ルノワールは無邪気に微笑む

ちっちゃい私さんのブログで『ヤング』1973年10月号が載っています。その中で「あなたが今までに感動した詩、音楽、小説、絵画、芝居、映画などがありましたらお答えください」というコーナーがあり、真理さんは、音楽では『枯葉』、ショーではジジ・ジャンメール、そして絵画では「ルノワールの裸婦の絵」をあげ、「ルノワール展を見に行って、この絵の前でしばらくたたずんでいました」と答えています。

この記事を見て思い出したのが千住博さんの『ルノワールは無邪気に微笑む』(朝日新書)という本です。
千住博さんは千住3兄妹の長兄で画家です。私は美術にはあまり詳しくないし、鑑賞眼には全く自信がありません。この本を買った動機も駐車料金をタダにするためという不純なものです。急いでいたので中身も見ず、タイトルに惹かれて買ったのですが、読んでみたら予想していたのと全くちがっていました。私はルノワール論のようなものと思っていたのですが、新聞の読者から寄せられたさまざまなテーマの質問に答えていくという内容でした。ちょっとがっかりしましたが、読んでみると意外と面白く気楽に読むにはいい本でした。

私がヨーロッパの名画を知るようになったのは中学生の頃でした。その頃はまだそういう名画は複製であってもいろいろのところで見られるという環境ではありませんでした。たぶん、『モナリザ』とか超有名な作品以外は美術の教科書で知ったのだと思います。その中で私が割と好きだったのはルノワールの絵でした。
ところが中学から高校、大学と進むうちにルノワールの絵は深みに欠けるような気がして、だんだん軽く見るようになっていきました。
昨年、パリへ旅行に行くことになって、行く前にたくさんの絵を(本やテレビ・ネットの画面で)見ましたが、前年の「ワシントン・ナショナルギャラリー展」で見たモネの「日傘の女」の印象が強烈に残っていて、モネへの関心が一番ありました。実際の旅行でもルーブル、オルセーはもちろん、バルビゾン(ミレーの暮らした村)、オーベル(ゴッホ終焉の地)そしてジベルニー(モネの自宅や睡蓮の池がある)へも出かけました。消化不良になるくらいたくさんの絵や彫刻を見たり、そのモデルとなった環境を体感したりしました。
旅行から帰ってしばらくして、あれほどの古今の名作を見た後で、自分が一番好きな画家はやはりルノワールだということに気がつきました。
そんな時にこの『ルノワールは無邪気に微笑む』という題名に出会ったのです。私は「これだ」と思いました。私がルノワールが好きなのは「無邪気に微笑む」からだ、と納得がいったのです。
実際に読んでみたらこの題名はこの本全体のテーマを表しているのではなく、最後の一節の題名であったのですが、私にはこの題名だけで十分だったのです。

ジャンヌ・サマリーの肖像

私が中学生の頃ルノワールが好きだったのは、そのあかるくやさしい表現に惹かれたのだと思います。しかしその内「あかるくやさしい」だけでは満足できなくなりもっと深刻だったり複雑な内容をもった作品が価値があるように思うようになっていきました。音楽もその頃はベートーヴェンやロマン派に傾倒していました。明確な自己表現(アピール性)があって一見難しそうなものに価値があると思っていたのですね。
音楽の方はしばらくしてモーツァルトに目覚め、シンプルで一見平凡そうなものの中に実は汲めども尽きぬ豊かさがあるということを知るようになりましたが、美術については元々それほど関心は強くなかったので深く考えることもなく以前の価値観を抱えたまま時が経っていったのです。そして最近ようやくルノワールのあかるくやさしい表現が素晴らしいものだということに再び気づいたというわけです。
以前のように理屈で見るのではなく、虚心に絵そのものを見るとき、ルノワールの絵は心の中にあたたかなともしびのようなものが生まれ幸せな気持ちが滲むように湧いてくるのです。この「無邪気な微笑み」そのものに価値がある、千住さんの本の題名はこの私の気持ちをずばり表現してくれていたのです。

