「日本の女性アイドルソング・ベスト100」

今回も「さくら貝」掲示板で教えていただいた話題です。
「レコード・コレクターズ」という雑誌の9月号で「日本の女性アイドルソング・ベスト100 1970-1979 」という特集が載っています。1970年代の女性アイドルソングから100曲を選ぶという企画です。選び方は、25人の選定者が発売時トップ30曲以内に入ったシングルA面曲からそれぞれ30曲ずつ選び、それを集計したということです。具体的な集計の仕方は説明がありませんのでわかりませんが、1位は30点というような形で集計したのでしょう。

では結果はどうだったのでしょう?
1位は「木綿のハンカチーフ」、2位は「17才」、以下「私の彼は左きき」「年下の女の子」「真夏の出来事」と続きます。
天地真理さんの曲は、14位に「ひとりじゃないの」、34位に「恋する夏の日」、39位に「水色の恋」、95位に「想い出のセレナーデ」が入っています。
歌手別ではキャンディーズ9曲、山口百恵8曲、ピンクレディー8曲、南沙織7曲、桜田淳子6曲、麻丘めぐみ5曲、岩崎宏美5曲、そして太田裕美さんと真理さんが4曲で8番目ということになります。

この結果についてどう考えますか?
真理さんのファンからすればちょっと残念かもしれませんね。私ももっと上位に入っていればもちろんうれしいですが、この選定方法の特質がよく出ているのかもしれません。気が付いたことをいくつかあげてみます。

①まず、これは「アイドルソング」のランキングであって「アイドル」(歌手)のランキングではない「ということです。つまり曲に対する評価だということです。ただそれぞれの曲のコメントを読むと選定者自体がその辺を混同しているように思えるものもありますから、選定者間の共通理解があったのかどうか慰問です。
②次に評価の基準があいまいだということです。そもそも「アイドルソング」の範囲さえはっきりしません。石川さゆりの「津軽海峡冬景色」が86位に入っているのですがこれは「アイドルソング」なのでしょうか?ほかにも藤圭子「圭子の夢は夜ひらく」、山本リンダ「どうにもとまらない」、辺見マリ「経験」、夏木マリ「絹の靴下」等は「アイドルソング」なのでしょうか?
③ ①②の問題がそれぞれの選定者の判断に任されているように、曲をどういう観点から評価するかという基準も特にないようですから、結局は各選定者の主観的な判断、もっと端的に言えば選定者の「好み」で決まるということでしょう。
もちろん選定者の人たち(私はこの方たちのことはよく知らないのですが)は、それぞれ一定の業績を持っている人たちだと思いますから、自分の「好み」だけで選んではいないと思います。しかし広い意味での「好み」、つまりそれぞれの音楽観と感性で選んでいるのですから、その意味でやはり主観的です。
④そこで選定者たちと70年代アイドルとの関係を見るため年齢構成を調べてみると、生年が1940年代後半が1人、1950年代前半が1人、後半が6人、1960年代前半が8人、後半が1人、1970年代前半が1人、後半が1人、1980年代前半が2人、不明が3人となっています。つまり1950年代後半から60年代前半生まれの人が大部分です。曲数上位のキャンディーズ、山口百恵、ピンク・レディーは1955~58年生まれで、いずれも1950年代後半です。1954年生まれの南沙織もそれに近いと言えますし、桜田淳子、麻丘めぐみ、岩崎宏美、太田裕美も同様です。つまり選定者の多数にとって彼らは自分と同年代、あるいはちょっと上のお姉さんという感じで親しんだ存在でしょう。しかも中学、高校というもっとも多感な時期に出会っているのですから、感性の形成過程において彼らの印象はかなり強いものがあったと思われます。もちろんそれから40年も経ち、専門家として客観的に見ていると思いますが、無意識的にもそうした影響がないとは言えないように思うのですがどうでしょうか?
⑤選定者の中で唯一真理さんの歌を1位に挙げた人がいます。半田健人という方です。この方は1位に「ひとりじゃないの」、6位に「虹をわたって」、11位に「恋する夏の日」、23位に「水色の恋」と30位以内に4曲も選んでいます。選定者の中で際立って天地真理さんを高く評価していると言っていいと思います。ところがこの方は1984年生まれで、真理さんも他の70年代アイドルもリアルには知らない世代なのです。しかしだからこそ、たとえば「天地真理は歌が下手」などという刷り込みを受けず、自分の耳で聴いたままを率直に評価しているのかもしれません。
⑥ ①で触れたようにこのランキングは「曲」についてのものです。そういう観点でいうと筒美京平の作品が群を抜いて多いことに気づきます。ベスト10中1,2,3、5,6,7位が筒美作品ですし、全体でも100曲中30曲ですからほぼ3分の1です。一般の人だったらこういう投票に作曲者が誰ということは考えないと思います。しかし専門家だからこそ、筒美京平への評価が選曲に影響しているということもあるかもしれません。歌手別データにはそういうことも反映しているのかもしれません。

まだ続くのですが、それは次回へ。

※リクエスト情報

FMしばたhttp://www.agatt769.co.jp/index.htmlから。

NHKFM「ミュージックプラザ」(月曜)9月29日は「名前の昭和歌謡」、10月6日は「秋のリクエストスペシャル」です。他の日や特集に関係のないリクエストも可能です。

