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FM軽井沢 「天地真理特集」第6回

FM軽井沢「太田忠の経済・金融縦横無尽」天地真理特集第6回が6月25日に放送されました。

まず前半をお聴きください。
なお「若葉のささやき」の動画部分は1973年レコード大賞授賞式の場面です。ただこの時はテンポが速く一番しか歌っていませんので切り貼りで音に合わせました。そのため不自然なところがあることをご承知ください。


今回のテーマは編曲ということですが、たしかに太田さんが解説してくださっているように編曲が果たす役割は大きいですね。編曲の例として「ひとりじゃないの」のシングル版(馬飼野俊一編曲)が紹介されていますが、この曲もセカンドアルバム版や歌詞違い版の森田公一編曲のものと比べるとかなり印象が違いますね。曲のイメージを決定づけると言ってもいいかもしれません。その意味でとても興味深いテーマですね。
真理さんの曲のおもな編曲者として森岡賢一郎さん、馬飼野俊一さんに続いて竜崎孝路さんが紹介されています。竜崎さんは「若葉のささやき」で1973年のレコード大賞編曲賞を受賞されましたが、たしかに「若葉のささやき」の最初のストリングスの響きなどみずみずしい若葉のむせるような香りがしてくるようで実に見事ですね。
竜崎さんの編曲はそのほかにシングル5曲が紹介されています。まさに真理さんの全盛期の作品群ですね。こうしてそれらを通して聴いていて、今回特に感じたのは真理さんのうたの<力>です。湧き上がってくる生命の力強さのようなものがありますね。時に”凄み”のようなものさえ感じました。そしてそれには竜崎さんの編曲も影響しているのかもしれません。私には具体的な分析はできませんが、竜崎さんの編曲は結構華やかで豪勢で、しかしさわやかで軽く、沈殿したものがないという印象です。もちろん歌手や曲によって変わるでしょうが真理さんの曲ではそんな印象を持ちました。

では後半です。


後半は同じ曲を違う編曲で比べてみようということで「夏を忘れた海」が取り上げられました。太田さんが解説されているように真理さんはこの曲がお気に入りでコンサートでも必ずと言っていいほど取り入れていました。それだけに様々なバージョンがあります。
まずスタンダードになる森田公一編曲版(アルバム「明日へのメロディー」)と3年間のブランクからの復帰第一作の限定盤として録音された戸塚修編曲版が比較されていますが、戸塚版は編曲も全く違いますが、真理さんの声も表現も以前とは違っていて、まるで別の曲のようですね。
次にコンサート向けということで、「オンステージ」の石川鷹彦版と竜崎孝路版が紹介されました。石川版はギター(たぶん石川さん自身)とトライアングルだけのシンプルなアレンジですが、真理さんは彼らを全面的に信頼して自由自在に歌っていて、隅から隅まで繊細な表情に満たされた名唱です。竜崎版は太田さんも言っておられる通り真理さんのピアノ弾き歌いですから、自分の思い通りに歌えるはずですが、一方でピアノにかなりの神経を使うので大変だったと思います。しかし歌もピアノもともに見事ですね。

最後は4拍子(作詞、作曲、編曲、歌手)揃った曲ということで2曲取り上げられました。「季節外れの白いボート」はアルバム「恋する夏の日」に収録されている曲で青春のよろこびが陶酔的に歌われていて私も大好きな曲です。「風花のさよなら」は最後のアルバム「童話作家」に収録されていて、対照的に青春に別れを告げる曲です。私のラジオネーム「風花」はこの曲の題名からとりました。ただしこの曲では「カザバナ」ですが「私の場合は「カザハナ」です。それはともかく研ぎ澄まされた美しさを持つ曲ですね。

さて、今回の天地真理特集⑤⑥も充実した素晴らしい内容でした。やはりこうしてじっくりと真理さんの歌が聴ける番組というのはいいですね。太田さんは「折り返し点」とおっしゃっていますからまだ何回か期待できそうです。楽しみに待ちましょう。
しかしこれはたまたま太田さんがご自分の番組をお持ちだったから実現しているのですが、こういう番組をNHKやキー局で実現できないでしょうか。私たちの努力次第ですね。

