カバーされた真理さん 外国編

「カバーされた真理さん」、今回はおまけの外国編です。

日本ではあまり知られていませんでしたが、全盛期の真理さんは東南アジア諸国でかなり有名だったようです。1950~60年代の日本でアメリカのヒット曲や歌手が若者たちの共感を呼んで、日本人歌手が歌う日本語歌詞のポピュラーソングがヒットしたように、東南アジア諸国で日本のヒット曲がそれぞれの言葉の歌詞で歌われ親しまれたようです。

まず、ミャンマー(ビルマ)の様子です。この歌は何でしょうか?


このデュエットについて2003年ごろの何かの掲示板で話題になっていました。それによれば、この男性はヤンアウン(Yan Aung)という人でおそらくミャンマーでは大スターなのでしょう。そしてこのステージは信じられないくらい豪華なメンバーで、有名女優総出演と言っていいそうです。2002年にそのDVDが発売になっているようですから、この映像はその一部なのでしょう。そしてその最初に歌われたのが、「若葉のささやき」(ミャンマーでのタイトルはわかりません)で、女性はミャンマーでアカデミー主演女優賞5回受賞というメイタンヌ(? Than Nu )と言う人です。
ミャンマーでは日本の歌謡曲がかなりミャンマー語版で知られているようで、「上を向いて歩こう」はたいていの人が歌えると書いてありました。ただ日本とはだいぶ違うイメージになっている場合も多く、「私の青い鳥」を男声歌手が歌っていたり、自然が素晴らしいことを表現する時なぜか「お座敷小唄」がBGMに使われたりということがあるそうです。この「若葉のささやき」も言葉はわかりませんがだいぶ雰囲気が違いますね。
実は70年代に映画「愛ってなんだろ」がミャンマーで上映されたそうで、その挿入歌の「若葉のささやき」「ふたりの日曜日」「ひとりじゃないの」「虹をわたって」などもミャンマー語版ができ、特に「虹をわたって」は今でも(2003年当時)よく歌われるということでした。
天地真理さんはミャンマーでも憧れの大スターだったのですね。

次は中国です。黃思雯(CECILIA WONG)と言う人の歌う「朋友再見」と言う曲です。


私は中国語はわかりませんが、「朋友再見」という題名の意味はわかります。そこが漢字の偉大なところですね。
それはともかく、原曲は「想い出のセレナーデ」ですね。
この歌手は香港のひとのようです。Youtubeにも「ブルーライトヨコハマ」や石川ひとみさん、チェリッシュの曲の中国語カバーがあります。この人が香港でどういう位置の人かはわかりませんが、なかなかよく歌っているし、意味はわかりませんが中国語詞もうまく曲になじんでいるように思います。
香港と言えばアグネス・チャンさんですが、彼女が日本に来た時、知っていた日本の歌手の名は「天地真理」だけだったと語っていたのを何かの記事で読んだ覚えがあります。

私が見つけることが出来たのはこの2カ国ですが、他にもあるかもしれませんね。知っている方がおられたら教えてください。

年内の更新はこれが最後です。一年間、ご覧いただきありがとうございました。
新年最初の更新は8日以降になると思いますが、来年もよろしくお願いいたします。


追記です(12/29)。パソコンが非常に不安定になっていて、いつ動かなくなるかわからない状態です。年末年始の忙しい時期で業者に持ち込む余裕もありません。1月8日更新を目標にしていますが、もう少し手間がかかってしまうかもしれません。また、コメントへの対応もできないかもしれませんので、ご承知ください。
※リクエスト情報

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NHKFM「ミュージックプラザ」(月曜) 1月6日は「お正月だよリクエストスペシャル」、20日は「祝誕生日 太田裕美スペシャル」です。他の日や特集に関係のないリクエストも可能です。
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カバーされた真理さん2

「カバーされた真理さん」2回目は1980年代以降です。

最初は浜田朱里さんの「想い出のセレナーデ」です。これはただのカバーではなく、浜田さんの7枚目のシングル(1982.2)としてリメイクされたものです。ちょうど2人を比較した動画がYoutubeにありましたのでお聴きください。


