結婚しようよ

聴き比べシリーズ、第2回は「結婚しようよ」です。
1972年の吉田拓郎作品。曲調は拓郎的な語法を持ちながらもフォークというよりポップス的なあかるく楽しい曲で、フォークシンガーが大衆的な人気を得るきっかけとなった曲と言えるでしょう。

最初はもちろん本家、吉田拓郎さんです。



当時のフォークは芝居がかって定型的な歌謡曲に対して、自分たちの生活実感に根差した歌を歌おうとしていました。歌謡曲を背広にネクタイとすれば、フォークはTシャツにGパンと言ったらよいでしょうか。
したがって歌い方もあまり細工をせず素朴な歌い方が多かったと思います。ここでの吉田拓郎さんの歌い方もあまり特別な表情をつけることもなく淡々と歌っています。日向ぼっこをしているような心地よさといった感じでしょうか。

それではカバーを聴いていきましょう。まず南沙織さんです。



南沙織さんはポップス的と言えるでしょうか、弾むような歌い方ですね。「僕の髪が//肩まで伸びて//…」というように節ごとに短く区切って歌っていて、さっぱりして活気が感じられます。細かな表情もありますが、全体的には歌詞によって表情をつけるというより音楽として造形している感じです。

次は本田路津子さんです。



さすがと言うべきですね。すばらしいです。透き通って可憐で、かつ強さもある声が100%生きています。メロディーに乗って流れるように歌っていきます。みずみずしくさわやかで、心がうきうきと弾んできます。吉田拓郎さんも自分の書いた歌がこんなに美しく歌われるとは思わなかったのではないでしょうか。この頃のフォークシンガーはまだまだアマチュアという性格がありましたが、本田さんはまさにプロですね。

もう一つ、めずらしい動画があったので聴いてみましょう。歌っているのはチューインガムです。



ほのぼのするさわやかさですね。チュ-インガムというのは小学生の姉妹デュオで、当時たくさんのフォークグループがありましたが、プロの(商業ベースに乗った)グループとしては最年少でした。もちろん彼女たちのオリジナル曲のシングルも出しており、そこそこヒットしていました。背伸びもせず、子どもっぽくもなく、しなやかな感性が感じられて私は好印象を持っていました。この曲も自分たちの感性で素直に歌っていますね。
なお、チューインガムの2人は真理さんのファンで「ひとりじゃないの」のカバーも録音しています。

さて、いよいよ天地真理さんです。



こういう曲を真理さんが歌うなら無類の楽しさを予想するのですが、そういう予想に反して、ここではむしろしっとりと歌っていますね。少し遅いテンポで、引きずり気味に、ささやきかけるように歌っています。もちろん楽しさが失われているのではありません。意識的に薄く軽い声で歌っているので、軽快な楽しさが十分感じられます。
しかし何と言っても表情の豊かさはどうでしょう。どこをとっても豊かなニュアンスがありますが、例えば「花をもらおう」「窓を開けて えくぼを見せる」「さらいにくるよ」「結婚しようよ ンーンー」と言ったところの思いのこもった表情は他の誰にもないものです。とりわけ最後の「(もうすぐ肩まで)届くよ」を聴くと、この曲が“愛の歌”なのだということがはっきりとわかります。結婚を待ちわびる細やかな心の動きを真理さんだけがみずみずしく歌うことができたのです。本田さんもすばらしいけれど、誰も考えなかった表現で歌ってしまった真理さんはやはり特別な才能だと思わずにはおれません。



※リクエスト情報

FMしばたhttp://www.agatt769.co.jp/index.htmlから。

NHKFM「ミュージックプラザ」(月曜)11月18日は「喫茶店の昭和歌謡」、25日は「お仕事の昭和歌謡」、12月2日は「追悼 岩谷時子、島倉千代子」、9日は「祝 ザ・タイガース再結成」、16日は「年末リクエストスペシャル」です。他の日や特集に関係のないリクエストも可能です。
リクエストを出す時、「天地真理特集をお願いします」という要望を書き添えましょう。

FM軽井沢「天地真理ミュージックコレクション」へは天地真理オフィシャルウェブサイトの「FM放送」へ。


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