサ三宅さんの指導を受けていました。またヴォーカルスクール生でグループを組んでの活動もあったようです。そんな縁のためか、その年(1970年)の’70作曲コンクール(翌年からは「ヤマハポピュラーソングコンテスト」)に「斉藤マリ」名で"譜面歌手"として出場しました。"譜面歌手"とはどういうものか、私も正確には知りませんが、応募者から特に歌手の指定がない場合に歌う歌手のことではないかと推測しています。
ともかく、その時歌ったのが「OtherWise」です。作詞・作曲者はJune Chunさん。歌詞についてはこちらをご覧ください。コメントもご覧になると3人の方が意見を交換しながら翻訳に取り組まれた様子がわかります。今読んでも素晴らしい過程でした。June Chunさんについてもそのコメントの中にヒントがありますのでご覧ください。
この曲の動画は現在Youtubeでは見られなくなっているのが残念ですが、高校を卒業したばかりの無名のアマチュア歌手とは思えない堂々とした歌いぶりです。弘田三枝子、赤い鳥、尾崎紀世彦、本田路津子、ジェリー藤尾といったそうそうたるプロ歌手に混じって臆することなく歌っています。(何とか動画を見られるようにしようと試みたのですが、やはりだめなようです)
声はすでに「天地真理」の声ですが、歌い方はジャズ風ではないでしょうか。私はジャズについては知識がないので漠然とした印象で言っているのですが、やはりマーサ三宅さんの影響があるのではないでしょうか。ファーストアルバムに「尊敬する歌手」としてナンシー・ウィルソンを挙げているのもそのためのようです。その後の真理さんは公開の場ではジャズはあまり歌わなかったのでこういうスタイルのうたは、その意味でも貴重です。
次は「小さな私」です。これも’70作曲コンクール応募作で「OTHERWISE」と同じステージで歌われました。歌ったのは藤田とし子さんですが、作詞は田上えりさん、作曲は田上みどりさんです。つまりこの曲が後に天地真理さんのデビュー曲となる「水色の恋」の原曲なのです。
真理さんがこの曲に出会ったのは、ヤマハヴォーカルスクールのレッスン室だったようです。そこにコンクール応募曲の楽譜が置いてあり、その中の「小さな私」に心ひかれて、自分で歌うようになったのです。そして、ソニーのオーディションでもこの曲を歌い、他に候補曲もあったが結局これがデビュー曲になったのです。
そう言う経過から、私はこの「小さな私」と「水色の恋」が題名だけ変えた同じ曲だと思っていました。ところが2010年5月に健太さんと言う方から「さいとうまり」さんがTBSの「ヤング720」で「小さな私」と言う曲を歌っているテープがあるというコメントをいただき、その一部をいただいてYoutubeにUPしました。(詳しい経過はこちらをご覧ください)
その後多くの人にご覧いただいて、現在、再生数は10万回を超え、真理さんの非公式音源としては最多となっています。それは一つには真理さんのルーツに関心があるからと言えるでしょう。そしてもう一つは、やはりここでの真理さんの初々しい歌声の魅力でしょう。
ここでの真理さんの歌い方はまったくフォーク調で、ほぼ同じ時期のはずなのに「OtherWise」とはかなり違う歌い方です。
「OtherWise」がコンクールへの応募曲に合わせた歌い方だとすれば、「小さな私」は真理さんが"自分の歌"にして歌っていると言えるのかもしれません。
お聴きになってわかるように「水色の恋」とは少し違います。この違いが曲そのものの違いなのか、歌い方の違いなのか、もう少し後(「あなたの姿、あなたの声が」)まで聴かないと判断できませんが、今聴けるのはここまでです。
最近のインタビューで真理さんは、この時は「(田上えりさん・みどりさんの曲を)たぶん変えていない」と言っていますが、曲そのものがどう変わったかはともかくとして、実際に聴く限りかなり自由に歌っているように思えます。
デビュー後のような表情の細やかさはないものの、心のおもむくままのびのびと歌っているのが何よりの魅力です。
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