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この雨雲の次に 青空が開けるわ (3)

真理さんは1977年1月、突然入院してしまいました。渡辺プロの発表によれば「甲状腺機能障害」ということでした。約1カ月のち退院した直後はまもなく復帰と報じられました。ところが、結局、その後ほとんど消息を絶ってしまい、さまざまな憶測が広がりました。何度も復帰の噂は流れましたが、結局実現せず、1979年1月には病的に肥満した姿が週刊誌にすっぱ抜かれ、もはや再起不能とまで言われました。

 しかし、1979年6月、真理さんは不死鳥のように甦ったのです。しかしそこに至る数カ月は真理さんにとって壮絶な努力の日々でした。ボイストレーニングなどは当然として、そのほかにもさまざまな努力があったのです。

 週刊明星(1979.6.24)によれば、復帰に向けた環境が整う中、最後の問題として残っていた体重を落とすために「パラフィン療法」を行ったというのです。実は真理さん自身はそのことを語っていないようです。真理さん自身は、「踊りのレッスンと、お米を一粒も食べず、パンとサラダの食事に切り替えたことで痩せた」としか言っていないようです。しかしこの記事を読むと「パラフィン療法」を行ったのはおそらく事実だろうと考えられます。

 「パラフィン療法」というのは、50℃に熱して溶かしたパラフィンを全身に塗り、ミイラのようにパラフィンで体中を包むことで多量の汗をかき痩せることができるという方法だそうです。真理さんはそれを自由が丘のクリニックで3月23日から週1回ずつ4週間続けたそうです。「パラフィン療法」に臨む真理さんの決意は驚くほどで、全身をパラフィンで包んだ状態を続けられるのは普通はせいぜい20分なのに、真理さんは倍の40分もがんばったというのです。またその間の食事管理も徹底していて、前回せっかく痩せたのに次回までの1週間で戻ってしまう人も多い中、真理さんはむしろさらに痩せていたこともあったそうです。結局、そうした努力の結果、4週間で4キロ減量し復帰へ向けての条件が整ったというのです。

 私は痩身術など知るわけもないので、こういう話を聞くだけで怖くなってしまいますが、真理さんはそれを不退転の決意でやりぬいたのです。そこに復帰に向けた真理さんの強い意志を見ることができます。

 しかし別の見方をすると、それは真理さんにとっては何でもないことだったのかもしれません。彼女の本当のたたかいは実はその前にあったのでしょう。つまり3年に及ぶ自分自身とのたたかいがあったのです。彼女の入院~休養の真相はいまだに明らかになっていません。「甲状腺機能障害」という病名も含めわからないことだらけなのです。しかしはっきりしているのは、3年間、真理さんには公の場に出られない何らかの障害があったということです。それは身体的なことかもしれないし、精神的なことかもしれない。たとえ身体的に回復しても精神がそれに伴わない場合もあるでしょう。ともかく、真理さんは壊れていこうとする自分と3年間たたかいつづけたのです。それに比べれば「パラフィン療法」など何でもないことだったのではないでしょうか。

 「旅人は風の国へ」の哀しくも美しいうたは、この3年間の経験を経た真理さんの境地だったのでしょう。




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ひとかかえの愛

こちらの記事をさっと読ませていただいたので、ほんの少しだけ・・

天地真理さんという歌手は、一人一人のファンに向けて、人類愛的、ともいえるスケールの大きな愛で応えていらっしゃったのだろうなあ、と想像します。それがある時点から、潮が引くように、ひとり取り残されてしまった・・。直接的な失恋、というよりも、ご自分の愛を表現する場所、愛をふりそそぐ相手がいなくなってしまったことが大きかったのでは?・・そのように感じます。ファン限定の「ひとかかえの愛」という歌は、そんな真理さんの願いのすべてがこめられていたのではないでしょうか・・。

真実は記憶のベールに

続きです・・。
「ひとかかえの愛」「旅人は風の国へ」…・この時期の、ひと皮むけたようなピュアな響きのある真理さんの声には、まるで何かを悟られたかのような、安らかさが観じられます。

