短歌で詠まれた「ひとりじゃないの」

「さくら貝」掲示板にも速報で書きましたが、2月8日の朝日新聞の短歌投稿ページ<朝日歌壇>に次の歌が載っていました。

 ハミングで喜び隠す大晦日「ひとりじゃないってすてきなことね」

作者は和泉市のS・Yさん、選者は佐佐木幸綱さんでした。S・Yさんは新聞では実名が出ていますが、一般の方ですのでここではイニシャルのみにします。
この歌はどういうことを詠んだのでしょう?
この作者は女性ですが、大晦日に何かとてもいいことがあったのでしょうね。
朝日歌壇では中・高・大学生などの若い人の歌もよく選ばれていますから、もしS・Yさんがそういう若い方であれば、たとえば、心寄せていた人と想いが通じあう会話があったのかもしれません。
でも「ひとりじゃないの」が自然に出てくるということは年配の方でしょうか。もちろんその場合でも恋の歌で不思議はありませんが、少し違う状況かもしれません。たとえば寂しく孤独だった心が周囲のやさしくあたたかな心に出会えたとか、いろいろな想像ができますね。
ともかく、「ひとりじゃないってすてきなことね」と大声で歌い出したいようなうれしさを、そっと宝物を抱えるようにハミングで口ずさむ、そんな情景が浮かんできます。

私は朝日歌壇はいつも見ているのですが、歌の中に流行歌の一節が詠みこまれた例は私の記憶ではあまりありません。もちろん今回は真理さんの曲なので気が付いたけれど他の人の曲には気が付かなかっただけかもしれません。
いずれにしても今も真理さんのうたが喜びとともに歌われ、人々の心を温めてくれているのはうれしいことですね。

そこで「さくら貝」掲示板では皆さんも作ってみたらと呼びかけたのですが、残念ながら今のところ反応がありません。
私自身も短歌の才はなくて、学校の授業以外で作ったことはないのですが、言い出しっぺなので頭をひねってみました。
稚拙で恥ずかしいですが、こんな歌が出来ました。

 冬の朝 暖かな歌声聴こえたり 朝日歌壇に「ひとりじゃないの」

いくつか差し替えの候補もあって、言葉を選ぶというのは難しいと思いました。でも何とか出来てちょっとうれしいです。

真理さんのファンには歌を詠む人、詩を書く人もおられますし、著名な小説家の方もおられます。でも素人でもちょっと遊んでみると楽しいですよ。いい作品ができたら教えてください。


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「水の上で歌える」

先日、1月27日テレビで「華の乱」という映画を見ました。与謝野晶子(吉永小百合)をめぐる人々を描いた映画で、与謝野鉄幹:緒方拳、有島武郎:松田優作、松井須磨子:松坂慶子、波多野秋子:池上季実子、監督:深作欣二という顔ぶれで充実した映画でした。
私は30分くらいたった頃から見始めたのでその前はわかりませんが、晶子と有島の恋をテーマにした筋でした。もちろんそれはフィクションだと思いますが、この時代の知識人青年の苦悩を引き受けたような松田の見事な演技もあって本当のように思えてきました。

Youtubeに予告編がありました。作品の雰囲気がよく出ていると思いますのでご覧ください。



ここで作品の基調となる雰囲気を作っているのは音楽ですね。この曲はシューベルトの「水の上で歌える」という歌曲です。今は「水の上で歌う」と訳されているようですが、味気ないので、私は以前使われていた「水の上で歌える」という題を使いたいと思います。
この曲は最初、晶子が有島に強く誘われて訪ねた北海道の別荘の場面で流れてきます。夕食のワインで眠ってしまった晶子が夢の中で有島と熱い時を過ごしている時、この曲が聴こえてきます。目を覚ますとそれは隣室で有島がかけていたレコードから聴こえていたのです。晶子に曲名を尋ねられ有島が答えると、晶子は「寂しい曲ですね」と言います。それに対し有島が「美しいものは寂しいのです」と言うと晶子は夢の中では寂しくは聴こえなかったと言い、それに続けて予告編の冒頭の言葉「時の流れを止めてください」をささやきます。深い陰影をもった画面の中で、苦しい想いと熱い情念とが交錯するすばらしい場面です。その時2人の波立つ想いをくっきりと描き出すのがこの曲です。

この曲の歌詞と訳詞がこちらで見られます。「シューベルトの音楽の特徴の一つである幸せの中の悲しみ、死への憧れがよく表れた歌曲」という解説も適切です。誰が選んだのかわかりませんがこの場面、そしてこの映画の基調としてぴったりの曲ですね。
もうひとつ、こちらでは別の訳詞と聴き比べがあります。
シュワルツコップについては前に紹介したことがあります(3人の女性アーティスト)が、やはりこの曲の本質を見事に表現しています。それからゼーフリートも細やかな表情が素晴らしいですね。映画で使われているのはアメリンクのようですが、リンク先が削除されていて残念ながら聴けません。アメリンクは自然でみずみずしい表現をする人で、予告編で聴こえるうたも情感がとても豊かです。実はふと思いついて、予告編の画面にシュワルツコップのうたをかぶせて聴いてみたのですが全く合いませんでした。シュワルツコップのうたは音楽それ自体で完成していてBGM的な使い方に合わないのでしょう。アメリンクの場合は“生身”の人を感じさせるところがあるので合うのだと思います。
予告編の音声をミュートにします。別タブで音声を聴く動画を
  スタートさせます。予告編の画面に戻ってスタートさせます。)


もう一人、バーバラ・ストライサンドが歌っているのにはびっくりしました。彼女はうまい人ですし、ほかにもクラシックの曲をいろいろ歌っていて、この聴き比べでも高く評価されていますね。ただ、予告編の画面に重ねてみるとやはり全く合わないですね。とても健康的で映画の切なさが全くないのです。もちろんこの曲はこの映画のための曲ではないのですから、一つの表現としてそれでいいのです。でもそうすることで特徴はよくわかったと思います。「美しいものは寂しいのです」という有島の言葉にある<はかなさ>はあまり感じられません。

そこで私が思ったのは、この曲を天地真理さんが歌ったらどうだっただろう?ということでした。真理さんは高校で声楽を学んでいますが、クラシックの歌曲を歌ったのはあまり記憶にありません。何かの番組の「ご対面コーナー」でかつての憧れの人であったウィーン少年合唱団の元団員の青年と「野ばら」を一緒に歌ったのは覚えていますが、それくらいです。ですから想像するしかないのですが、やはり少し明るすぎるかもしれないと考えながら、またまた思い付きで予告編の画面に「木枯らしの鋪道」を重ねてみました。すると意外にもよく合うのです。画面の大正ロマンのような雰囲気にぴったり合うのです。哀愁路線の曲だからと言うこともできますが、真理さんの声と歌い方の特質だと思います。基本的には明るいけれど、キンキンした明るさではなくやさしくソフトな声、過剰な演出は無いがデリケートな表情付け、そうした特質で真理さんは美しく歌います。そして「美しいものは寂しい」のです。しかし真理さんの寂しさは暗い寂しさではありません。私が「空いっぱいの幸せ」について書いたように生命の輝きを秘めた寂しさです。それだけに真理さんが歌うこの曲をぜひ聴きたかったと思うのです。


※リクエスト情報

FMしばたhttp://www.agatt769.co.jp/index.htmlから。

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