「私は歌手」聴いてみました
あけまして おめでとうございます
天地真理さんの新しいDVD/CDボックス「私は歌手」がクリスマスの日に届いたので早速聴いてみました。とはいっても、年末年始の忙しさで全部を聴いたわけではありません。当然、ほとんどはこれまで数えきれないくらい聴いた曲で、違いは音質くらいですからあわてることもないのでゆっくり聴いていくつもりです。しかし今回初めて聴けるようになった曲は一刻も早く聴きたくて、ディスク5をかけてみました。
それは期待以上にすばらしいものでした。40年以上の時を経てよみがえった真理さんの歌声は、たったいま録音されたばかりのようにみずみずしく新鮮でした。声がとても近くで聴こえ、生々しく感じられます。まるで真理さんがすぐそこで歌っているような感覚です。それが元々の録音のためか、今回のボックス共通の音質なのか、他のディスクを聴いてないのでわかりませんが、真理さんの声がみずみずしくくっきりと聴こえ、それが真理さんのうたの持つ多彩なニュアンスを豊かに伝えてくれています。
1曲目の「秋ふたたび」は真理さんのオリジナルではあまり似た曲調のものがないのではないかと思います。私は同じ森田公一さんの作品である小柳ルミ子さんの「春のおとずれ」を連想したのでYoutubeで探したら、何と真理ちゃんシリーズの1シーンらしき映像が見つかったので、本題ではありませんが貼っておきます。
こうして聴くと、この頃のルミ子さんは歌いすぎず抑制があっていいですね。真理さんのうたは発売されたばかりですからここでは紹介できません。お聴きになっていない方はぜひCDボックス「私は歌手」をお求めください。
本題に戻って「秋ふたたび」ですが、懐かしさが沁み出してくるようなうたですね。真理さんのうたはすみからすみまですべての言葉に想いがこもっています。表面は抑えながら芯には熱い想いがあって、それが次第に高まり最後にあふれ出てきます。聴く者の心に直接語りかけてくるようなうたですね。大好きになりました。
2曲目の「早春」は明るく軽快な曲ですが、歌詞からすれば寂しさを歌っています。加藤和彦さんはそこに敢えて明るい曲をつけました。そこに加藤さんの“天地真理観”を見ることができるような気がします。(もし“曲先”だとすれば山上路夫さんの“天地真理観”ですが) そして真理さんはそれに見事にこたえていますね。弾むような語尾(例えば「決めないで」「バスに乗り」)にも豊かな表情があり、それが繰り返されることで音のすべてに<心>が行き渡り、言葉の”意味”を脳が反芻しなくても真理さんの声自体が<陰影ある明るさ>を感じさせるのです。心弾ませながら涙がにじむという真理さんのうたの最良の表現がここでも聴けます。
3曲目の「若い合唱」はマーチ風の元気な曲ですね。当時よくあった青春ドラマの主題歌のような雰囲気です。作曲が川口真さんで「京都でひとり」と同じ頃の録音と言うことですから、どうしてこういう曲が作られたのかちょっと不思議です。でも真理さんが歌えば、元気いっぱいで威勢のいい歌ではなくて、生き生きとして美しいニュアンスが香る歌になるのです。全編、生気と楽しさに満ち、同時に一つ一つの言葉に豊かな表情がある、これもまた天地真理さんだけが歌えるうたと言えるでしょう。
4曲目は「想い出のセレナーデ」のアレンジ及び歌詞違い版です。本来は「青春のセレナーデ」というタイトルで「恋と海とTシャツと」のB面として企画されていたもので、編曲は馬飼野俊一さん。2番の後半の歌詞がシングル版とは違っています。
私は、聴き慣れた「想い出のセレナーデ」とだいぶ違う印象をもちました。アレンジを比べると、やはりシングル版の竜崎孝路さんのものの方が陰影がありこの曲にはふさわしいのではないかと思います。真理さんのうたも同様のことが言えそうです。歌詞もシングル版の方がよいと思います。こちらの歌詞では、それまで自分の心情を切々と歌っていたのに最後に突然第3者的な評論じみた内容になっていて非常に違和感があります。やはりシングル版の方が練られたという感じですね。とはいえ、それは比較の問題で、これはこれで十分楽しめるものです。
5曲目は「トルコ行進曲」です。予告で見てモーツァルトの「トルコ行進曲」だろうということはわかったのですが、スキャットなのか、ピアノ演奏なのか、どちらだろう?と思っていました。私とすれば真理さんのピアノ演奏でこの曲を聴きたいという気持ちがあったのでちょっと残念ですが、九段会館のコンサート(「オンステージ」に収録)で歌われた(?)スキャットでした。
この曲のスキャットと言うと由紀さおり・安田祥子姉妹のものが有名ですが、ボックスの解説によるとそれは1980年代に入ってのことで、真理さんはそれよりずっと早く、当時ヨーロッパで「スキャットの女王」として知られていたダニエル・リカーリにヒントを得たものではないかということです。そこで、ここでも真理さんのうたを紹介することはできないので、ダニエル・リカーリで聴いてみましょう。
