あなたの投げやりな感じが好き!

前回、大阪フェスティバルホールでのコンサートの記事で真理さんとスージー・クアトルとの対談があったと書きましたが、具体的なことに触れませんでした。実は、私の資料の整理が悪く、その対談の記事を見つけられなかったためです。
しかし、mariminafanさんから情報をいただいてもう一度さがしたところ見つけることができました。
そこで、今回はこの記事を紹介することにします。次の写真はクリックすると拡大しますが、対談の内容は読みにくいので下に書きだしました。

スージー・クアトロ
(明星1975年2月号)

イギリスでいま大人気の女性ロックンロール歌手スージー・クアトロが、11月の末日本にやってきた。ベースを股倉にはさんで“トウ・ビッグ(あなたのは大きすぎる)”なんて、意味ありげな曲を歌うので、何やらスケバン歌手みたいなんだけど、その人間味に真理ちゃんはコロリ。東京公演のあい間、大きなカトレアの花束をかかえていそいそと、宿舎のヒルトンホテルにたずねたのです。スージー24才、真理23才、女ざかり。

真理   (かなり緊張した表情で)ハウ・ドウ・ユー・ドウ。私、
     マリ・アマチです。よろしく。
スージー (ひょいと手をのばして、真埋の髪についたヘア・ピンを
     とる)こんなのがついてるわ。
真理   あら……。あなたに会うんですっかりあがっちゃって、と
     るの忘れてしまったの。ごめんなさい。
スージー 私もよくステージに出るとあがっちゃって、いろいろ失敗
     をやらかすのよ。
真理   なんだか、ちょっと疲れてらっしゃるみたいね。やっばり
     旅疲れかしら?
スージー ノン。今朝4時まで、ウィスキー飲みつづけだったの。そ
     のせいよ、きっと。
真理   お酒、そんなに飲むんですか?
スージー かなりね。リラックスするにはお酒を飲むのがいちばん
     よ。
真理   (スージーの右手首に星印のイレズミがあるのに気づき)
     どうしてそんなところに……?
スージー ああ、これね。私はいつまでもスターでいたいの。だから
     星のイレズミをしたの。
真理   じゃ、私もやろうかしら?でも、イレズミするって痛いん
     でしょ?
スージー なんにも感じなかったわ。だって、お酒飲んで酔っぱらっ
     てたんだもん。(笑)
真理   (ちょっと言いにくそうに)あの……なんかで読んだんだ
     けど、スージーさんはべースを弾いてるとセックスを感
     じるって、ほんとですか?
スージー ほんとよ。もともとロックというのはセクシーなもので
     しょ。だから、演奏しながらセックスを感じるのは当
     たり前じゃないかな。
真理   私にはまだよくわからないけど……。あのね、私も昨年の
     リサイタル(国際劇場)であなたの「48クラッシュ」
     を、真似して歌ってみたの。すごくミニなスカートなん
     かでね。
スージー そう。で、どうだった?
真理   若い人たちにはすごく受けたけど、お年寄りはア然として
     たわ。(笑)
スージー でも面白いじゃない。こんど一緒に歌おうよ。
真理   それができたら大感激だわ。 ……それはそうと、恋人は
     いるの?
スージー それはシークレット(秘密)よ。
真理   でも、いずれ結婚はするんでしょ?
スージー たぶんね。それで子供をたくさん生んでね。その大家族を
     ひきつれて公演にでかける、そんな結婚がしたいな。(笑)
真理   私もそれ賛成。(笑)……いま、どんなことをいちばんや
     りたいですか?
スージー 射撃と水泳、それに散歩かな。
真理   散歩!すてきだわ。散歩なんて心の余裕がないとできない
     ことですものね。
スージー 真理は、ヨーロッパに行ったことある?
真理   ええ、2回ほどね。この2月にもひとりでヨーロッパとア
     メリカをまわることになってるの。
スージー ひとりでって、マネージャーは?
真理   (首をふって)ほんとにひとりきりでよ。
スージー (感心したように口を鳴らし)プゥーッ。グッド・ラック
     (ご無事でね)
真理   どうせ英語もできないし、行き当たりばったりよ。……
     どこへ行ったらいいかしら?
スージー ベニスヘ行きなさい。あそこはほんとにロマンチックでい
     いとこよ。
真理   あなたって、いつもシラけてるみたいだけど、意外にロマ
     ンチックな人なのね。
スージー (うれしそうに)ウフフ…。

真理の独白「ステージの荒らあらしさとはまったく逆に、スージーっ
てとても気持ちのやさしい人なのねえ。私ますます好きになっちゃっ
たわ」


*******************************

この種の対談は編集部が勝手に創作してしまうことも多かったようなので、どこまで実際の会話かわからないところもありますが、外国の人に日本流のやり方は通じないと思いますし、内容的にも全くの創作とは思われないので、ほぼ実際の会話だろうと思います。もちろん、要約したり削ったりと言う編集はあると思いますが。

