ひとりじゃないの 小谷夏作品群 (1)
Youtubeに「さびしかったら」がUPされています。
この曲は<小谷夏作詞、森田公一作曲>、つまり「ひとりじゃないの」のコンビです。
小谷夏さんとは、久世光彦さんのこと。つまり、「時間ですよ」のディレクターとして真理さんをはじめて電波に乗せ世に送り出した人であり、「天地真理」の生みの親の一人といえます。
「時間ですよ」は数人のディレクターが交替で担当していましたが、久世さんの演出の冴えは際立っていました。ドラマなのに突然ギャグが入り、爆笑させたかと思うとしんみりとさせる。下町の人情ものかと思えば劇中でフォーク感覚の歌を歌わせるなど若者向けでもある。しかもそうした互いに異質な要素を何の違和感もなく共存させてしまう手腕。そのころあまりテレビを見ることがなかった私が、帰省中このドラマを見てその才能に驚嘆してその名前を覚えてしまったほどでした。
その後、久世さんはテレビディレクターとして抜群の評価を獲得し数々の名作を生む一方、小説家としても才能を発揮して直木賞候補にもなり、独特の作風で知られましたが、2006年、70歳で亡くなりました。
作詞の面でも、堺正章、浅田美代子、郷ひろみ、沢田研二などドラマ制作を通じて縁のある人たちを中心に数多く残しています。ほとんどが「小谷夏」名ですが、「市川睦月」名のものもあり香西かおりの「無言坂」は1993年日本レコード大賞を受賞しました。
しかし何といっても「小谷夏」の名を高からしめたのは天地真理さんの「ひとりじゃないの」だったでしょう。この曲はおそらく、手塩にかけた真理さんが「時間ですよ」を巣立っていくに際しての久世さんからの贈り物だったのではないでしょうか。幸いこの詞は森田公一さんという真理さんの資質にとって最高の作曲家を得て、まさに「天地真理の世界」を生みだすことになったのでした。
その後も、「ひとりじゃないの」のB面「ポケットに涙」(2曲ともセカンドアルバム収録)、4枚目のアルバム「明日へのメロディー」の中の「思い出の足音」、5枚目「若葉のささやき」のなかの「さびしかったら」というように真理さんの歩みを見守るように詞を提供してくれていました。しかし、真理さんが頂点に立つのを見届けると、その後はしばらく途絶えてしまいます。
ふたたび「小谷夏作詞」の曲が現れるのは、真理さんにとって最後のオリジナルアルバムとなった「童話作家」でした。そのA面はさだまさしの「童話作家」をプロローグとエピローグとして、関連付けられた5曲(出不精のピーターパン 返信 ひこうき雲 二月の風景画 風花のさようなら)をその間にはさんだ形となっていて、その5曲すべてが小谷夏作詞です。つまりこの形自体、久世さんのアイデアなのでしょう。ともかく、苦闘する真理さんへのもっとも心強い援軍としてふたたび駆けつけてくれたのだと思います。 (つづく)
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この曲は<小谷夏作詞、森田公一作曲>、つまり「ひとりじゃないの」のコンビです。
小谷夏さんとは、久世光彦さんのこと。つまり、「時間ですよ」のディレクターとして真理さんをはじめて電波に乗せ世に送り出した人であり、「天地真理」の生みの親の一人といえます。
「時間ですよ」は数人のディレクターが交替で担当していましたが、久世さんの演出の冴えは際立っていました。ドラマなのに突然ギャグが入り、爆笑させたかと思うとしんみりとさせる。下町の人情ものかと思えば劇中でフォーク感覚の歌を歌わせるなど若者向けでもある。しかもそうした互いに異質な要素を何の違和感もなく共存させてしまう手腕。そのころあまりテレビを見ることがなかった私が、帰省中このドラマを見てその才能に驚嘆してその名前を覚えてしまったほどでした。
その後、久世さんはテレビディレクターとして抜群の評価を獲得し数々の名作を生む一方、小説家としても才能を発揮して直木賞候補にもなり、独特の作風で知られましたが、2006年、70歳で亡くなりました。
作詞の面でも、堺正章、浅田美代子、郷ひろみ、沢田研二などドラマ制作を通じて縁のある人たちを中心に数多く残しています。ほとんどが「小谷夏」名ですが、「市川睦月」名のものもあり香西かおりの「無言坂」は1993年日本レコード大賞を受賞しました。
しかし何といっても「小谷夏」の名を高からしめたのは天地真理さんの「ひとりじゃないの」だったでしょう。この曲はおそらく、手塩にかけた真理さんが「時間ですよ」を巣立っていくに際しての久世さんからの贈り物だったのではないでしょうか。幸いこの詞は森田公一さんという真理さんの資質にとって最高の作曲家を得て、まさに「天地真理の世界」を生みだすことになったのでした。
その後も、「ひとりじゃないの」のB面「ポケットに涙」(2曲ともセカンドアルバム収録)、4枚目のアルバム「明日へのメロディー」の中の「思い出の足音」、5枚目「若葉のささやき」のなかの「さびしかったら」というように真理さんの歩みを見守るように詞を提供してくれていました。しかし、真理さんが頂点に立つのを見届けると、その後はしばらく途絶えてしまいます。
ふたたび「小谷夏作詞」の曲が現れるのは、真理さんにとって最後のオリジナルアルバムとなった「童話作家」でした。そのA面はさだまさしの「童話作家」をプロローグとエピローグとして、関連付けられた5曲(出不精のピーターパン 返信 ひこうき雲 二月の風景画 風花のさようなら)をその間にはさんだ形となっていて、その5曲すべてが小谷夏作詞です。つまりこの形自体、久世さんのアイデアなのでしょう。ともかく、苦闘する真理さんへのもっとも心強い援軍としてふたたび駆けつけてくれたのだと思います。 (つづく)
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