リクエストを出す時、「天地真理特集をお願いします」という要望を書き添えましょう。

FM軽井沢「天地真理ミュージックコレクション」へは天地真理オフィシャルウェブサイトの「FM放送」へ。


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ランキングの感想

このアイドルソング・ランキングを見ると、女性アイドル・ポップスの歴史においてエポック・メイキングな、もしくはインパクトの強かった曲が上位に選ばれており、ベスト5にはそれが象徴的に表れていると思います。各選定者個人の主観や好みをベースにしつつ、5位の「真夏の出来事」など評論家らしい少々マニアックで意外な選曲もランキングの随所に見られますね。
アイドル歌手の人気やヒットの実績をそのまま反映しているわけではないので、天地真理さんの他、山口百恵さんやピンクレディーも思いのほか上位に喰いこめていません。とはいえ歌手別の曲数を見ると、やはり近年の人気や評価に引きずられている感も否めない気がします。

天地真理さんについては、かつては「恋する夏の日」が代表曲という評価が一般的だったように思いますが、「ひとりじゃないの」が最上位にあるのは、やはりこの曲が最も今の時代に求められているということなのでしょう。それに「想い出のセレナーデ」がランクインしているのも意外に感じましたが、歌手として多面的に評価されつつある兆しなのかもしれませんね。

筒美京平氏については、実は最近CD9枚組『筒美京平HITSTORY 2013Edition』にハマっているのですが、ヒットメーカーとして70年代に残した業績には驚くべきものがあり、選定者が意識せずとも自ずとこれだけの作品数が選ばれたのではないかと思います。

Re: ランキングの感想

bellwood さん
コメントありがとうございます。

私は200年前のモーツァルトの作品も天地真理さんの歌も同じ次元で聴いてしまう方ですから、選ばれた歌の歴史的位置づけというのは全くわからないのですが、そういう意味があるのですね。確かに「真夏の出来事」はそんな意味で選ばれたのでしょうね。
ただ「アイドルソング」そのものさえそれぞれの選定者で違いもあるようで、それを数値化して寄せ集めると結局意味不明なものになってしまうような気がしてしまいます。その意味では各選定者のベスト30の方がどういう基準で選んだかコメントで分かるので、こちらの方が意味があるような気がします。(と言っても全部は読んでないのですが)

No title

 このランキングは、皆さんがおっしゃるように、筒美京平氏の偉大さを見せつけるものですね。

 「サザエさん」の主題歌もそうですが、作曲数、ヒット曲数、提供した歌手数は、とんでも数になっていますね。1人の人間が作ったとは、どうしても考えられないくらいの幅広いジャンル、幅広い年代に受け入れられる曲作りには、ただ驚くばかりです。

 天地真理さんも、新たなイメージづくりのために、筒美氏が参画したような形になっていますが、私は、「さよならこんにちわ」は、あまり好きではありません。天地真理さんを元気づけるために書かれた歌だそうですが、「.レイン・ステイション」をシングルA面にしてほしかったですね。

 「夕陽のスケッチ」「小さな人生」「矢車草」「一杯のレモンティー」は、いい歌だと思います。残念ながら、オリコン30位以内に入っていませんから、今回の選曲の対象外ですね。

 天地真理さんを評価するのは、シングルA面だけでは、十分ではなく、LPアルバムの素晴らしさが、もっと表面にでれば、評価もまた違ってくると思います。

 ところで、山口洋子さんの訃報が伝えられていました。「さよならこんにちわ」の作詞は、山口洋子・安井かずみとなっていますが、「人波 バス停 うしろ影」など単語を並べただけの詞は、まさに山口洋子さんの真骨頂ですね。ご冥福をお祈りします。

Re: No title

chitaさん
コメントありがとうございました。

山口洋子さん、亡くなられましたね。安井かずみさんもすでに亡く、だんだん寂しくなりますね。ご冥福をお祈りします。
そこで、お二人の共作であり真理さんの初めての筒美作品である「さよならこんにちわ」について返信で書こうと思ったところ結構長くなってしまいました。
そこで、あらためて本文で取り上げたいと思いますので、またご覧ください。

NHKFM今日はフレンチポップス

ひこうき雲さん
いつも詳しい記事をありがとうございます。

さて、今日の彼岸の日、9/23、午後は庭掃除などしていましたが、
NHKFMは「今日は一日フレンチ・ポップス三昧」でした。夕方、
気付いて、真理さんの名唱、「初恋のニコラ」カバーをリクエストしました。

先んじて誰かリクエストした方がいることを期待して、ラジオを聴いています。

Re: NHKFM今日はフレンチポップス

hatogairu kouenさん
コメントありがとうございます。

「今日は一日フレンチ・ポップス三昧」、前に予定は見ていたのですが、忘れていました。最近は3分前のことも忘れるようになってきましたので、それ以上前だと確実に忘れてしまいます。
リクエストされた「初恋のニコラ」はかかったでしょうか?
もしかからなかったなら、29日(月)のNHKFM「ミュージックプラザ」は「名前の昭和歌謡」ということで、タイトルに名前がある歌ということですから、こちらにもリクエストを出してみてください。私は今週は遠出もあってリクエストする時間がなさそうですので、皆さんでぜひリクエストをお願いします。



でした。夕方、
> 気付いて、真理さんの名唱、「初恋のニコラ」カバーをリクエストしました。
>
> 先んじて誰かリクエストした方がいることを期待して、ラジオを聴いています。
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