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束になっても

今回は「聴き比べ」ですが、ちょっと変わった聴き比べです。
先日、あるサイトを見ていたら、次の動画がアップされていました。新3人娘より少し若い世代の人気アイドルがほとんど勢ぞろいして「ビューティフルサンデー」を歌っていました。全体を見わたすと今のAKBみたいですが、1人1人がピカピカして”集団”に埋まっていないので、壮観ですね。うたも楽しめたのですが、ふと、真理さんの「ビューティフルサンデー」が頭に浮かんできて、比較してみたくなったのです。
とりあえず、動画を見て下さい。



Youtubeで調べたらこれは1976年5月5日放送の「「ヤング歌の祭典 アイドル全員集合」という番組のようです。(放送局は不明。NHK?)
誰が出ているか、皆さんはどれだけわかりましたか?Youtubeのコメントによれば、後から登場した紫のユニフォームの人たちは〈 岡田奈々+浅野ゆう子、林寛子+片平なぎさ、山口百恵+アグネスチャン+森昌子+桜田淳子、伊藤咲子+岩崎宏美+太田裕美、キャンディーズ 〉のようです。たしかに当時第一線のアイドルたちがほぼ“全員集合”ですね。
最初に歌っていた白いユニフォームの人たちはそれに次ぐ人たちのようで、わかる人もいました。しかしこの人たちは正直なところうたは下手ですね。そこでよく見知った顔の紫の人たちが登場して歌い始めた時には「さすが」と思いました。やはり第一線の人たちは違いますね。元気はつらつで、とても楽しく聴くことができました。

そこで思い浮かべたのは真理さんの「ビューティフルサンデー」です。同じ1976年の8月、大阪の梅田コマ劇場でのショーのライブ録音です。このショーの様子は以前このブログで紹介していますが、その中でも私のお気に入りの一つが「ビューティフルサンデー」です。聴いてください。



どうでしょうか?真理さんのうたはただ元気はつらつというのではなく、内側から弾けてくるような楽しさを感じませんか。冒頭、「さわやかな日曜」の晴れやかさはどうでしょう。続く「降り注ぐ太陽」では太陽の光が降り注いでくるような感覚があります。それはくっきりとアクセントをつけていることで生まれる効果ですね。「ハ、ハ、ハ」というところもメリハリがあり、繰り返すほどにどんどん高揚していきます。
真理さんは1人で歌っているので音量的には20倍くらいのアイドルたちの方が有利なのは当然ですし、真理さんの場合には会場録音で音質が鮮明ではなく不利ですが、聴いた印象では真理さんの方がむしろ盛り上げる力があるように思えます。
もちろん、アイドルたちは一人一人がマイクを持っているわけではなく、ある意味で余興的な位置づけだと思うので、自分のショーでプログラムの中の曲として歌う真理さんと比較するのは公平でないかもしれません。
しかしこれらの動画で聴けるままを判断するなら、これだけの第一線アイドルが束になっても真理さんの躍動する楽しさには及ばないと私には思えました。皆さんはどう聴かれましたか?


※ 天地真理動画プロジェクト(仮称)の「歌手 天地真理を知っていますか」「空前のアイドルへの道」「フォーク歌手 天地真理」への意見、感想も引き続きお願いします。

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追悼 森岡賢一郎さん

作・編曲家の森岡賢一郎さんが8月19日に亡くなりました。
森岡さんは特に編曲で知られ、「ブルー・シャトウ」「今日でお別れ」「君といつまでも」「恋のしずく」「瀬戸の花嫁」「霧の摩周湖」など数々のヒット曲を手掛けた方です。
真理さんの楽曲では、まず何といってもデビュー曲「水色の恋」の編曲でお馴染みですね。真理さんがデビュー前に歌った原曲「小さな私」とシングルとして発売された「水色の恋」を比べれば、編曲だけでなく、アマチュア作品であった「小さな私」の補作曲もされたのだと思います。ですから、私たちが持っている「水色の恋」のイメージは森岡さんが作ったと言っても過言ではないと思いますし、歌手天地真理の誕生に深く関わった方と言えます。
その後も真理さんとの関係は深く、アルバムには森岡さんが作曲(もちろん編曲も)された作品がいくつもあります。最初のオリジナルアルバムであるセカンドアルバムの「好きだから」「ひとりぼっちの私」、全盛期の「ミモザの花の咲くころ」(アルバム「若葉のささやき」)、「季節はずれの白いボート」「恋の世界」(アルバム「恋する夏の日」)がそうです。特に「好きだから」「ミモザの花の咲くころ」「季節はずれの白いボート」は真理さんの(シングル以外の)オリジナル曲の中でも屈指の名曲と言ってよく、真理さんのうたの魅力を100%引き出した作品だと私は思っていますし、実際多くの人に愛されている曲だと思います。
そして今回あらためて調べて気が付いたのですが、真理さんの(休養前)最後の時期の作品にも深く関わっておられたのですね。つまりこの時期の3枚のシングルの編曲を担当されていたのです。「矢車草/愛がほしい」「愛の渚/一杯のレモンティー」そして「夢ほのぼの」です。「矢車草」の印象的なブラス、「愛の渚」の弾むような前奏、「一杯のレモンティー」の洒脱なアレンジ、これらが森岡さんの編曲だったのですね。
どうしても作曲者には注意を払うのですが、編曲者は見逃しがちです。しかし編曲はある意味で作曲以上に曲のイメージを決定づける重要な要素ですね。編曲が違うと全く違う曲に聴こえるということもよくあることです。作曲は鼻歌でもできますが、編曲は各楽器の特性を十分理解し、さらにそれぞれの音色が重なった時どうなるか、という想像力も必要です。したがって編曲にはしっかりした音楽的素養がなければなりませんが、Wikipediaによれば作曲を團伊玖磨氏に師事したとあり、ポピュラー音楽の世界だけでなく、ソプラノ歌手カーティア・リッチャレッリのコンサートのプロデュースをしたり、バイオリニスト佐藤陽子とピアニストとして共演したり、クラシック音楽にも通じた方だったのですね。そのせいか、森岡さんの作品は作曲にしても編曲にしてもやわらかく流麗で落ち着いた品格があるように感じます。
ともかく、真理さんの全盛期の最初から(休養前)最後まで支えてくださった方です。感謝とともにご冥福をお祈りいたします。


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