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天地真理リサイタル「そよ風に誘われて」第2部

「天地真理リサイタル・そよ風に誘われて」の第2部です。

⑬童話作家 ⑭哀しきマリオネット(3:05~) ⑮いちご白書をもう一度(6:25~) ⑯なごり雪(10:21~) 



「私は天地真理」コンサートで歌ったフォーク系の曲をまとめて歌っています。「童話作家」はピアノ弾き歌いです。「ひっそり暮らしてみようォー」「だめな私の指先はァー」のところは真理さん独自のアレンジでしょう。8月の大阪・梅田コマ劇場での公演でも同じ歌い方をしていますが、そこを含めて全体に儚いような感じが漂っています。歌いこまれて真理さん自身の歌になったということでしょう。ピアノ演奏も素敵ですね。他の3曲は「私は天地真理」コンサートとほぼ同様です。欲を言えば「哀しきマリオネット」はもう少し諧謔性がほしいし、「なごり雪」はやや急ぎすぎでもう少しニュアンスがほしいと思いますが、「私は天地真理」ライブ盤と同等の音質で聴けば違うかもしれません。「いちご白書をもう一度」も同様の条件で聴けば完ぺきな名唱でしょう。

⑰追憶 ⑱ジョーク(4:00~) ⑲陽ざしの中で(7:35~) ⑳旅人よ(11:30~) ㉑愛の日々(15:05~)


「追憶」は映画の主題歌ですが、青春を振り返るという意味で「青春の輝き」と通じるものがあります。真理さんのハミングも素敵ですね。 「ジョーク」は大橋純子さんの曲ですが、ヒット曲というわけではなさそうですから、真理さんが気に入ったのか、スタッフが見つけたのか、経過はよくわかりません。大橋純子さんは非常にパワフルなうたで、ファルセットでは歌いにくいのではないかと思うのですが、真理さんは負けないくらいにパワフルに歌っています。そしてそういう歌の中でも真理さんらしく情感豊かです。真理さんの新しい面を見ることができるのではないでしょうか。「陽ざしの中で」は布施明さんの曲ですが、作曲は『ひこうき雲』『二月の風景画』の作曲者吉川忠英さんです。真理さんの声の優しさが心をそっと震わせ浸みこむように繊細な感動が広がります。「旅人よ」はやはり梅田コマでも歌っていますが、そちらは朗々とした名唱でした。それに対しこちらは繊細で詩的なうたです。「愛の日々」は「これぞ天地真理!」と言いたくなるワクワクするうたですね。喜びもあり、悲しみもある、でもそれが人生。生きるってすばらしい、それが天地真理のうたなのです。

㉒夕焼横丁の人々


胸にジーンときますね。それはこのストーリーが、失ってしまったかけがえのないものを私たちに想起させるからですが、それ以上に、これだけでは単純なストーリーを真理さんのうたが本当に実感できるものにしているからです。たとえば、「その町の名は夕焼横丁」と歌いだしただけで、懐かしさが込み上げてきます。「風船みたいに胸が膨らむ」というところでは夢が大きく膨らんでいく様子が本当に見事に表現されています。真理さんのやさしく懐かしい声とこういう細やかな表現が私たちの心にじんわりと浸み通ってくるのです。


㉓ヒットメドレー 想い出のセレナーデ(0:25~)/若葉のささやき(1:40~)/空いっぱいの幸せ(2:50~)/恋する夏の日(3:18~)/水色の恋(4:08~)  アンコール:青春の輝き(8:15~)


一曲ごとは短くて物足りないかもしれませんが、メドレーとしてまとめて聴くと楽しい雰囲気が伝わってきますね。
アンコールでもう一度「青春の輝き」を歌っていますが、歌う前に「この歌をどうしても最後に聴いていただきたいのです」と言っています。ちょうど「私は天地真理」コンサートでの「告悔」のように、真理さん自身の心情を込めた歌と考えていいと思います。真理さんはこの曲に何を託したのでしょう。カーペンターズの英語詞と真理さんがここで歌っている日本語詞ではかなり内容が違うのですが、根本では共通するものがあります。英語詞の意味についてはこちらが参考になると思います。この方は「音楽が好きで子供のときから音楽・ショービジネス界で生きてきた兄妹カーペンターズ自身が内面を告白している歌」と言っています。そうだとすれば、そこに真理さんの共感があったのかもしれません。オープニングではまだ声も出ていなくて表現も淡白でしたが、ここでは見違えるような豊かなうたになっています。特に最後の「さあ、歩きましょう・・・青春をもう一度」という繰り返しを真理さんは強い想いを込めて歌っていますが、それは人としてもっと豊かに生きたいという真理さん自身の願いだったのでしょう。だから、どうしても聴いてほしかったのだと私は思います。