千住さん自身はルノワールをどのように評価しているのでしょう。少し抜粋してみます。
それは「何も伝えない」ための笑顔なのでした。・・・それは笑顔のための笑顔なのだ、と私は考えるに至ったのです。笑顔だけを伝えなくてはならないと感じるくらい、世の中にはそれが足りないと、ルノワールは考えていた。人々は「笑顔」を何より必要としていると、彼は感じていた。それでルノワールはあえて他を切り捨て、その最大公約数の笑顔だけを伝えるように工夫して、結果、彼の作品による笑顔はさまざまな状況に対応して、受け入れられ、人々の心のバランスを取り、人々を癒し、元気づけたのではないか、・・・もし仮にそうだとすると、ルノワールこそ他の巨匠たちのように自分のためだけの芸術、すなわちエゴとしての「芸術のための芸術」に邁進することなく、個人的なエゴを排し平和を愛し芸術の本道を確信に満ちた態度で突き進んでいたのだ、ということになります。それが「笑顔のための笑顔」という意味です。芸術の究極は乱暴を承知で煎じ詰めれば平和のために存在すると言ってよいものです。人々の心の不安を見据えながら、宗教も国家も超え、いつしかすべての人々の心をあたたかな平安で満たす。その意味でルノワールこそ最も芸術らしい芸術を遂行していた芸術家ではなかったか、と私は思えてきたのです。
暗い時代の始まりが予感される日々、リウマチで苦しみ、晩年は車椅子で製作を余儀なくされ、変形した指に筆をくくりつけて必死に作品を描いていたといわれるルノワール。時代の華やかさをあますところなく吸い取り、自らフィルターとなって、いわば美だけを作品として送りだしたその世界は、人々の不安定な心の奥底に沈みこみ、そしてついには人々に最も必要とされる存在として、混沌とした20世紀初頭の西欧世界の人々の精神を支えていたのではないでしょうか。だとしたら、これこそが芸術の面目躍如というものではないでしょうか。
・・・そこから醸し出されるあたたかさ、やさしさ、平和…。それは現代の世界において最も欠落してしまった心のあり方ではないか。国境を越えて、時をも越えて、ルノワールの芸術はまるで夏の日の太陽のごとく燦然と輝き続けている…。


私はこれを読んで私のもっていたルノワール像が見事に言語化されていると感じました。ルノワールのあかるくやさしい絵はそれ自体いのちの輝きを感じさせ、私の心に染み込んでくるのです。
と同時に、このブログを訪れた人であれば、この千住さんの文章を読みながら何か連想したことがあったのではないでしょうか。
人々を癒し、元気づける「笑顔」のあたたかさ、やさしさ、平和・・・それは天地真理さんの<うた>そのものではありませんか。私はこの本を読む以前からルノワールの絵のやさしさ、あたたかさに真理さんのうたに通じるものを感じていましたが、この文章によって、その思いを強くしたのでした。

そうしたところで冒頭の『ヤング』の記事を読んだのです。どうやら真理さん自身がルノワールの絵が好き(だった)らしいのです。ルノワールの裸婦像はたくさんあるので、真理さんが佇んだという絵がどれかわかりませんが、いずれもエロチックというよりはいのちが輝くような絵ですね。真理さんの共感がどこにあったのかわかるような気がします。

真理さんの<うた>はあかるくシンプルで平明です。どこにも仰々しい深刻さや大げさな涙、芝居がかった空騒ぎはありません。しかし、それはあたたかく、やさしく、そしていのちの輝きに満ちていて、聴く者の心を「笑顔」で包むのです。

天地真理は無邪気に微笑む のです。


※ この記事を書き終わって新聞を見たら、千住さんのお母さん文子さ
  んの訃報が載っていました。
  それぞれの分野の第一線で活躍する個性ある3人の子どもさんを育
  てた方です。
  ご冥福をお祈りします。