 
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FM軽井沢 「天地真理特集」第5回

FM軽井沢「太田忠の経済・金融縦横無尽」での「天地真理特集」の第5回が6月18日(土)に放送されました。

まず前半をお聴きください。


最初に太田さんは「天地真理さんの本質的部分に迫りたい」と今回のテーマを設定されています。そしてあれだけの実績を持ちながら現在「正当な評価が著しくゆがめられている」のはなぜか、ということで、1977~79年の「3年間の空白」に言及されています。
実はこのテーマは第3回についての私の記事とコメントでのやり取りの中で太田さんが第5回で取り上げたいと予告されていたものです。
たしかにあの3年間の「空白」がなければその後の真理さんの人生は全く違ったものになっていたかもしれません。私も、太田さんがおっしゃる通りこの3年間は「天地真理」を評価するうえで「絶対に避けて通れない点」だと思っています。今、真理さんを中傷、揶揄する人たちはもちろん、好意的な人たちでも、そもそもこの3年間が存在したことさえ知らない人が多いのではないでしょうか。それだけにラジオを聴いている人々にそのことを紹介していただいたことはとても意義のあることだと思います。
この3年間のことについて太田さんは「日本一」のプレッシャーを背負い続け身体も魂も削るほどの激務に耐え、マスコミからの強烈なバッシングとも戦って力尽きたためと推測されています。私も基本的に同じ見解です。そしてその3年間がどのような日々であり、復帰にあたってもどれほどの努力を必要としたか、その一端は以前に記事に書きました。
しかし太田さんが言われるように「真理さんはその後復帰したものの結局心身のバランスを崩して歌えなくなってしまった」のです。
そして「そのことが今も生き続けている天地真理さんの普遍性につながってくる」ということで、「あなたが教えてくれた歌」がかかりました。
この曲について太田さんは、今ではいわば主客の逆転が起きていると言っておられます。つまり、真理さんが「あなたが教えてくれた歌」につつまれているのではなく、私たちこそ真理さんのうたに包まれているのだというのです。私も第4回の記事やホームページ「空いっぱいの幸せ」の各曲寸評で同様のことを書きました。この曲を聴くと自然に真理さんへの感謝の気持ちが湧き上がってくるのです。
真理さん自身はかつてのように歌えなくなったけれど、真理さんが身も心もを削って残してくれた歌の数々はそれ自体として命をもって私たちの心を包んでくれている、太田さんの言う「普遍性」とはそういう意味かなと私は解釈したのですが、どうなのでしょうか?
その後の「水色の恋」とそれに続く太田さんの天地真理さんへの評価は本当によく言ってくださったと思います。放送を聴いていた人たちにも強い印象が残ったのではないでしょうか。「デビュー以来45年、天地真理を超える歌手は一人も出ていない」私も深く共感します。

さて、その次のテ-マは真理さんを支えた2人の女性作詞家ということで、まず安井かずみさんが取り上げられました。たしかに真理さんと安井さんは縁が深く、真理さんのヨーロッパ旅行へも同行したことがありましたし、ミュージカル「君よ知るや南の国」の作詞も手掛けています。太田さんは安井さんを当時の女性のロールモデルと表現しておられますが、真理さんもそうした様々な機会に間近で安井さんの生き方を見ていたでしょう。
ここでは「ちいさな恋」と「さよならこんにちわ」(山口洋子さんと共作)がかかりましたが、安井さんの作詞した歌はこの2曲でもわかるように説明的でなく詩的で、とても魅力的なものが多いと私は感じています。

では後半です。


まず、結婚された安井さんと加藤和彦さんの作品が2曲です。いずれも青春の息吹に満ちた曲ですね。お二人の息もあっていると思いますが、いずれもセカンドアルバムですから1972年の作品でこの時はお二人は結婚していません。この頃、お二人はお互いをどう感じながらこれらの曲を作っていたのでしょうね?

