「物語」ではなく<うた>を
すでにしんりさんが紹介しておられますが、11月19日の朝日新聞土曜版be「もういちど流行歌:1972年8月の曲」の「読者のベスト15」で「ひとりじゃないの」が5位に入っています。この順位をどう見るか、いろいろ感想もおありだと思いますが、私は客観的な意味を持つものだとは思いません。このランキングは「朝日新聞デジタルの会員登録者を対象に10月下旬、アンケートを実施した」と書かれていて、世論調査のように無作為にアンケートを取ったような印象を受けますが、実際には「会員特典・プレゼント」という非常にわかりにくいところに突然告知され、いつの間にか締め切りになるというもので、それを探り当てた人しか投票できないのです。ですから私はこのランキングは全く意味のないものだと思っています。しかしこういう大きな記事に載る以上影響は大きいですから自分でも投票し、このブログでも呼びかけているのです。
しかし、今回のテーマはランキングそのものではなく別のことです。「もういちど流行歌」は毎回ある年ある月に流行していた1曲(及びそれを歌った歌手)をテーマとして取り上げています。最初に触れたランキングはその付録のようなものです。今まで1972、73年という真理さんの全盛期も登場していますが真理さんの歌がテーマとなったことはありません。真理さんの歌がランキング対象となっていた回で見ると、「赤い風船」「ひなげしの花」「あなた」「コーヒーショップで」「どうにもとまらない」といった曲です。編集者はどうしてこれらの曲を○年○月の「流行歌」の中から選んだのでしょう。オリコン1位の曲もありますがそうでない曲もあり、その月を代表すると言えるかどうか微妙なものもあります。そもそも取り上げる月自体編集者の恣意的な選択だと思います。結局「話題性」で選んでいるのでしょう。つまり記事にしやすい「物語」がある曲(というより歌手)を選んでいると言うことです。
そういう意味でいうと真理さんの曲は奇をてらったようなものはありませんし、真理さん自身も全くの素人からのシンデレラガールではなかったし、もちろん外国から来たわけでもない、(先駆者ではあったけれど)コンクールのグランプリでもないし、大変身を遂げた人でもない。だから、この編集者には記事にしにくい人なのかもしれません。もちろん“空前のアイドル”だったわけで十分話題性もあるのですから今後取り上げられる可能性はありますし、そうなってほしいと思います。ただもし真理さんの曲がこのシリーズで取り上げられるなら、ぜひ真理さんの<うた>そのものに触れてほしいと思います。
私が不思議なのは、マスコミなどが歌を取り上げるとき、いつも「話題性」や「物語」から歌を見ようとしることです。ラジオのリクエストでも「その歌に関する想い出やエピソードをお書きください」などと書かれています。私などは「想い出やエピソード」でリクエストしているわけではなく、すばらしい<うた>を聴きたいだけですから、こう書かれると戸惑ってしまいます。そういう「物語」なしに歌を語れないのでしょうか。
天地真理さんについても、マスコミやネットなど世間に出回っている言論は当時も今も圧倒的にこうした「物語」が多いのです。しかし、例えば文学だったら、その作品で何を感じたか、作者は何を描こうとしているのか、それはどういうところからそう言えるのか、どのような表現が読者にどんな印象を与えているのか、と言ったことがまず論じられるでしょう。歌についてもそうした論じ方をしてほしいと思うのです。
私がホームページ「空いっぱいの幸せ」やこのブログで歌(曲)について書いてきたのもそのような分析ですが、次の方々もそうです。
天地真理のこの透明感はどこから来るのでしょう?正直自分でも驚いていて混乱しています。なんという魅力でしょう。他の日本のアイドル歌手にはさほど関心が無いので聞きこんで比べてはいませんが、天地真理とその声には圧倒的な純粋さと透明感、ドラマと抑制感があると思います。この抑制感が多くの曲にいつまでも濁らない緊張感と透き通るような美しさを与えているのではないでしょうか。そしてそれは永遠に朽ちることはないと思われるほどです。初期のトップヒット曲はどれも背筋がぞっとするほどの迫力があると思います。決定力があるって言うか、ジャパニーズ・アイドル・ポップスの歴史的傑作としかいいようがない・・・。後期の秀作群はほんとに心に染みます。
ぼくは、過去への感傷や懐古の情を一切超えて、天地真理の歌声にジョン・バエズやカレン・カーペンターに比肩する普遍性を確信しています。 それは、あれから何十年もさまざまな音楽を聴き続けてきた今だか?らこそ自信を持っていえることなのかもしれません。 歌い崩しのない自然な歌い方、独特の歌空間ともいうべき声の広が?りの透明さ、込められたニュアンスの豊かさ、特に幸せの微粒子が?空間いっぱいに輝いて、人の心を優しく包み込むときの力強さは、他に類をみないです。 それが、なんの衒いも構えもなく心と一体になってごくごく自然に出てくるところが天地真理のものすごいところなのですよ。
文だけ保存してあったものでお名前も記録してありませんが、いずれも真理さんの<うた>の特質をそれぞれの言葉でよく表現されていると思います。マスコミやネットでもこのような分析が広がってほしいと思います。