それまでは青春のすべてを謳歌するごとく、外へ向かって伸び伸びと広がっていた声のエネルギーが、数年間という、ご自身の内側と命がけで向き合われた、その体験を経ることで、より内面の世界へ向かうエネルギーへとシフトしたといえるかも知れません。内在するものを映し出すやわらかい繊細な要素が声にそなわるようになったように感じます。
「動」から「静」へ。 躍動から成熟へ・・・ちょっとちがうかな・・ぴったりのことばが浮かばないのですが。
このような視点から「うた」を聴き比べてみるのも興味深いものですね。これはあくまでも私の主観的な感想であり、真実はご本人さまのみわかっていらっしゃることですが・・。

Re: 真実は記憶のベールに

メロンパンさんのところでも話題になっていましたが、この時期の声と休養前の声とどう違うか、なかなか難しいですね。私はこの時期の真理さんの声は好きです。(といっても、どの時期も好きなので、比較という意味でないのですが) 

「旅人は風の国へ」の場合はおっしゃるように繊細でピュア、「ひとかかえの愛」や「愛綴れ織り」はもっと伸びやかですが、いずれにしてもやさしさとあたたかさが一層増しています。

ただそれが実際に3年間の経験とどうかかわるのかは私には何とも言えません。即物的に言えば、声帯が十分な休養と適度なトレーニングによってとてもいい状態になっていた、ということでしょうが。それ以上のことは、まさに 「真実は記憶のベールに」包まれています。

しかし、これらのうたが、私たちに与えてくれたことは間違いのない真実として語ることができます。「ひとかかえの愛」をはじめて聴いた時には心の殻が溶けていくような安らぎを感じましたし、「旅人は風の国へ」については述べてきたとおりです。そして、その背景には、再び歌えるようになった真理さんのよろこびがあるということも言えるでしょう。



真理さんのよろこび

それです!!
心の殻が溶けていくような安らぎ・・・ひこうき雲さん、なんてすてきな表現なの!「ひとかかえの愛」この曲は天地真理さんからのエールそのもの、澄みきった、まさにあらん限りの「愛」がこめられていたのですものね・・。
休養前と後の声の違いをあげるとすれば、私はやはり「憂い」というものかな・・と。清らかさと合わせ鏡のように憂いの影が見え隠れする印象があるのは、どこかさみしげなメロディーが多いことによるのかも知れませんが・・。

喜びと哀しみを 一つに織りなして

はい、 今回の話題は、 真理さんの復帰が決まった時の喜びの大きさと、 寸分たがわぬ大きさの哀しみと共に、 私の想い出として刻み込まれています。

歌手活動休止中は、女性週刊誌が年に一度か精々二度くらいのスパンで取り上げていました、79年の隠し撮りされた小さな写真や記事の内容は、私の暗澹たる気持ちを更に押し潰し、擦り下ろされるようなものでした。

それ故に、ボイストレーニングに励んだ彼女が、「以前より高いところまで声が出るようになったの!」と、とっても嬉しそうに話すシーンをテレビで見たときは、胸がつまりました。

その声は、彼女の言葉に偽りなく、たしかに以前より高い音域まで出ていました、   ・・が、  75年から76年にかけての、わたくしが、最高域に達していたと思う彼女の声からしてみると、「張り・艶を伴う、押し出しの強さ」は、一歩 或いは二歩くらい 後退したかな、という印象でした。
でも! そんなことは、何にも勝る復帰の喜びの前に微々たるものでしかありませんでした!

やっぱり、喜び

遠い夏さまこんばんは。

真理さんの声から「パワフル」な要素が消えて、洗い清められたかのようなやわらかで美しい声音に変化していますよね、
高音部の伸びが健在なだけに、それによって「けなげな印象」をともなう声になったといえるよう・・・。

あの声もこの声も・・・すべて「天色の声」のパートのひとつ。
真理さんは私たちに「うた」で語っていらっしゃるのですものね!