次に取り上げられたのは岩谷時子さんです。岩谷さんは真理さんの休養前の最後の時期に作詞を担当された方です。年齢と関係あるかわかりませんが、岩谷さんの作詞された歌には透明感があるように私は感じています。
「矢車草」「愛の渚」はシングルA面ですからある程度知られているかもしれませんが「愛がほしい」はあまり知られていないと思います。私も好きな曲ですがここで取り上げてもらって良かったと思います。

最後は復帰に際して限定盤として収録された「ひとかかえの愛」でしたが、この曲にも「主客の逆転」が見られます。中間のセリフで「お会い出来てとてもうれしい」という言葉がありますが、ファンにとって真理さんが再び戻ってきてくれたよろこびをこの言葉に感じたと思います。「お会い出来てとてもうれしい」と。

今回は歌手天地真理の人生に迫る少し重い内容でしたが、太田さんはファンが言いたいことをよく代弁していただいたと思います。感謝いたします。この放送を聴いた方たちから誤解が溶けて真理さんへのまっとうな理解が進むことを願っています。



FM軽井沢 天地真理特集 のお知らせ

FM軽井沢の『軽井沢発!太田忠の経済・金融“縦横無尽”』で天地真理特集の続編が放送されます。
放送日は次の通りです。
   6月25日(土)午後4時~5時 天地真理特集⑥
「さくら貝掲示板」の太田さんのメッセージを転載します
天地真理特集⑥では「天地真理の編曲の最大の立役者」「アレンジで変わる曲調聴き比べ」をトピックとし、歌謡曲における「編曲・アレンジ」という領域にスポットを当ててみたいと思います。「この曲は誰が作詞をして作曲したのか」は一般的に興味を持たれますが、「誰が編曲したのか」は話題にもなりません。その点を掘り起こす試みをおこないます。加えて、「4拍子揃った名曲」もご紹介します。番組中に取り上げる曲は全部で12曲となります。

FM軽井沢はインターネットラジオにてPCやスマホで全国・全世界から視聴が可能です(詳しくはFM軽井沢のHP参照)




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聴き比べ 旅人よ

久しぶりに聴き比べシリーズです。いつもはレコード(CD) 音源の曲ですが、今回はファンの方々によるライブ録音を取り上げてみたいと思います。曲は加山雄三さんの『旅人よ』(作詞:岩谷時子、作曲:弾厚作)です。

ではまずご本家加山雄三さんです。

加山さんは作曲の才能はすぐれたものがありますが、うたは巧い人ではありませんね。表情というものがあまりありません。しかし逆に妙なクセがなく、気持ちの赴くままのびのびと歌うのが魅力となっています。特にこのシングル版は若々しさが素晴らしいですね。

カバーの最初は井上陽水さんです。

前奏からアレンジが独特ですね。私は最初、何か切羽詰まったような感じを受けたのですが、聴いていくうちにどんどん前に進んでいくような印象を作ろうとしているのかなと思えてきました。そう考えると歌詞とも合っているのかなと思いますし、うたもそういうつもりなのかもしれません。でも私には、お風呂に浸かって気持ちよく歌っているうたのようにも感じられます。

小椋佳さんも歌っていました。

ちょっと意外なうたでした。この人ならもっとデリケートで抒情的なうたになるかと思ったのですが、むしろやや陽水風ですね。若者を励ます歌だから元気に歌おうとしたのでしょうか。もちろん声はソフトですし、時に儚い表情を見せるところもありますが。

次は加山雄三さんと森山良子さんの共演です。

これはいつ頃のライブかわかりませんが加山さんも少し歳をとられましたね。声に以前の張りがありません。もちろん年齢からすればよく出ていると思いますが。そのかわり表情は以前より豊かになっています。森山良子さんは合わせるところは見事ですね。ただソロのところになるとやはり声に年齢を感じますし、どうしてこんなに大げさに歌うのかな、と思ってしまいました。やはり若い頃だったらもっとさっぱりと歌ったのではないでしょうか。

次はキャンディーズですが、このライブは1976年10月ということですから真理さんがこの曲をコンサートで歌っていた頃ですね。偶然でしょうか?あるいは渡辺プロつながりで、真理さんが歌って評判が良かったと聞いて取り入れたのでしょうか? 

