聴き比べ 涙くんさよなら
聴き比べシリーズ、今回は「涙くんさよなら」です。
この曲は浜口庫之助さんの作詞・作曲で、1965年坂本九さんのシングル曲として発売されましたが、やや遅れてジョニー・ティロットソンのシングル(日本語、英語)発売で大ヒットし、さらに和田弘とマヒナスターズ、ジャニーズ(初代)もシングルを発売して競作となり、多くの人に親しまれることになりました。
それでは最初はやはり坂本九さんです。
坂本九
私はこの曲は坂本九さんが歌ったというイメージが強くあったのですが、今聴いてみると、当時の印象に比べちょと陰気な感じがします。もっと明るく軽快な曲だったはずなのですが。
次はジョニー・ティロットソンです。
ジョニー・ティロットソンは全米第2位などアメリカでも人気のある歌手でしたから、そういう歌手が日本人の歌を日本語で歌うということに、私は日本の歌が変わっていく予感を感じたものです。今聴くと日本語版はたどたどしいですが英語版はいいですね。
次に和田弘とマヒナスターズで聴いてみましょう。
マヒナスターズと言えばムード歌謡という印象がありますから、Youtubeで見つけたときは違和感がありましたし、当時も私は聴いたことがなかったと思います。しかし調べてみると、マヒナスターズもハマクラ門下なのですね。しかし曲のイメージとは少し違うように思います。
ではジャニーズはどうでしょうか。
このジャニーズはその後のジャニーズ系の源流となる初代の4人グループで、あおい輝彦さんもメンバーの一人でした。私は彼らをNHKの伝説的な番組「夢で逢いましょう」で見ていたのですが、今度彼らのこのうたを聴いて、どうも私がこの曲に持っていたイメージは彼らのうたから来ているらしいということがわかりました。明るく軽快で、素人っぽいが“プロ”の陳腐さのないところが好ましかったのだと思います。
以上は1965年当時の歌手でした。これからはその後の歌手で聴いてみましょう。
最初に布施明さんです。
最初の「日本人の心を癒やした」というナレーションにあわせたような歌い方ですね。「この世は悲しいことだらけ」ということが基本にあって「涙くんさよなら」といってもその悲しさをひきずっているような感じです。「涙くん」に「さよなら」できる喜びが感じられないのですね。布施さんらしく上品に美しく歌っていますが、この曲としてどうなのでしょう。
次は石川ひとみさんで聴いてみましょう
溌剌としていて、まさに<アイドル!> という感じですが、私には布施さんよりこちらの方がこの曲にふさわしいと思えますがどうでしょうか。
では最後に天地真理さんです。
(hiroIGA51さんの作品です。15秒後くらいから歌が始まります)
こうして比較すると、天地真理さんのうたが<アイドル>のうたとは全く違うということがよくわかりますね。心弾むときめきがあり、同時に布施さんのようなたおやかな情感をもち、誰よりも多彩で繊細な表情をもっています。たとえば1番でいえば「この世は悲しいことだらけ」とか「会わずに暮らせるだろう」というところを他の人と比べてみてください。前者の悲しさ、後者のよろこびが、決して大げさではなく音楽の自然な流れに乗りながらくっきりと表現されていることがわかると思います。そしてその上に、真理さんだけが持つ唯一無二のやさしく暖かな歌声がこの一見単純な曲を実に豊かなものにしているのです。
※リクエスト情報
FMしばたはhttp://www.agatt769.co.jp/index.htmlから。
NHKFM「ミュージックプラザ」(月曜)3月23日は「別れの昭和歌謡」、30日は「番組十周年記念リクエストスペシャル Part1」、4月6日は「番組十周年記念リクエストスペシャル Part2」、13日は「第1回 Back to 70s」です。他の日や特集に関係のないリクエストも可能です。
リクエストを出す時、「天地真理特集をお願いします」という要望を書き添えましょう。
NHKのラジオ放送90年企画で
「あなたが選ぶ未来に残したい歌ベスト90」の
投票を募集しています。
放送はNHKラジオ第1で3月22日(日)午後8:05~9:55