命綱ーいのちづなー

ここであらためてひこうき雲さまの記事を読み返してみると、
歌手・天地真理の命綱である「声」のコンディションが、復帰への手ごたえを感じられるまでに回復出来たこと、長いトンネルの先にようやく見えてきた明るい扉へ向かって「振り返らないで」まっすぐに進む決意をされたこと、ご自身の心もようを歌に託して生きてこられた真理さんにとって、再び歌える喜びに勝るものはなく、過酷さを伴うウェイトコントロールのメニューさえも、うきうきとした心で取り組まれたのだろうなあ、と感じられます。
身も心も晴れやかにマイクを握っていらっしゃるこの動画の中の真理さん、たとえそれがつかの間の幸福だったとしても、この時は確かに、空いっぱいの幸せを実感していらっしゃったこと、そのすがたを万感の思いで見つめているスタッフの方々、ファンの皆さまの声援に包まれていたことに、なんだか私まで救われる思いです・・。

愛さん、ありがとう

愛さんの、愛に溢れたコメントは読んでて、とても心地好いですよ。

歌が恋人

今日はファンの方々の集い。何とかここまで書きたかったので・・

遠い夏さま・・
にわか仕立てに過ぎない、個人的な想像で書いているものをそのように受け止めてくださってありがとうございますー。

体重の急激な減少や増加とは、やはり精神的・肉体的疲労の蓄積に因るものだったのだろうな、と。ですからアイドルとして全力疾走されていた期間、あの光り輝いている笑顔の裏で、どれほどの孤独、どれほどの無理を心身共に抱え込んでいる状態、不自然な状態だったのかに尽きると思います。心の声に正直に向き合うことも、適切なケアを受けるだけの余裕もないまま、表面を取り繕いながらひたすら歌い続けていらっしゃったのでしょう・・。
酷使されたものはやがて摩耗するわけであり、あの光り輝くようなファルセットが思うように出せなくなってきたこと、それをカバーするための精一杯の工夫と努力を続けられた日々は、私たちにはうかがい知れない程の大きな不安、焦りとの「孤独なたたかい」だったはずです。
「童話作家」といううたを聴いていると、「これが今の私のすべて・・」真理さんの渾身の叫びのようなものが、伝わってきます。

頂点を極めたあとに訪れた声の変化と人気の翳り。これはもう自然の一つのサイクルであって、誰がどう間違っていたということではないと思います。
遠い夏さまのコメントに「以前より高いところまで声が出るようになったの!」と嬉しそうに語られていたという真理さんのエピソードがありましたが、これは真理さんの本音そのものだったんですね。

そして、2010年の今ー
かつて誰も想像出来なかった全く新しい方法で、天地真理さんのうたが甦っていること、実力が正当に評価されるようになったこと、その事実に、「天地真理」というお名前に何か天啓のようなものを観じている今日この頃です・・。

ひこうき雲さま。皆さま。お読みいただいて本当にありがとうございます!

真理さんへ

そのとき そのときの 有りよう を取り上げて、
真理さんを‘こんな歌手’、と決めることなどできません・・
ひとつの時代のトップバッターとして、誰も経験しなかった道を走り続けた歌姫であり、その折々のすべてが一枚一枚の花びらに刻まれて、美しい花を咲かせているのですから-。それは今もなお力強く咲いている「天地真理」という花・・。

真理さん、これからは一人で描くつづれ織りではなく、みんなで楽しいタペストリー、織りあげていきましょう!
動画職人の方々の作品、ご覧になっていらっしゃいますか・・?
真理さんの愛されたうたが生き生きと甦って、すてきですね。
もう過去の説明なんていりません。黙っていらっしゃって大丈夫です!

真理さんの笑顔を、そして涙も、これからはありのままに見せてくださいね・・・。そして普段着で、どこにでもおでかけくださいね!

真理さんを知らない世代だけど

私は  そのうたに 
なぜか 懐かしさと 揺るぎない安心を こころで観じてる・・・

「うた」は 時空に咲く花のよう
「うた」は時空に架かる虹のよう

その鼓動は 過去・現在・未来をつなぎ
世代を越え 国境を越えて
私たちの心を ひとつに結ぶー

深呼吸~

天地真理さんのある動画で、「サイクリング~サイクリング~♪」と楽しそうに言われていたのがとっても微笑ましかったです。。
サイクリングは即効性があっていいですよね~

女性は特に、心身の変調が体重に表れやすいようですね。
そこで気分転換の大切さが・・!

ひこうき雲さまは日頃どのようにリフレッシュされていますか?
私もちょっと疲れたらサイクリング派!
もうちょっと「んー?」と感じたら、阿蘇の頂上へGo-!
いきいきと噴煙の立ち昇る、エメラルドグリーンの美し~い河口湖に立つともう、スカーーッと。^0^。!「ミモザの花の咲く頃」なんて声張り上げて歌っちゃいますよ。(ガス出てるのであんまりマネしないで・・笑)
耳(?)にタコができるくらい、天地真理さんのうたばかり聴かせられている山、世界で他にないかも^^。阿蘇さんいつも聴いてくれてありがとう!