いかがだったでしょうか。不十分な音質にもかかわらず、後に行くにしたがってぐんぐん引き込まれ心を揺さぶられるすばらしいコンサートになりました。“休養”前の最後の記念碑的なこのコンサートをこうして聴くことができたことを、音源を提供してくださった I さんに深く感謝いたします。そして、もし正規の音源が残されているのならば何としても公開してほしいと切に願います。

ちっちゃい私さんを初めとして画像を使わせていただいた皆さんに感謝いたします。ありがとうございました。もし問題がありましたらご連絡ください。


※リクエスト情報

FMしばたhttp://www.agatt769.co.jp/index.htmlから。

NHKFM「ミュージックプラザ」(月曜)1月12日は「大人の昭和歌謡」、19日は「北国の昭和歌謡」です。他の日や特集に関係のないリクエストも可能です。

リクエストを出す時、「天地真理特集をお願いします」という要望を書き添えましょう。


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表現者としての境地

寒中お見舞い申し上げます。貴重な録音をありがとうございます。提供されたIさんにも感謝いたします。
第1部から通して聴かせていただきましたが、パンフレットの真理さんの言葉通りの力演であり、聴きどころ満載のコンサートですね。オーケストラと違って小編成のバンド(6人編成だったようです)だけに、曲によって見事に変わる歌の表情や情感の豊かさが手に取るようで、思わず引き込まれます。聴いているうちに、真理さんは本当はこれくらいの編成で小さなライブハウスで、ファンと触れ合いながら歌いたかったのかもしれないと思えてきました。私の大好きな作曲家・村井邦彦さんの「雨上がりのサンバ」も、ジャズコンボ風の演奏に乗せて軽やかにおしゃれに歌われていて新鮮な魅力を感じます。

私はこの公演の少し前の8月末に行われた日劇のショー・愛の渚を観ていますが、すでにセットリストに「陽ざしの中で」があり、とても繊細な歌に感動したのを憶えています。ショーのスタッフに構成・小谷夏さんの名前があるので、これが吉川忠英さんに作曲を依頼するきっかけになったのかもしれません。この年の真理さんですから、やはり伸びのある声でじっくりと歌を聴かせるステージでした。

「私は天地真理」~「梅田コマ」~「日劇・愛の渚」~「そよ風に誘われて」~アルバム「童話作家」という流れを追ってみると、1976年の天地真理が到達した表現者としての神々しいほどの境地をしみじみと感じます。

※私がネット上で見つけた当ツアーの記事(渡辺プロ会報ヤング?)には、「青春の輝き」(訳詞・山川啓介)と書かれていました。

Re: 表現者としての境地

bellwoodさん
コメントありがとうございました。とてもうれしいです。
というのは、第2部へのコメントがなかなかなくて、ちょっとがっかりしていたのです。
このコンサートは私としては相当頑張って11月から準備してきた自信作でした。といっても、本当の意味は「私の自信作」ではなく「天地真理さんの自信作」ということです。はじめてこの音源をいただいたとき、これは絶対に私の手元で眠らせておいてはいけない、世の人々に聴いてもらわねばならない、と思ったのです。とはいえ、私の技術や手元の材料の乏しさからあまりいい動画にはなりませんでしたが、眼を閉じて聴いてもらうだけでも真理さんがどんな境地に達していたか絶対にわかる、そんなつもりでつくりました。
幸い第1部には何人かの方々からコメントを頂けました。しかし第2部は第1部よりさらに充実しているのに、なかなかコメントがなく、少し気落ちしていました。アクセス数はこのブログとしては過去最高くらいあって、多くの方が見てくださっていることは確認でき、それだけでもつくってよかったと思うのですが、やはり皆さんが何を感じられたか、生の声で聴きたいと思うのですね。
それだけにbellwoodさんから
> 「私は天地真理」~「梅田コマ」~「日劇・愛の渚」~「そよ風に誘われて」~アルバム「童話作家」という流れを追ってみると、1976年の天地真理が到達した表現者としての神々しいほどの境地をしみじみと感じます。
という言葉をいただいて、心から共感すると同時に、安堵することができました。ありがとうございました。
(老人性の愚痴を長々書いてしまいました。申し訳ありません。)