※リクエスト情報
FMしばたhttp://www.agatt769.co.jp/index.htmlから。

NHKFM「ミュージックプラザ」(月曜)7月8日は「坂の昭和歌謡」、22日は「真夏の昭和歌謡」、29日は「旅の昭和歌謡」、8月5日は「瞳の昭和歌謡」です。他の日や特集に関係のないリクエストも可能です。

FM軽井沢「天地真理ミュージックコレクション」へは天地真理オフィシャルウェブサイトの「FM放送」へ。


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そういうことってあるんですよね。

 いやあ、そういうことってあるんですよね。間に合わせで「とにかく買っとくか」みたいな調子で買ってみた本が、よく読んでみると意外とビシッと琴線に触れたりすることが。
 『氷の福音』の28ページ以下で参照している江文也『上代支那正楽考』がまさしくそのような買いかたをした本なのですが、しかも買ってから20年ぐらい寝かせた上、「そういえばそんな本もあったな」と想い起こして、やおら引っ張り出して開いて読んで使っているんですから、随分といい加減なものです。しかし、音楽の精髄を(フィリピンの心霊手術みたいに患部にいきなり手を突っ込むような勢いで)つかみ出そうという著者の姿勢は比類ないものです。当方にとってなにげなく買っておいてよかった本の、これが筆頭に挙げるべきものです。
 当方、音楽にはさほど詳しくありません。『氷の福音』でも、歌唱法の細部についての論述がまるでありません。「魅惑のピアノ弾き」がそのあたりの欠陥にグサッと斬り込ないので、いささかいぶかしんでいます。
 絵画の話をしなければなりませんね。『氷の福音』巻頭にモナ・リザ切手の写真を掲げています。おわかりになりますか、「マリ共和国」発行のものであることが……。この一枚を探し出すだけでも、血まなこになって、気が違いそうなほど途方もない時間と労力と神経とをついやしています。
 またしても手前味噌ばかりで申しわけございません。恐惶頓首。

Re: そういうことってあるんですよね。

shiolaboさん
コメントありがとうございます。

『氷の福音』を読むまで、江文也については全く知りませんでした。それにしても20年も前に買った本をよく憶えておられましたね。
モナリザの切手は何でここにあるのかわかっていませんでした。「マリ共和国」なのですね。よくそんな切手の存在がわかりましたね。
写真と言えば、フランス語訳「白雪姫」の表紙絵もよく知っておられましたね。

天地真理はモーツァルト

ひこうき雲 様 こんばんは(^-^*)/

ルノワールのお話 感心しました。添付されている画もステキですね。
私も中学生の頃に美術全集を買って貰い、よく眺めていましたが、ルネッサンスの写実的な画ばかり惹かれていました。

ルノワールはその頃は良さが解らず、肥満した裸婦とタキシードの男性が何故一緒にいるのだろう。 と疑問でした。
でも 確かに女性はいつも笑顔ですね。安心しきった様子です。

引用してらっしゃる千住さんのお話、まさに真理さんについて語っているかのようですね!

モーツァルトってピアノの初歩者にも弾けるんです。楽譜も易しくて。でも円熟した大家も戻って来るんですよね。
輝く音色と明るい情熱とほとばしるリズム

自然界にある音楽をそのまま抽出出来たのがモーツァルトだと思っています。

真理さんの歌唱も。

ひこうき雲さんが、おっしゃる通りです。

シオラボさん 「魅惑のピアノ弾き」は、音楽以外の項目に夢中で、『氷の福音』が真理さんの歌唱に言及していない事に気付きませんでした!