投票は当日午後6時まで 詳しくはこちらへ
アーカイブ(過去記事)へ 「空いっぱいの幸せ」へ
コメントは掲載までに多少時間がかかることがあります。しばらくお待ちください。
この曲は浜口庫之助さんの作詞・作曲で、1965年坂本九さんのシングル曲として発売されましたが、やや遅れてジョニー・ティロットソンのシングル(日本語、英語)発売で大ヒットし、さらに和田弘とマヒナスターズ、ジャニーズ(初代)もシングルを発売して競作となり、多くの人に親しまれることになりました。
それでは最初はやはり坂本九さんです。
坂本九
私はこの曲は坂本九さんが歌ったというイメージが強くあったのですが、今聴いてみると、当時の印象に比べちょと陰気な感じがします。もっと明るく軽快な曲だったはずなのですが。
次はジョニー・ティロットソンです。
ジョニー・ティロットソンは全米第2位などアメリカでも人気のある歌手でしたから、そういう歌手が日本人の歌を日本語で歌うということに、私は日本の歌が変わっていく予感を感じたものです。今聴くと日本語版はたどたどしいですが英語版はいいですね。
次に和田弘とマヒナスターズで聴いてみましょう。
マヒナスターズと言えばムード歌謡という印象がありますから、Youtubeで見つけたときは違和感がありましたし、当時も私は聴いたことがなかったと思います。しかし調べてみると、マヒナスターズもハマクラ門下なのですね。しかし曲のイメージとは少し違うように思います。
ではジャニーズはどうでしょうか。
このジャニーズはその後のジャニーズ系の源流となる初代の4人グループで、あおい輝彦さんもメンバーの一人でした。私は彼らをNHKの伝説的な番組「夢で逢いましょう」で見ていたのですが、今度彼らのこのうたを聴いて、どうも私がこの曲に持っていたイメージは彼らのうたから来ているらしいということがわかりました。明るく軽快で、素人っぽいが“プロ”の陳腐さのないところが好ましかったのだと思います。
以上は1965年当時の歌手でした。これからはその後の歌手で聴いてみましょう。
最初に布施明さんです。
最初の「日本人の心を癒やした」というナレーションにあわせたような歌い方ですね。「この世は悲しいことだらけ」ということが基本にあって「涙くんさよなら」といってもその悲しさをひきずっているような感じです。「涙くん」に「さよなら」できる喜びが感じられないのですね。布施さんらしく上品に美しく歌っていますが、この曲としてどうなのでしょう。
次は石川ひとみさんで聴いてみましょう
溌剌としていて、まさに<アイドル!> という感じですが、私には布施さんよりこちらの方がこの曲にふさわしいと思えますがどうでしょうか。
では最後に天地真理さんです。
(hiroIGA51さんの作品です。15秒後くらいから歌が始まります)
こうして比較すると、天地真理さんのうたが<アイドル>のうたとは全く違うということがよくわかりますね。心弾むときめきがあり、同時に布施さんのようなたおやかな情感をもち、誰よりも多彩で繊細な表情をもっています。たとえば1番でいえば「この世は悲しいことだらけ」とか「会わずに暮らせるだろう」というところを他の人と比べてみてください。前者の悲しさ、後者のよろこびが、決して大げさではなく音楽の自然な流れに乗りながらくっきりと表現されていることがわかると思います。そしてその上に、真理さんだけが持つ唯一無二のやさしく暖かな歌声がこの一見単純な曲を実に豊かなものにしているのです。
※リクエスト情報
FMしばたはhttp://www.agatt769.co.jp/index.htmlから。
NHKFM「ミュージックプラザ」(月曜)3月23日は「別れの昭和歌謡」、30日は「番組十周年記念リクエストスペシャル Part1」、4月6日は「番組十周年記念リクエストスペシャル Part2」、13日は「第1回 Back to 70s」です。他の日や特集に関係のないリクエストも可能です。
リクエストを出す時、「天地真理特集をお願いします」という要望を書き添えましょう。
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