「華(ハナ)がある」
ある本に面白いことが書いてありました。「ハナ」という言葉についてです。ハナというと、まず「花」とか「鼻」を考えますね。それから「ハナから」とか「しょっパナ」「出ばな」と言うように「初め」の意味もあります。この三つの言葉は発音は同じですが、まったく違うものを指しているように思えます。ところが実は原義は同じで、古代日本語の「ハナ」は「気の集中する先端」といった意味を持つ言葉なのだそうです。
私たちにはどうして同じなのか理解しがたいですが、近代人と古代人の世界観の違いがあるようです。古代人は今見えている世界(オモテの世界、顕在態、「うつし世」)とは別の世界(ウラの世界、潜在態、「かくり世」)があると考えていて、その潜在態が気を集中させ顕在化することを「ハナ」と言ったようなのです。見えないものが目の前に現れ出てくるから「初め」の意味になり、緑の葉や茎や枝しかなかったところに突然赤や黄色や白といった異世界のものが現れるのが「花」です。また平らだったものが盛り上がって顕在化すると言う意味で出っ張ったところが「鼻」と呼ばれるというのです。
たしかにそう言われると共通の意味があるということがわかります。普段何も考えずに使っている言葉にも世界観が現れているのですね。
こんなことをなぜ取りあげたかと言うと、これを読みながら「時間ですよ」のオーディションで落選した真理さんを「あのこには華がある」と言って他の審査員を説得してくれた森光子さんの言葉を思い出したからです。
「華がある」という言い方は、人を引き付ける華やいだものがあると言う意味で使われますが、「華」は「花」の華やかさが抽象化されたものでしょうから、「花」に起源を持っています。
ですから森光子さんはまさに、今はまだはっきりと表れていないが、これから現れようとする隠された魅力を鋭敏に見抜いたと言っていいのでしょう。
以前紹介した塩崎雪生さんの著書『氷の福音』にはこのオーディションの控室の様子を撮った写真が掲載されています。真理さんがどこにいるか、わかりますか?『氷の福音』にはもっと拡大した写真がありますからぜひ見ていただきたいと思いますが、ここでの真理さんはとびぬけて目立つ人ではありません。まだまだその「華」は隠れているようです。
ただ固定した静止画ではなく、変化する表情や会話そして歌の中にはたしかな「華」が見えていたようです。
このオーディションの司会をした林美雄さんの証言があります。
愛川欽也さんの「パックインミュージック」には真理さんがよく遊びに来ていました(そういう人を店子と呼んでいました)が、そこへ林さんも遊びに来たと言う場面です。1974年12月18日放送、Sugi4Geruさん提供の貴重な録音です。
愛川欽也さんの「パックインミュージック」は真理さんにとっては大事な場でした。そのことはまた別の機会に触れたいと思います。
※リクエスト情報
FMしばたはhttp://www.agatt769.co.jp/index.htmlから。
NHKFM「ミュージックプラザ」(月曜)2月3日は「真冬のリクエストスペシャル」、17日は「星空の昭和歌謡」、3月3日は「昭和の歌姫スペシャル」です。他の日や特集に関係のないリクエストも可能です。
リクエストを出す時、「天地真理特集をお願いします」という要望を書き添えましょう。
FM軽井沢「天地真理ミュージックコレクション」へは天地真理オフィシャルウェブサイトの「FM放送」へ。
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私たちにはどうして同じなのか理解しがたいですが、近代人と古代人の世界観の違いがあるようです。古代人は今見えている世界(オモテの世界、顕在態、「うつし世」)とは別の世界(ウラの世界、潜在態、「かくり世」)があると考えていて、その潜在態が気を集中させ顕在化することを「ハナ」と言ったようなのです。見えないものが目の前に現れ出てくるから「初め」の意味になり、緑の葉や茎や枝しかなかったところに突然赤や黄色や白といった異世界のものが現れるのが「花」です。また平らだったものが盛り上がって顕在化すると言う意味で出っ張ったところが「鼻」と呼ばれるというのです。
たしかにそう言われると共通の意味があるということがわかります。普段何も考えずに使っている言葉にも世界観が現れているのですね。
こんなことをなぜ取りあげたかと言うと、これを読みながら「時間ですよ」のオーディションで落選した真理さんを「あのこには華がある」と言って他の審査員を説得してくれた森光子さんの言葉を思い出したからです。
「華がある」という言い方は、人を引き付ける華やいだものがあると言う意味で使われますが、「華」は「花」の華やかさが抽象化されたものでしょうから、「花」に起源を持っています。
ですから森光子さんはまさに、今はまだはっきりと表れていないが、これから現れようとする隠された魅力を鋭敏に見抜いたと言っていいのでしょう。
以前紹介した塩崎雪生さんの著書『氷の福音』にはこのオーディションの控室の様子を撮った写真が掲載されています。真理さんがどこにいるか、わかりますか?『氷の福音』にはもっと拡大した写真がありますからぜひ見ていただきたいと思いますが、ここでの真理さんはとびぬけて目立つ人ではありません。まだまだその「華」は隠れているようです。
ただ固定した静止画ではなく、変化する表情や会話そして歌の中にはたしかな「華」が見えていたようです。
このオーディションの司会をした林美雄さんの証言があります。
愛川欽也さんの「パックインミュージック」には真理さんがよく遊びに来ていました(そういう人を店子と呼んでいました)が、そこへ林さんも遊びに来たと言う場面です。1974年12月18日放送、Sugi4Geruさん提供の貴重な録音です。
愛川欽也さんの「パックインミュージック」は真理さんにとっては大事な場でした。そのことはまた別の機会に触れたいと思います。
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