天地真理はモーツァルト そして私はベートーベン

 ひこうき雲様 モナ・リザ切手は3万人コンサートと併せて載せているのがひと工夫してあるところなのです。日本でのモナ・リザ展のため、巴里から運ばれた(おそらくは船便で)モナ・リザは、道中各地で展示され小銭を稼ぎながら日本まで辿り着いたのではなかろうかと推測しています(商売に抜け目ないフランス人)。しかし、発行年がちょっと古いので、上記推測と切手発行とはまったく噛み合いませんが。
 また余談ですが、『氷の福音』では、「天地真理の笑顔は「微笑」ではない」という主張をしております。真理スマイルの特徴は、『小さな巨像』での評ではありませんが、やはり「9本の前歯」にあるのです。歯を見せれば微笑とは言いがたいです。
 『氷の福音』執筆に際し、世界中の白雪姫文献はすべて目を通しております。(← あまりにも白々(しらじら)しすぎるウソ)

 それはそうと、実は「魔性のピアノ弾き」が「第二の天地真理」をねらって日夜画策しているという事実が最近突如発覚したのですが、ひこうき乗りさん、じゃなかった、ひこうき雲さんはすでにご存知ですよね。広島市内では8年も前からその看板でお客を集め、ひそかに高齢者を悩殺しては好評を博しているという……。
 ガルボ・スノー「ちょっとちょっと、なにいきなり内幕バラしちゃったりしてるのよ!」
 氷の福助「とぼけんじゃないよ、ソネットで見たぞ、《天地真理 は唯一無二 後に続くのは難しいです。》な~んて堂々と書いてやがんの」
 ガ・ス「それは誤解よ! いい加減にしてちょーだい」
 氷福「それにもっとすごいの知ってるぞ」
 ガス「なによ」
 氷福「《天地真理はモーツァルト そして私はベートーベン》!!!」
 GS「それってあんたが勝手にここに書いてんじゃないの!」
 氷福「勝手にだって? そんなことしないよ。だってあだ名は「ベートーベン」!」
 GS「まあ、ひっどーい! 一番気にしてるのに!! せっかく「おすすめ」の本で2回もとりあげてあげたのに(泪)」
 氷福「だってさあ、「難解難解」とか連呼しちゃってさ、知らない人が見たらほんとに難解な本だと勘違いするだろ。ほんとはギャグ満載で笑いがとまんない本なんだよ。いったい難解難解って何回言ってんだよ。」
 GS「(なにか面白い切り返しをしなけりゃならない場面だと咄嗟に気づきしばし思い悩んだ挙句)うーむ……瀬戸なんかい……」
 氷福「全っ然おもしろくねーぞおー」
 GS「だって、こちら安芸の宮島でーす!!」
 氷福「なにわけわかんない言いわけしてんだよ。難解難解南海キャンディーズ! とかさ、これくらい言ってみろ!」
 GS「(あきれ顔で「だみだこりゃ」の手つきをしながら)あんまり大差ないじゃない」
 氷福「ちくしょー! いいか、これからも広島名物カキ、じゃなかった、つぼ焼き、だったっけ……」
 GS「もしかして、「つぶやき」って言いたいの?」
 氷福「そうそう、その「つぼやき」じっくり観察して揚げ足とってやっからな! 覚悟しろー!!」
 GS「もお、まったくほんとにひどいひとね。自虐史観だと思ったら、ほっとはサディストだったのね!」
 (♪ 仲良くけんかしな~)

Re: 天地真理はモーツァルト

ガルボ・ピアノ弾きさん
コメントありがとうございます。

モーツァルトは本当に奥が深いですね。いつもと違う演奏家で聴くと、「え!」と思うような発見があったりします。私が最近魅せられた菊池洋子さんのトルコ行進曲もそうでした。
真理さんも同じです。もう何百回、もしかしたら千回以上聴いている曲が、突然違って聴こえてくることがあります。私は寝つかれない時、布団の中でイヤホンで真理さんの歌を聴くことがあります。そうするといつの間にか眠れるのですが、夢うつつの中で突然はっとして目が覚めてしまうことがあります。「そうか、こんな風に歌っていたんだ」と気がついた時です。そうするとかえって眠れなくなってしまうので、困りものですが。