「雨上がりのサンバ」「陽ざしの中で」繊細で軽やかで、真理さんのうたがどんどん透明になっていきますね。
「訳詞・山川啓介」確認しました。コンサートパンフでははっきりしなかったのですが「ヤング」に出ていたのですね。教えていただきありがとうございました。

soyokaze

「なかなかコメントがなく、少し気落ちしていました」など考えすぎです。
私が書くのもなんですが「思いっきり感動しました!」
画像・音源も含め「ナレーション(解説)」にです。
ここまで「天地真理」を愛し客観的に??? 評価して下さる姿勢に…
年々、色々な「天地真理」のHP・ブログも更新されない物が多くある中で「ひこうき雲」様には大変感謝しております。
お歳はわかりませんが?「心肺停止」の日まで頑張って下さい。

Re: soyokaze

ごめんね青春 さん
コメントありがとうございます。

コメントいただくのは初めてでしょうか?
最近、サイトごとに別の名を使われている方もあり、私自身の記憶力の衰えもあって、多少混乱することがありますので、もし失礼があったらお許しください。
もし初めてでしたら、本当にうれしいです。新規の方にコメントいただくのは久しぶりです。
私が「気落ちしていた」と言ったのは、おっしゃるように真理さん関係のサイトも以前に比べるとあまり活発でなくなっていますし、このブログだけでなく、コメントも少なくなってきていることに対して私が抱いていた気持ちがつい出てしまったものです。

でも、ごめんね青春 さんからコメントをいただいて元気づけられました。
心肺停止まではわかりませんが、ネタ切れにならなければ「要介護」になるまでは続けたいと思っています。
これからもよろしくお願いします。

ありがとうございます。

ひこうき雲さん

はじめまして!Mr,Scanと申します。
今までも、時々こちらを覗かせて頂きながら、ご挨拶も致さずに失礼いたしました。

今回もとても貴重な音源をアップして頂きまして、ありがとうございます。
今回の録音には、客席のざわつきも入っていますが、それが全く気にならないほど、真理さんの歌に引き込まれてしまいます。
そして、真理さんの柔軟な歌唱には、驚いています。
「しっとり」であったり「しみじみ」であったり、
そうかと思えば、「ハツラツ」が有るかと思えば、「ソフトなパンチ力」を使ったりと、その幅の広さに驚いています。
そして何よりもどのように歌い分けても、ベースのハートフルであるところを離れないのは、やはり「ハートフル歌姫」の真理さんならではの素晴らしさですね。
最近では、「歌うまい」イコール「熱唱」「強唱」「濃唱」で聴き手側を圧倒することだと考えられがちで、真理さんのように聴き手に優しく寄り添ってくれるように歌える人がいなくなりましたね。
このコンサートの4か月後に、活動休止されてしまわれたのが本当に残念でなりません。
それにしても、この当時に真理さんにもっと良いバックを付ける事が出来なかったのでしょうか、客席の声よりバックのフルートが終始ピッチがが高かったのと、サックスの音色が固く開いてしまっていたのが(これは、吹口をメタルのマウスピースを使ったせいでしょう)気になりまました。
あそこまでフルートがハイピッチで演奏しているのに、そのピッチに引っ張って行かれない真理さんの音感も凄いですね。(おそらく絶対音感がお有りなのでしょう)
今回も色々な面で、真理さんの実力をしっかりと証明して頂けたと、とても嬉しく感じています。
これからも、楽しみにしています。

Re: ありがとうございます。

Mr,Scanさん
コメントありがとうございます。

コメントいただくのは初めてですが、もちろんあちこちでお見受けしています。特に画像が素敵ですね。たしかMr,Scanさんの画像を使わせていただいたこともあったと思います。お断りもなく失礼しました。

おっしゃるようにこのコンサートでは歌の幅が以前よりさらに広がって多彩になってきていますね。
> そして何よりもどのように歌い分けても、ベースのハートフルであるところを離れないのは、やはり「ハートフル歌姫」の真理さんならではの素晴らしさですね。
まさにそうですね。たとえば「ジョーク」を聴き比べてみると大橋純子さんはドライで(決して悪い意味ではなく)器楽的な印象ですが、真理さんはあくまで生身の人間の<歌>という気がします。

> このコンサートの4か月後に、活動休止されてしまわれたのが本当に残念でなりません。
この音源を初めて聴いたとき、私も痛切にそう思いました。この全国縦断コンサートをやり遂げることができたら次の飛躍へのきっかけとなったでしょう。
しかし時間は戻らないので、今はぜひ正規の音源を公開してもらって、真理さんの持っていた可能性を多くの人に知ってもらいたいと思っています。

これからもよろしくお願いします。

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