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打ち切られたシングル

前々回、アルバム「恋と海とTシャツと」以降、ライブ盤の発売ということもあって、それまでのヒット曲を中心としたアルバムが作られず、その間録音されたオリジナル曲がアルバムに収録されないまま多くの曲がお蔵入りになってしまったということに触れました。それは時期的には1974年秋から1975年春で、シングルでは「想い出のセレナーデ」「木枯らしの舗道」「愛のアルバム」の”哀愁路線”3部作の頃となります。結果として見れば天地真理さんの歌手人生の大きな曲がり角になった時期です。
「想い出のセレナーデ」はオリコン4位のヒットとなり、数字的には”大人”の歌手への脱皮に成功したように見えました。しかし次の「木枯らしの舗道」は彼女としては初めてベスト10に入れず人気の低下がはっきりと現れてきました。「想い出のセレナーデ」は曲調の目新しさもあってそこそこヒットしましたが、一方で笑顔を見せない極端な演出が年少ファンに違和感を抱かせたのは事実でしょう。ちょうどこの頃は高1(?)トリオなどもっと若いアイドル歌手が次々と現れてきた頃ですから、年少ファンが年代的に近いそれらのアイドルにより親近感を持つようになっても不思議ではなかったところに、「木枯らしの舗道」でさらに暗めの曲調が続くと一気に”天地真理離れ”を起こしたということではないでしょうか。しかもちょうどその時、真理さんはフランスへのひとり旅に出てしまい、同行男性とのゴシップ(実際には虚偽)が週刊誌などで盛んに報道され、男性ファンの中には離れるきっかけになった人もいたでしょう。そしてそれ以上に、1か月近くテレビの画面に姿を現さなかったことはかなりのマイナス要因になったのではないでしょうか。このフランスひとり旅については以前の記事で触れましたが、真理さんにとっては人間的にとても大きな経験であったと思います。しかしこのブランクは、人気の絶頂期であれば何でもなく乗り切ったと思いますが、下降局面では大きなダメージでした。
しかし回復のチャンスがなかったわけではなかったのです。帰国後の新曲「愛のアルバム」は発売に向けての強力なプロモートが十分にできなかったため出足は低調でしたが、じわじわと上昇傾向になり、オリコンでは15位に達します。雑誌「週刊FM」5月19日号では「シクラメンのかほり」「我良き友よ」に次いで3位に食い込んできています。

愛のアルバム3位

1つの雑誌のベスト10ですから全体傾向を表しているとは言えないかもしれませんが、おそらく投票による順位ではないかと思うので、いわば「火が付いた」状態に入ってきたと言えるのではないでしょうか。このままいけばオリコンランクでもベスト10内に回復が可能だったのではないかと私は思っているのです。
ところがソニーは5月21日、次のシングル「初めての涙」を発売してしまいます。上の「週刊FM」から1週間ほど後です。ここで混乱が生じます。当時、人気歌手の場合、シングルの発売間隔は約3か月で、「愛のアルバム」は4月1日発売ですからまだ一か月半しか経っていないし、やや時間がかかったもののようやく上昇軌道に乗ってきたところで、ファンも「さあ、これから」と思っていたところで突然新曲が発売されたのです。
私は元々真理さんの<うた>を高く評価していましたが、特にファン活動をすることはなく、この時期はもうすでに就職していましたから真理さんに関する情報にも疎くなっていました。ですからこの時、「愛のアルバム」と「初めての涙」とどちらがメインの曲なのか戸惑ってしまったのです。ファンクラブの会員ならわかっていたのかもしれませんが、一般の人は私と同じような人が多かったのではないでしょうか。
ソニーはおそらく、発売と同時に売り上げが伸びていくそれまでの真理さんのパターンから考えて、なかなか売り上げが上がってこない「愛のアルバム」を見限って、6月のミュージカルに関心を高めるために「初めての涙」の発売に踏み切ったのではないでしょうか。ところが通常であればフェードアウトしていくはずの「愛のアルバム」が逆に伸びてきて、どちらがメインなのかわからなくなるという現象が生じたわけです。しかし新曲は「初めての涙」なので「愛のアルバム」はピークで打ち切られ、オリコン15位で終ってしまったのです。では「初めての涙」はどうかというと、こちらもヒットとはいいがたく結局オリコン26位で終わっています。
つまり「愛のアルバム」をむりやり打ち切ったことでファンの中に「どちらを応援したらいいのか」という混乱が生じ、「初めての涙」も振るわないまま終わって、共倒れになってしまった、というのが私の見方です。ソニーがもう少しじっくり構えて「愛のアルバム」をプッシュし続けたら「初めての涙」もかえって伸びたのではないかとも思います。もちろん何の根拠もないタラレバ話ですが、この時のことはとても不可解な出来事として記憶に残っているので紹介してみました。



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歌謡ベスト10

多くの芸能週刊誌がオリコン転載でしたが,
ここでの「歌謡曲ベスト10」というのは
コーセー「歌謡ベスト10」ではないか,確認できませんか?

19750517に3位になってます.
番組情報誌が投票結果を先取りというのは無いでしょうが,
19750517放送の結果を19750519号に載せるのなら有りかなと.

歌謡ベスト10
19750329 20位
19750405 15位
19750412 14位
19750419 11位
19750426 4位
19750503 2位
19750510 2位
19750517 3位 →? 19750519 週刊FM 歌謡曲ベスト10 3位
19750524 3位
19750531 6位
19750607 13位

Re: 歌謡ベスト10

mariminafanさん
コメントありがとうございます。

>ここでの「歌謡曲ベスト10」というのはコーセー「歌謡ベスト10」ではないか?
この「週刊FM」の画像はずいぶん前にネット上で見て保存しておいたものです。投稿者を控えておかなかったので、尋ねることはできません。該当の「週刊FM」を入手するのが確実でしょうが・・・。

コーセー「歌謡ベスト10」では早くに2位になっていたのですね。そうであればなおさら、「愛のアルバム」をプッシュしてほしかったと思います。もちろん、こうしたスケジュールは何か月も前から決められているのでしょうが、当時の真理さんの状況を考えれば、ここで踏ん張ってほしかったと思うのです。あくまでタラレバ話ですが・・・。

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