> 引用してらっしゃる千住さんのお話、まさに真理さんについて語っているかのようですね!
>
> モーツァルトってピアノの初歩者にも弾けるんです。楽譜も易しくて。でも円熟した大家も戻って来るんですよね。
> 輝く音色と明るい情熱とほとばしるリズム
>
> 自然界にある音楽をそのまま抽出出来たのがモーツァルトだと思っています。
>
> 真理さんの歌唱も。
>
> ひこうき雲さんが、おっしゃる通りです。
>
> シオラボさん 「魅惑のピアノ弾き」は、音楽以外の項目に夢中で、『氷の福音』が真理さんの歌唱に言及していない事に気付きませんでした!

Re: 天地真理はモーツァルト そして私はベートーベン

shiolaboさん

なるほど、いろいろ隠れた意味があるのですね。ますますラビリンスのような本ですね。
「モナ・リザ」といえば1974年の紅白での佐良直美さんの紹介を連想しますね。「モナ・リザといえば微笑み、微笑と言えば天地真理さん」…ちょっとこじつけのような紹介でしたが、「微笑み」と言っていますね。ただ、確かに「モナ・リザ」の微笑みとはちょっと違うと思いますけど。

「魅惑のピアノ弾き」がいつの間にか「魔性のピアノ弾き」になってますね。
私は「魅惑」だと思いますけど。

シオラボさんに大爆笑してしまいました

ひこうき雲 様

再びお邪魔します。真理さんの歌で眠れなくなる。そうですか。なんか、わかります。私はまだまだ 聴き込みが足りなさ過ぎですが、きくたびに発見があるのは、よく解ります。

モーツァルトの完璧さは、スピード感にあるような気がしますね。始まったら最後、終わるまで止まらない。

モナリザの微笑は、なんか含みのある、たくらんだ微笑で、真理さんとは全然違いますよね。モナリザファンに叱られるかな。

シオラボさん 『魔性』とは、いやはや。私を見たらぶったまげますよ。自分を形容するのは難しいけど、凡庸そのものですから。
しかも、いくらひこうき雲さんが温厚な方とはいえ、こちらで「トムとジェリー」ごっこはいけませんな。

ひこうき雲さん 失礼致しました。m(__)m

Re: シオラボさんに大爆笑してしまいました

ガルボ・ピアノ弾き さん

「始まったら最後、終わるまで止まらない」 そうですね。次から次へと楽想が湧きだしてきて止まらない。モーツァルトが書いたというより、今生まれた音がそれ自体、命をもって勝手に踊りだす、そういう瞬間がありますね。そういう時は「奇跡!」と思ってしまいます。

No title

「天地真理は無邪気に微笑む のです」
ひこうき雲さんのこの最後の文言を見て震える程の共感を覚えました。
無論、プロの歌手ですから、耳障りの良い歌い方をテクニカルに実践もしたでしょうが、天地真理の歌はそんな次元とは違う感性を私に感じさせます。

Re: No title

酩酊居士さん
コメントありがとうございます。

真理さんの<うた>は「うまく歌う」という次元を超越していますね。
世の人は「歌唱力」という言葉を気楽に使いますが、私は使いません。
「力」というのは同質のものを比較することができるだけで、「質」の違うものを比較することはできないからです。
真理さんの<うた>は「質」において比類のないものです。