(トルコ行進曲は12分11秒くらいからです)
これと比べてみると、真理さんの方はピアノ的だと思います。こちらはスキャットと言いながらかなり「歌って」いるのです。ピアノはある意味で打楽器なのですが、こちらは時々弦楽器的な動き(音と音がつながる)がありますね。つまり言葉はないけど歌っているのです。由紀・安田姉妹の場合でもそうです。ところが真理さんの場合、そういうところがほとんどありません。真理さんがこの曲をピアノで弾いたことがあるかどうかわかりませんが、ピアノで弾くように歌って(?)いるように思います。
ともかく真理さんの音楽的素養をうかがい知ることができるすばらしい演奏(歌唱?)です。また言葉がないために真理さんの声の美しさも純粋に聴くことができます。期待したピアノ演奏ではありませんでしたが十分に楽しむことができました。
このディスク5を聴いて、これほどの水準の録音がなぜこれまで陽の目を見ることがなかったのか、不思議でなりません。季節とか販売作戦とかいろいろの要素が重なったのでしょうが、ともかくこうして聴くことができて幸せです。同時に、まだまだ眠っている録音があるのではないかと期待も膨らみます。ぜひ徹底的な調査をして探し出してほしいものです。
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ところで、前回も報告しましたYoutubeでの動画のブロックですが、その後もますます拡大して、「フォーク歌手・天地真理①」「フォーク歌手・天地真理②」もブロックされてしまいました。ということは、真理さんの歌手としての素晴らしさをアピールしようとして私が計画していたシリーズそのものが見通しがなくなったということです。「私は歌手」の宣伝も兼ねている動画をソニー自身が妨害しているということになります。また、真理さんのうたのすばらしさを外国の人にも知ってもらおうと制作し、実際外国からのアクセスが6割を占めている 「O Marijana 」もブロックされてしまいました。そのほかにも私がこのブログの中で、限定公開で使った動画、たとえば真理さんが出演した「刑事君」の貴重な動画とか、聴き比べのために作った動画とかもたくさんブロックされています。
このことについてはいろいろの思いがありますが別の機会に回します。少し気落ちしていますが、今年もよろしくお願いします。
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コメントは掲載までに多少時間がかかることがあります。しばらくお待ちください。
天地真理さんの新しいDVD/CDボックス「私は歌手」がクリスマスの日に届いたので早速聴いてみました。とはいっても、年末年始の忙しさで全部を聴いたわけではありません。当然、ほとんどはこれまで数えきれないくらい聴いた曲で、違いは音質くらいですからあわてることもないのでゆっくり聴いていくつもりです。しかし今回初めて聴けるようになった曲は一刻も早く聴きたくて、ディスク5をかけてみました。
それは期待以上にすばらしいものでした。40年以上の時を経てよみがえった真理さんの歌声は、たったいま録音されたばかりのようにみずみずしく新鮮でした。声がとても近くで聴こえ、生々しく感じられます。まるで真理さんがすぐそこで歌っているような感覚です。それが元々の録音のためか、今回のボックス共通の音質なのか、他のディスクを聴いてないのでわかりませんが、真理さんの声がみずみずしくくっきりと聴こえ、それが真理さんのうたの持つ多彩なニュアンスを豊かに伝えてくれています。
1曲目の「秋ふたたび」は真理さんのオリジナルではあまり似た曲調のものがないのではないかと思います。私は同じ森田公一さんの作品である小柳ルミ子さんの「春のおとずれ」を連想したのでYoutubeで探したら、何と真理ちゃんシリーズの1シーンらしき映像が見つかったので、本題ではありませんが貼っておきます。
こうして聴くと、この頃のルミ子さんは歌いすぎず抑制があっていいですね。真理さんのうたは発売されたばかりですからここでは紹介できません。お聴きになっていない方はぜひCDボックス「私は歌手」をお求めください。
本題に戻って「秋ふたたび」ですが、懐かしさが沁み出してくるようなうたですね。真理さんのうたはすみからすみまですべての言葉に想いがこもっています。表面は抑えながら芯には熱い想いがあって、それが次第に高まり最後にあふれ出てきます。聴く者の心に直接語りかけてくるようなうたですね。大好きになりました。
2曲目の「早春」は明るく軽快な曲ですが、歌詞からすれば寂しさを歌っています。加藤和彦さんはそこに敢えて明るい曲をつけました。そこに加藤さんの“天地真理観”を見ることができるような気がします。(もし“曲先”だとすれば山上路夫さんの“天地真理観”ですが) そして真理さんはそれに見事にこたえていますね。弾むような語尾(例えば「決めないで」「バスに乗り」)にも豊かな表情があり、それが繰り返されることで音のすべてに<心>が行き渡り、言葉の”意味”を脳が反芻しなくても真理さんの声自体が<陰影ある明るさ>を感じさせるのです。心弾ませながら涙がにじむという真理さんのうたの最良の表現がここでも聴けます。