ここまでおじさんやおばさん(失礼!)のうたを聴いてきてキャンディーズを聴くと、すごく幼い感じがしてしまいますね。3人で歌うと細かな表情はつけにくいですからその点は仕方ないですが、声が練れていない感じです。でも弾む楽しさは他の人にはないものですね。それにしても動画の中でスーちゃんがはつらつと歌って動いているのを見ると胸が詰まりました。

さてそれではいよいよ天地真理さんです。1976年8月の梅田コマ劇場での公演です。

いかがでしたか?唖然とするほどの名唱ですね。客席での録音ですから本来の真理さんの声と少し違う印象があるかもしれませんが、朗々とした歌い方は形がくっきりとしていて実に格調があり、ことばから自然に生まれてくる表情は心の中にしっとりと浸みこんできます。例えば冒頭「(風に震える緑の)草原」の美しさはどうでしょう。聴く者にはるかな憧れと懐かしさを引き起こし一気に酔わせてしまう見事さ! 加山雄三、井上陽水、小椋佳、森山良子といった、いわば大御所的な人たちを当時24歳の真理さんがはるかに超えてしまっていたと感じるのは私だけでしょうか。

しかし驚くのはまだ早いのです。もう一つ、梅コマ公演の約一か月後、1976年9月の中野サンプラザホールでの全国縦断ツァー「天地真理リサイタル・そよ風に誘われて」からお聴きください。

梅コマ公演からわずか一か月しか経っていないのに全く違いますね。梅コマ版はスケールが大きく歌謡的だとすれば、こちらは繊細でみずみずしい詩的な表現です。一言一言、どこをとっても漫然と流して歌うということがなく、刻々と表情が変化していきます。梅コマ版のように朗々とは歌わず、一節一節に間をおいて、感情があふれようとするところを抑えに抑えて、細やかな表現に徹しています。冒頭の「草原」も淡々としています。しかしそこに壊れてしまいそうな儚さが沁み出してきます。そしてそれはこのバージョンの基調でもあります。梅コマ版は真理さん自身の心が高揚していくことで聴く者の心を震わせていくうたですが、こちらは高揚を抑えた寡黙な歌い方であることによって真理さん自身の心の震えがそのまま音として生まれてくるようなうたになっています。
これもまた”天地真理の奇跡”の一つでしょう。

※「梅コマ 天地真理ショー」「中野サンプラザ 天地真理リサイタル」の様子は下の「アーカイブへ」をクリックして目次の 27、44・45 でお聴きいただけます。


FM軽井沢 天地真理特集 のお知らせ

FM軽井沢の『軽井沢発!太田忠の経済・金融“縦横無尽”』で天地真理特集の続編が放送されます。
放送日は次の通りです。
   6月18日(土)午後4時~5時 天地真理特集⑤
   6月25日(土)午後4時~5時 天地真理特集⑥

「さくら貝掲示板」の太田さんのメッセージを転載します
昨年に特集番組を4回放送させていただきました。各回とも柱となるトピックを立てて真理さんの曲を幅広く取り上げましたが、続編においても同じ方針で番組構成をおこないます。
今回の特別番組の内容ですが、空白の3年間のもつ意味、天地真理を支えた二人の女性、アレンジで変わる曲調聴き比べ、天地真理の編曲の最大の立役者、4拍子揃った名曲…などを予定しています。番組中で流す天地真理さんの歌の曲数は20曲程度を予定しております。
FM軽井沢はインターネットラジオにてPCやスマホで全国・全世界から視聴が可能です(詳しくはFM軽井沢のHP参照)

待ち遠しいですね。



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