きょうは七夕。

 ガルボ・スノー「だめじゃないの、また追放になるわよ。マスターには代わりにあやまっといたからね」
 氷の福助「ありがと。……そうだなあ、この喫茶「空いっぱいのレモンティー」おん出されたら、もうほかにゆくとこないからなあ」
 GS「ばかね、「空いっぱいのレモンティー」だって!。それじゃあ、あたり一面茶だらけ茶まみれでおぼれちゃうじゃない」
 氷福「おや、きょうはばかにさえてるね。「茶だらけ茶まみれおぼれちゃう」、ちゃんと韻踏んでるよ。」
 GS「そんなことより、本の売り込み、しっかりやってんの?」
 氷福「そうそうそれそれ、きょうは個別営業やろうと思ってやってきたんだ……あの~、酩酊居士さ~ん、ようこそいらっしゃいませ。このたびようやく当方の《天地真理研究》がまとまりまして、『氷の福音』と題して販売中で~す。ぜひとも一冊お買い求めくださ~い。微笑についてもくわしくふれております。ほほで笑むからほほえみ、天地真理は歯を見せてるから「はは笑み」なんて調子で……」
 GS「あのさあ、ついでにあたしの営業もやっていいかしら?」
 氷福「なにおっぱじめよーってんだよ」
 GS「はじめまして! あたし、《第二の天地真理》ことガルボ・スノーと申します! 神聖ガルボ帝国+白雪姫=ガルボ・スノー! 誰にも負けないすてきな名前でしょ!!(数回瞬きを繰り返したすえに大きくキャピっと瞳を見開く)」
 氷福「ほんとはわんこからご襲名!」
 GS「いまイイトコなんだから、うるさいのはあっち行っててよ!」(トわき腹に思いっ切り肘鉄を喰らわせて突き飛ばす)
 GS「特技はなんといってもピアノ! どんな曲でも一度耳にすればたちどころに演奏できまーす! どお、すごいでしょ!!(満面の笑み)」
 氷福「(へろへろしながら)……それで肝心の歌はどうなんだ?」
 GS「ええと、ええと、……歌は…………未知数です!」
 氷福(途端にまたもや元気づいて)「なにが未知数だよ。そんなこって《第二の天地真理》もなにもないもんだ」
 GS(懸命に耐え忍びつつ)「……だけど、わたし、こんなにスリム!! 《スリムであるってステキなことね》!!!(腰に手をあてがい勝ち誇ったしぐさ)」
 氷福「へえー、そうきたか。なかなかやるじゃん」
 GS「(やおら『氷の福音』を取り出して)この本読んでうなずいたり首かしげたりしたおかげで、うなじの線もこんなにきれいに!!!」
 氷福「こりゃ完敗だよ、いっぺんに両方宣伝できてる。恩に着るよ!!」
 GS「それにあたし、映画通。シネ検5段の実力よ! なんでもきいてちょうだい!!(とグレタ・ガルボ風の取り澄ました表情を見せつける)」
 氷福「これで酩酊居士ことアルコール先生も文句なしにノックアウトだね」   
 GS「「アルコール先生」ってチャップリンの無名時代のあだ名でしょ!(片目を閉じながらVサインを出す)」
 氷福「さすが9段、じゃなかった、5段だけのことはあるねえ」
 GS「それからわたし、車好きなので、夢はあのルート66完全走破でーす!!」
 氷福「by ミニカー!! 灼熱の耐久レース!!!」
 GS「もお、あざやかにしめくくろうって思ってたのにひとこと多いのよ。おかげで台無しじゃないの!! ひどいわよ!」
 (いきなり奥のふすまがひらいたので、すばやく2人は逃げ去る)「ちょっと待ちなさい、君たち! 遊びに来るのはいいけれど、もっとボリュームさげておとなしくしてほしいですね。最近寝つきが悪いんだ。七夕ぐらいいい夢みさせてくださいよ。」
 

Re: きょうは七夕。

shiolaboさん

七夕だけど空は曇っていて星が見えません。
でも夢は見られるといいですね。
「はは笑み」の夢でしょうか?

良い夢は見られましたか?