3曲目の「若い合唱」はマーチ風の元気な曲ですね。当時よくあった青春ドラマの主題歌のような雰囲気です。作曲が川口真さんで「京都でひとり」と同じ頃の録音と言うことですから、どうしてこういう曲が作られたのかちょっと不思議です。でも真理さんが歌えば、元気いっぱいで威勢のいい歌ではなくて、生き生きとして美しいニュアンスが香る歌になるのです。全編、生気と楽しさに満ち、同時に一つ一つの言葉に豊かな表情がある、これもまた天地真理さんだけが歌えるうたと言えるでしょう。
4曲目は「想い出のセレナーデ」のアレンジ及び歌詞違い版です。本来は「青春のセレナーデ」というタイトルで「恋と海とTシャツと」のB面として企画されていたもので、編曲は馬飼野俊一さん。2番の後半の歌詞がシングル版とは違っています。
私は、聴き慣れた「想い出のセレナーデ」とだいぶ違う印象をもちました。アレンジを比べると、やはりシングル版の竜崎孝路さんのものの方が陰影がありこの曲にはふさわしいのではないかと思います。真理さんのうたも同様のことが言えそうです。歌詞もシングル版の方がよいと思います。こちらの歌詞では、それまで自分の心情を切々と歌っていたのに最後に突然第3者的な評論じみた内容になっていて非常に違和感があります。やはりシングル版の方が練られたという感じですね。とはいえ、それは比較の問題で、これはこれで十分楽しめるものです。
5曲目は「トルコ行進曲」です。予告で見てモーツァルトの「トルコ行進曲」だろうということはわかったのですが、スキャットなのか、ピアノ演奏なのか、どちらだろう?と思っていました。私とすれば真理さんのピアノ演奏でこの曲を聴きたいという気持ちがあったのでちょっと残念ですが、九段会館のコンサート(「オンステージ」に収録)で歌われた(?)スキャットでした。
この曲のスキャットと言うと由紀さおり・安田祥子姉妹のものが有名ですが、ボックスの解説によるとそれは1980年代に入ってのことで、真理さんはそれよりずっと早く、当時ヨーロッパで「スキャットの女王」として知られていたダニエル・リカーリにヒントを得たものではないかということです。そこで、ここでも真理さんのうたを紹介することはできないので、ダニエル・リカーリで聴いてみましょう。
(トルコ行進曲は12分11秒くらいからです)
これと比べてみると、真理さんの方はピアノ的だと思います。こちらはスキャットと言いながらかなり「歌って」いるのです。ピアノはある意味で打楽器なのですが、こちらは時々弦楽器的な動き(音と音がつながる)がありますね。つまり言葉はないけど歌っているのです。由紀・安田姉妹の場合でもそうです。ところが真理さんの場合、そういうところがほとんどありません。真理さんがこの曲をピアノで弾いたことがあるかどうかわかりませんが、ピアノで弾くように歌って(?)いるように思います。
ともかく真理さんの音楽的素養をうかがい知ることができるすばらしい演奏(歌唱?)です。また言葉がないために真理さんの声の美しさも純粋に聴くことができます。期待したピアノ演奏ではありませんでしたが十分に楽しむことができました。
このディスク5を聴いて、これほどの水準の録音がなぜこれまで陽の目を見ることがなかったのか、不思議でなりません。季節とか販売作戦とかいろいろの要素が重なったのでしょうが、ともかくこうして聴くことができて幸せです。同時に、まだまだ眠っている録音があるのではないかと期待も膨らみます。ぜひ徹底的な調査をして探し出してほしいものです。
******************************
ところで、前回も報告しましたYoutubeでの動画のブロックですが、その後もますます拡大して、「フォーク歌手・天地真理①」「フォーク歌手・天地真理②」もブロックされてしまいました。ということは、真理さんの歌手としての素晴らしさをアピールしようとして私が計画していたシリーズそのものが見通しがなくなったということです。「私は歌手」の宣伝も兼ねている動画をソニー自身が妨害しているということになります。また、真理さんのうたのすばらしさを外国の人にも知ってもらおうと制作し、実際外国からのアクセスが6割を占めている 「O Marijana 」もブロックされてしまいました。そのほかにも私がこのブログの中で、限定公開で使った動画、たとえば真理さんが出演した「刑事君」の貴重な動画とか、聴き比べのために作った動画とかもたくさんブロックされています。
このことについてはいろいろの思いがありますが別の機会に回します。少し気落ちしていますが、今年もよろしくお願いします。
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