消えた8万票
3月17日NHKFM「歌謡スクランブル」リクエスト特集で天地真理さんの「若葉のささやき」がかかりました。お聴きになれなかった方もおられると思いますので、お聴きください。リクエストはtenchimassuguさん、水色うさぎさんからでした。また曲は違っても真理さんの曲へたくさんの方からリクエストがあったということです。また機会があればさらに多くの方からのリクエストへの参加を期待します。
さて本題です。前回に引き続き雑誌「平凡」で天地真理さん担当編集者であった塩澤幸登さんの「忘れられない人」シリーズの話題です。
前回は1973年9月の「平凡」人気投票を紹介しましたが、今回は翌年1974年9月の人気投票です。これは天地真理さんの記事にも文章の中で触れられていますが、山口百恵(上)の記事の中に整理されて出ています。それを表にすると次のようになります。

前年10位だった山口百恵さんがトップに立ち、圧倒的な1位であった天地真理さんは6位に後退してしまいました。しかも票数を見ると前年の10分の1しかありません。いったい何があったのでしょうか。ただ山口百恵さんも33000票余りで前年1位の天地真理さん87000票には遠く及ばないのです。投票総数自体も9万票減っています。そこで得票数でグラフにしてみると次のようになります。(対象は両方の投票で共通の9名です)

この変化を塩澤さんは次のように考察しています。
「全体の投票数も下がっているのだが、天地真理が膨大な票数を失い、浅田、麻丘、小柳ルミ子らもある程度の大きさの被害を被り、それらの一部が山口百恵の票に流れたという分析でいいのではないかと思う。天地真理の持っていた大量の支持票はごっそりどこかに消えてしまった印象がある。」
たしかにグラフで見ると真理さんの8万票がそっくり消えて、残った票の中で百恵さんがシェアを伸ばした、という印象です。つまりこのグラフで考えるなら、真理さんは次々と登場してきた年下のアイドル達に人気を奪われたのではなく、真理さんの巨大な人気それ自体が自壊するように消え去ったということになるのではないでしょうか。
それでは、真理さんの8万票はどうして消え、どこへ行ったのでしょう? 私も塩澤さんの指摘で”消えた8万票”のことを知ったばかりで確定的なことは何も言えません。しかしいくつか思いつくことを挙げてみます。
一つ考えられることは”卒業”ということです。「平凡」の読者の中心は中学生だと思うのですが、当然1年1年学年は上がっていきます。真理さんのファンだった中学生が高校生になって「平凡」を買わなくなる、つまり「平凡」読者を卒業すると当然人気投票にも投票しなくなります。
また当時の高校生ではフォークや洋楽へと関心が移る人も多かったと思われます。つまり歌謡曲からの卒業という流れもかなりあったと思われます。これは人気投票だけでなくレコード売り上げにも大きな影響を与えたはずです。
ただいずれも単なる推測で根拠のあることではありません。また塩澤さんは72年以前や75年以後の人気投票については書いておられませんが、もし各年の人気投票のデータがあればもう少し深く探ることもできるかもしれません。
また塩澤さんによれば実は「平凡」の発行部数自体がこの前後かなり増減しているようで、それがどうして起こったのかとういうことも関係してくると思われます。
というわけで謎は解けませんでしたが、皆さんはどう考えますか?
<放送予定>
3月30日(木) 13:00~ NHKFM「歌謡スクランブル」
アイドルコレクション(1)で「水色の恋」がかかります。
4月3日(月)午前3:00~ NHKFM「ラジオ深夜便」で
<70年代アイドル・ファイル 天地真理集>です。
4月5日(水)13:00~ NHKFM「歌謡スクランブル」
青春のメロディー(3)で「ひとりじゃないの」がかかります。
アーカイブ(過去記事)へ
ホームページ「空いっぱいの幸せ」へ
コメントは掲載までに多少時間がかかることがあります。しばらくお待ちください。
さて本題です。前回に引き続き雑誌「平凡」で天地真理さん担当編集者であった塩澤幸登さんの「忘れられない人」シリーズの話題です。
前回は1973年9月の「平凡」人気投票を紹介しましたが、今回は翌年1974年9月の人気投票です。これは天地真理さんの記事にも文章の中で触れられていますが、山口百恵(上)の記事の中に整理されて出ています。それを表にすると次のようになります。

前年10位だった山口百恵さんがトップに立ち、圧倒的な1位であった天地真理さんは6位に後退してしまいました。しかも票数を見ると前年の10分の1しかありません。いったい何があったのでしょうか。ただ山口百恵さんも33000票余りで前年1位の天地真理さん87000票には遠く及ばないのです。投票総数自体も9万票減っています。そこで得票数でグラフにしてみると次のようになります。(対象は両方の投票で共通の9名です)

この変化を塩澤さんは次のように考察しています。
「全体の投票数も下がっているのだが、天地真理が膨大な票数を失い、浅田、麻丘、小柳ルミ子らもある程度の大きさの被害を被り、それらの一部が山口百恵の票に流れたという分析でいいのではないかと思う。天地真理の持っていた大量の支持票はごっそりどこかに消えてしまった印象がある。」
たしかにグラフで見ると真理さんの8万票がそっくり消えて、残った票の中で百恵さんがシェアを伸ばした、という印象です。つまりこのグラフで考えるなら、真理さんは次々と登場してきた年下のアイドル達に人気を奪われたのではなく、真理さんの巨大な人気それ自体が自壊するように消え去ったということになるのではないでしょうか。
それでは、真理さんの8万票はどうして消え、どこへ行ったのでしょう? 私も塩澤さんの指摘で”消えた8万票”のことを知ったばかりで確定的なことは何も言えません。しかしいくつか思いつくことを挙げてみます。
一つ考えられることは”卒業”ということです。「平凡」の読者の中心は中学生だと思うのですが、当然1年1年学年は上がっていきます。真理さんのファンだった中学生が高校生になって「平凡」を買わなくなる、つまり「平凡」読者を卒業すると当然人気投票にも投票しなくなります。
また当時の高校生ではフォークや洋楽へと関心が移る人も多かったと思われます。つまり歌謡曲からの卒業という流れもかなりあったと思われます。これは人気投票だけでなくレコード売り上げにも大きな影響を与えたはずです。
ただいずれも単なる推測で根拠のあることではありません。また塩澤さんは72年以前や75年以後の人気投票については書いておられませんが、もし各年の人気投票のデータがあればもう少し深く探ることもできるかもしれません。
また塩澤さんによれば実は「平凡」の発行部数自体がこの前後かなり増減しているようで、それがどうして起こったのかとういうことも関係してくると思われます。
というわけで謎は解けませんでしたが、皆さんはどう考えますか?
<放送予定>
3月30日(木) 13:00~ NHKFM「歌謡スクランブル」
アイドルコレクション(1)で「水色の恋」がかかります。
4月3日(月)午前3:00~ NHKFM「ラジオ深夜便」で
<70年代アイドル・ファイル 天地真理集>です。
4月5日(水)13:00~ NHKFM「歌謡スクランブル」
青春のメロディー(3)で「ひとりじゃないの」がかかります。
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