ひこうき雲様 シオラボ様

なんだか面白い寄席がきていると聞いて、伺いました。
キャラクター設定において致命的なミスがあるようですが、再び微笑をうかべながら読ませていただきましたよ。

ひこうき雲様は、もはや大人のご対応で、見事にあしらわれておいでですね。

七夕の7日、こちら広島では雷雨やら大雨やら晴れてみたりと忙しい一日でした。星はどうだったのか見そびれてしまいましたけれど・・・・・
ひこうき雲様は、「はは笑み」の夢はごらんになれましたか?

それからシオラボ様 「アルコール先生」は無名時代などではありませんぞ。チャップリンはハリウッドで映画を作り出すや否やあっという間に人気者になりまして、真理ちゃんみたいに超メジャーな存在に!
あだ名が付くころにはもはや「無名」ではありませんでした。

そういえば、チャップリンもモーツァルトに似ていますよね?
真理ちゃんにも似ています。パイオニアということにおいて。

道を切り拓いていく開拓者はあちこちからいわれのない誹謗中傷も、うけながら進んでいくんですよねー。

氷の福助先生も、頑張って切り開いてくださいね。独自の著述作品の啓蒙活動を!

9段の 神聖ガルボ帝国在住 白雪ベートーベン2世(ながっ!)も後へ続きますぜい。

ひこうき雲 様 3度失礼いたしました。 福助氏 いたくひこうき雲様に心酔し懐いておられる様子ですので。

Re: 良い夢は見られましたか?

ガルボ・ピアノ弾きさん

残念ながら夢は見ませんでした。私は普段から夢を見ない方なんです。本当は、見ないのではなく、見ているのにすぐ忘れてしまうのだそうですが。
でも今朝は少し早く目が覚めたので、例によってイヤホンを耳に当てて真理さんの歌を数曲聴きました。気持ちのいい目ざめになりました。

はじめまして。

はじめまして、いつも見させて頂いております。始めてコメントさせて頂きます。といってもそんな大したコメント出来ません。なんかコメントさせて頂きたいなと思って、切っ掛けを探しておりましたが、ひこうき雲さんの格調高い記事に合う様なコメント出来ません^^; 
でも、ちょっとだけ私にもコメント出来るかなと思いコメントさせて頂きます。
私は絵が大好きです。中世時代からルネッサンス期のイコンとか宗教絵画が大好きです。といってもそんなに詳しくないですが。ルノワールですか、フランス印象派画家ですよね。印象派も大好きな絵のひとつです。日本人は印象派好きですよね。宗教とか関係ないからかな? シスレーとかモネのような風景画が好きです。印象派の絵って明るいですよね。点描が描かれた絵が多くて、人物と背景が殆どとけ込んでいるみたいな。明確な輪郭線(もともと現実には輪郭の「線」は存在しないんでしょうが)殆どなくなって、だから優しい感じになるのかな? 私も初期のルノワールは好きです。ルーブルとかオルセー美術館に行かれたんですね。羨ましいです。オルセーはもともと駅舎じゃなかったですかね。千住三兄弟は私も良く知っております。芸術兄弟ですね。お父さんは大学の教授じゃなかったですかね。羨ましい様な一家です。ルノワールの息子さんも映画監督じゃなかったですかね。
すみません、あんまり「無邪気に微笑む」タイトルに関係ないコメントなってしまいました。

Re: はじめまして。

馬Qさん
はじめまして。
と言っても、「あれ、そうだったのかな?」という感じで、勝手に古いおつきあいのような気でいました。
考えてみるとたしかに直接やり取りすることは初めてなのですね。
でも、あの小学生の夏休みとか、バスの旅とか、ユニークでセンスある動画をいつも楽しませていただいてきました。
ルノワールなどと話題にしていますが、本文にも書いたとおり私は美術の才能は全くないので、馬Qさんのように絵の才能がある方は本当にうらやましいです。
これからも素晴らしい絵や動画を楽しみにしています。
プロフィール

ひこうき雲

Author:ひこうき雲
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