真理さんはなぜスージー・クアトロに惹かれたのでしょうか?
見出しに「あなたの投げやりな感じが好き」とあります。これが真理さん自身の言葉か、編集部が勝手につけたものかわかりませんが、かなり的を射ている言葉ではないでしょうか。
「投げやりな感じ」というと今の時代ではあまりいい印象ではないかもしれません。今の時代は過剰にモラルが求められ、少しでもそれを外れる人がいると寄ってたかって非難するというところがあります。またプラス思考がもてはやされ、前向きであることを無理やり求められるというところもあります。そういう人たちからすれば「<投げやり>なんて許せない」と思うかもしれません。
しかし1970年代の若者たち(つまり私たちの世代)にはカッコいいことでもあったのです。それは既成の権威やモラルへの批判であったからです。真理さんも同じ時代の空気を吸っていた人ですから「投げやりな感じが好き」と言っているのでしょう。
真理さんについての記事を時々載せている「おじなみ塚」というブログがありますが、1月10日付の記事でFC会報の写真がいくつか掲載され、その中に1975年新春号に真理さんが書いた新年のあいさつが載っています。そして、「あけましておめでとうございます」の横に大きく“自由”と書かれています。これは対談とほぼ同じ頃書かれたもので、対談でも言っているように、2月にはヨーロッパに約一カ月の一人旅に出かけるなど、真理さんが真剣に自分の生き方を模索していた時期です。『告悔』の言葉を借りれば「心のままに」生きたいと強く思い始めた時期でしょう。それだけにスージー・クアトロのように枠を超えて自由に生きる人に憧れを持っていたのだと思います。「投げやりな感じ」とは自由な生き方の象徴だったのでしょう。

対談の写真をよく見ると真理さんは化粧をしていないみたいですね。以前このブログで紹介したように、この後ラジオ番組などにたびたび無化粧で出演するということがありましたが、写真で見るのは珍しいです。ここにも「自然な自分でいたい」という気持ちが現れているのではないでしょうか。


※リクエスト情報

FMしばたhttp://www.agatt769.co.jp/index.htmlから。

NHKFM「ミュージックプラザ」(月曜) 1月20日は「祝誕生日 太田裕美スペシャル」、2月3日は「真冬のリクエストスペシャル」です。他の日や特集に関係のないリクエストも可能です。
リクエストを出す時、「天地真理特集をお願いします」という要望を書き添えましょう。

FM軽井沢「天地真理ミュージックコレクション」へは天地真理オフィシャルウェブサイトの「FM放送」へ。


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Re: 文字認識の誤変換

お知らせいただきありがとうございました。
気がつきませんでした。
OCRではよくあるんですね。
訂正しておきました。

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スージー・クアトロ来日

 スージー・クアトロ・・・懐かしい名前です。なぜか、日本で流行っていましたね。                               
 当時は、ロック界のアイドル歌手として、日本に送り込まれたイギリスの単なる芸能人だと思っていました。歌や演奏がどうこうというよりも、とにかく歌う姿が、かっこよかったですね。                          
 そのクアトロさん、5月30日、新宿で来日公演をするそうです。今まで何十年も、以前と同じように、一貫してロッカーとして、歌い演奏し続けてきたということは、正真正銘のロックミュージシャンだったんですね。
    
 20年ぶりの来日公演を前にして、この対談の記事は、とても興味深いものです。

Re: スージー・クアトロ来日

chitaさん
コメントありがとうございます。

5月に来日されるのですね。
Youtubeでも最近の映像がありますが、今でも当時と同じようにロックを歌うのですからすごいですね。
対談の中で「子どもをたくさん生んで大家族で公演をしたい」と言っていますが、「いつまでも歌いたい」と言う意味ではその通りに生きてきたのですね。

自由になりたい

私は1974年の国際劇場で真理さんの「48クラッシュ」を生で観ているので、この対談記事はとても印象に残っています。

最近、同じ時期の明星(1975年1月号)に掲載された『鎌倉にて』という記事を、当時以来久し振りに見ることができました。「電線の上の小鳥のように自由になりたい。海に浮かぶ小舟のように、気ままにただよってみたい」との思いから、一日だけ“斎藤真理”に戻ってひとりで冬の鎌倉を訪れたという内容です。
ここでも「来年の2月にひとりで外国旅行をしたい」と語っており、「この旅こそ自分をいじめ抜き、きたえる機会だと思います。あまえの許されぬ世界で自分をためしてみたいのです。淋しくなったら大声で泣くつもり。それが人間なんだから」と書かれています。この記事は白黒写真ですが、やはりほとんど化粧をしていないように見えます。

元祖アイドルとして誰ひとり経験したことのない超絶な3年間を経て、ようやく一息ついたこの時期の真理さんにとって、「自由になりたい。自然体で自分らしく生きたい。そしてこれからのために自分を見つめ直したい」という思いの強さは、私たち凡人の想像など及ばないほど切実なものだったに違いありません。

Re: 自由になりたい

bellwoodさん
コメントありがとうございます。

国際劇場のショーをご覧になったのですね。今からすれば貴重な経験でしたね。

> 元祖アイドルとして誰ひとり経験したことのない超絶な3年間を経て・・・・・という思いの強さは、私たち凡人の想像など及ばないほど切実なものだったに違いありません。
本当にそうだったと思いますね。そういう真理さんの思いを活かした活動ができていたら、と今更ながら思います。

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