Re: 深呼吸~

愛さん
2つ上の真理さんへのメッセージ、感動しました。真理さんが読んでくれたら、本当にうれしいです。

きのうYoutubeの真理さんの動画をいくつか見ていて気づいたことがありました。「統計&データ」というところをクリックするとその動画についてのさまざまな統計が出ていますが、そこに視聴者の年齢、性別という統計もあります。多くの場合、あまり出ていないのですが、いくつかの動画で「年齢  13-17 男性」と出ていました。中学生か高校生ですね。そういう「真理さんを知らない世代」のひとが見に来ているんだと、とてもうれしくなりました。 13-17歳といえば、かつて“真理ちゃん”に夢中になった年代と同じですよね。きっと真理さんのうたは「世代を超えて」この少年を魅了したと思います。

リフレッシュですか・・・根が無精なのでたいしたことはしませんが、近所を歩いたりします。格好をつければ“ウォーキング”ですが、たらたらと歩いています。休みの日には日中、普段は夜歩いています。明るい時は空や雲や山や木々を見て楽しいです。夜も月や星を見て歩きます。クリスマスのころにはイルミネーションも楽しいです。肝心なことは耳にはイヤホン。真理さんのうたを聴きながら歩くとあっという間に時間が経ってしまいます。結局それが一番のリフレッシュですね。

愛さんは阿蘇へ出かけるのですか。スケールが違いますね。真理さんのうたを聴かせてあげれば阿蘇もご機嫌でいるのではないでしょうか。

ところで、阿蘇で思い出したことがあります。真理さんの全盛期のころ、少し年上の職場の同僚に「アソ・・」さんという人がいました。お子さんができた時、うれしそうに話してくれました。「名前は真理にしたよ」って。ほかにも「ルミ子」と名づけた人もいました。今、30代後半の女性で「真理さん」がいれば、きっと天地真理さんから名づけたのではないでしょうか。誰からも愛されていた真理さんでしたから。

描写力

季節を満喫しながらのウォーキング!それには真理さんのピュアボイス
と軽く爽やかなうたのリズムがぴったり・・ですね。

天地真理さんのうたの持つ、パノラマ的な魅力を支えているものの一つに、日本語の歌詞に託された豊かな表現があると思います。
空・海・山・風・虹・雨・雪・星・・・・透明感のある真理さんの歌声が、これらの描写を詩的にそしてドラマティックに演出。その心地よさに聴く方もなにか、細胞レベルで共振しているような感じです~
若い10代の方々が天地真理さんのうたから観じられているものも、このような瑞々しさや、表現の豊かさなのかもしれませんね・・・。

今年は記録的な降雪量となっていますが、さきほど「雪」がテーマとなっている真理さんの曲「私が雪だった日」の動画を拝見したところです。
自らを「雪」にたとえたメッセージソングであり、歌詞の魅力が堪能できるみごとな曲。雪のはかなさ、そして温もりが、風・空・雨・・とともに表現され、たとえようもない美しさが感じられる曲です。続く歌詞には・・
「あたたかい雪にもう一度なるわ」
「あなたの心にもう一度降るわ」
「雪どけの頃に思い出して ふくらんだつぼみに 私がいる」
「春を待ついのちを 育てるため・・」

これはラストソングだったのでしょうか?だとすれば間違いなく未来の再会を予感するものであり、ファンの方々への偽りのない思いがこめられていたのだなあ、と感じられ嬉しいです・・。また一つ大きな宝物発見ー☆すばらしい動画をありがとうございます!

わわっまた脱線しそうなのでこのへんで^^!
お読みいただいてありがとうございます。

















それは約束・・

ひこうき雲さま。
「旅人は風の国へ」「ひとかかえの愛」・・からダダダー、と心に浮かぶまま書きとめたものを、お読みいただけて幸せです~
そしてこのたび「私が雪だった日」という曲に出会え、さらに嬉しさを感じています!
ふわふわの白雪に包まれた、かわいい‘つぼみ’。
中に隠れていたお姫さま・・・見つけたー^^。
プロフィール

ひこうき雲

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