最後に誤解のないよう重ねて言います。「もういちど流行歌」のランキングは客観性がないと言いましたが、内容はともかく、このような投票があればぜひ取り組みましょう。<うた>を評価してもらうためにも人気は必要なのですから。
アーカイブ(過去記事)へ
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コメントは掲載までに多少時間がかかることがあります。しばらくお待ちください。
しかし、今回のテーマはランキングそのものではなく別のことです。「もういちど流行歌」は毎回ある年ある月に流行していた1曲(及びそれを歌った歌手)をテーマとして取り上げています。最初に触れたランキングはその付録のようなものです。今まで1972、73年という真理さんの全盛期も登場していますが真理さんの歌がテーマとなったことはありません。真理さんの歌がランキング対象となっていた回で見ると、「赤い風船」「ひなげしの花」「あなた」「コーヒーショップで」「どうにもとまらない」といった曲です。編集者はどうしてこれらの曲を○年○月の「流行歌」の中から選んだのでしょう。オリコン1位の曲もありますがそうでない曲もあり、その月を代表すると言えるかどうか微妙なものもあります。そもそも取り上げる月自体編集者の恣意的な選択だと思います。結局「話題性」で選んでいるのでしょう。つまり記事にしやすい「物語」がある曲(というより歌手)を選んでいると言うことです。
そういう意味でいうと真理さんの曲は奇をてらったようなものはありませんし、真理さん自身も全くの素人からのシンデレラガールではなかったし、もちろん外国から来たわけでもない、(先駆者ではあったけれど)コンクールのグランプリでもないし、大変身を遂げた人でもない。だから、この編集者には記事にしにくい人なのかもしれません。もちろん“空前のアイドル”だったわけで十分話題性もあるのですから今後取り上げられる可能性はありますし、そうなってほしいと思います。ただもし真理さんの曲がこのシリーズで取り上げられるなら、ぜひ真理さんの<うた>そのものに触れてほしいと思います。
私が不思議なのは、マスコミなどが歌を取り上げるとき、いつも「話題性」や「物語」から歌を見ようとしることです。ラジオのリクエストでも「その歌に関する想い出やエピソードをお書きください」などと書かれています。私などは「想い出やエピソード」でリクエストしているわけではなく、すばらしい<うた>を聴きたいだけですから、こう書かれると戸惑ってしまいます。そういう「物語」なしに歌を語れないのでしょうか。
天地真理さんについても、マスコミやネットなど世間に出回っている言論は当時も今も圧倒的にこうした「物語」が多いのです。しかし、例えば文学だったら、その作品で何を感じたか、作者は何を描こうとしているのか、それはどういうところからそう言えるのか、どのような表現が読者にどんな印象を与えているのか、と言ったことがまず論じられるでしょう。歌についてもそうした論じ方をしてほしいと思うのです。
私がホームページ「空いっぱいの幸せ」やこのブログで歌(曲)について書いてきたのもそのような分析ですが、次の方々もそうです。
天地真理のこの透明感はどこから来るのでしょう?正直自分でも驚いていて混乱しています。なんという魅力でしょう。他の日本のアイドル歌手にはさほど関心が無いので聞きこんで比べてはいませんが、天地真理とその声には圧倒的な純粋さと透明感、ドラマと抑制感があると思います。この抑制感が多くの曲にいつまでも濁らない緊張感と透き通るような美しさを与えているのではないでしょうか。そしてそれは永遠に朽ちることはないと思われるほどです。初期のトップヒット曲はどれも背筋がぞっとするほどの迫力があると思います。決定力があるって言うか、ジャパニーズ・アイドル・ポップスの歴史的傑作としかいいようがない・・・。後期の秀作群はほんとに心に染みます。
ぼくは、過去への感傷や懐古の情を一切超えて、天地真理の歌声にジョン・バエズやカレン・カーペンターに比肩する普遍性を確信しています。 それは、あれから何十年もさまざまな音楽を聴き続けてきた今だか?らこそ自信を持っていえることなのかもしれません。 歌い崩しのない自然な歌い方、独特の歌空間ともいうべき声の広が?りの透明さ、込められたニュアンスの豊かさ、特に幸せの微粒子が?空間いっぱいに輝いて、人の心を優しく包み込むときの力強さは、他に類をみないです。 それが、なんの衒いも構えもなく心と一体になってごくごく自然に出てくるところが天地真理のものすごいところなのですよ。
文だけ保存してあったものでお名前も記録してありませんが、いずれも真理さんの<うた>の特質をそれぞれの言葉でよく表現されていると思います。マスコミやネットでもこのような分析が広がってほしいと思います。
最後に誤解のないよう重ねて言います。「もういちど流行歌」のランキングは客観性がないと言いましたが、内容はともかく、このような投票があればぜひ取り組みましょう。<うた>を評価してもらうためにも人気は必要なのですから。
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