浜田さんはデビューが松田聖子さんや河合奈保子さんと同期で、このシングルを出したのは19歳頃だと思いますから、この曲を歌った頃の真理さん(22~23歳)と比較するのは気の毒かもしれません。Wikipediaによれば自分でも歌は下手と言っていたようですが、この歌は雰囲気もよくあっていたのではないでしょうか。

次もシングルとして発売されたものです。胡桃沢ひろ子さんの2枚目のシングル「恋する夏の日」です。1991年11月6日の発売と言うことで、どうしてそんな季節はずれになったのかわかりませんが、真理さんの誕生日の翌日ですね。


この頃になると<アイドル>がパターン化されてきたのでしょうか。歌を歌っているというより体操をしているみたいですし“アイドルらしく”元気に見せようという感じですね。そこにはスタッフの持つ「恋する夏の日」のイメージが投影されているのでしょう。ともかく健康的で元気な歌ですね。

次は浜崎あゆみさんの「水色の恋」です。私は浜崎さんのことはよく知らないのですが、歌手デビュー(1998年)から間もない頃なのでしょうか。


浜崎さんのその後のイメージからすると意外な感じかもしれませんが、きわめてストレートに歌っていますね。特に情感を込めることもなく鼻歌みたいに淡々と歌っています。

最後に一番最近のカバー、「Mプロジェクト」による「ひとりじゃないの」です。「Mプロジェクト」はキャンディーズなどを手掛けた音楽プロデューサー松崎澄夫氏が東日本大震災支援のチャリティーソングとして呼びかけ多くのアーティストの参加を得て録音されたものです。参加アーティストは、feat. 石川ひとみ, 伊藤蘭, 太田裕美, 大島花子, 桑江知子, サエラ, ザ・リリーズ, ラヴァーズソウル, 広谷順子, 中尾ミエ, 松本 明子, michiko, 山下久美子のみなさんです。


これについては以前取りあげたことがありますので、そちらをご覧ください。

また、これは最初はネットでのみ配信されていましたが、その後録音された他の曲と合わせてCDアルバムとして販売されているようです。詳しくはこちらをご覧ください。
また石川ひとみさんがその経過などについて語っていますのでお聴きください。最後(18:34~)にCDバージョンの「ひとりじゃないの」が流れますが上のバージョンとは別のようです。


今まで見てきた人たちは当時の真理さんより年下で、ちょっと幼かったり、アイドルと言うことにとらわれていたりしました。しかしこの企画は実績ある人たちが歌っていて、曲自体の良さがとてもよく出ていると思います。真理さんの手を離れたことによってこの曲の価値をより多くの人に知ってもらい、そのうえでもう一度真理さんの歌う「ひとりじゃないの」を聴いてもらえば、天地真理と言う歌手がどんなに素晴らしいうたを歌っていたか、あらためて分かるのではないでしょうか。

chitaさんから教えていただきましたが、参加メンバーの一人ラヴァーズソウル(CHIHIRO)さんは「ひとりじゃないの」を自分のライブのプログラムにも加えていろいろのところで歌ってくれているようです。“アイドルの歌”というイメージから完全に自由になって、この歌の豊かさが十分に表現されています。


そしてこんな素敵な場面もあったようです。
http://ameblo.jp/chihiro-weblog/entry-11207724120.html

こんなふうに真理さんの歌がもっともっといろいろの人に歌われて広がっていくといいですね。


※「カバーされた真理さん」は2回の予定でしたがもう一回続きます。


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カバーされた真理さん

聴き比べシリーズですが、今回はいつもと逆に真理さんの歌のカバーを特集して見ました。
真理さんの歌もいろいろの人がカバーしていて、以前はYoutubeにももっと出ていたのですが、削除されたものもあります。今回は現在Youtubeで見られるものを取り上げます。それ以外にどんな人が歌っているか、maristさんのHP「夏を忘れた海」に紹介されている自作CD「トリビュートアルバム」(「CD他」→「趣味で作ったCD」)をご覧いただくとよいと思います。

年代順に2回に分けて紹介します。今回は1970年代です。
最初は”花の中3トリオ”当時の森昌子さんの「ひとりじゃないの」です。森昌子さんはものまね名人ですが、これはものまねではなくカバーです。森昌子さんはアルバムにも録音していたと思いますがこれはライブのようです。3曲歌っていますが、「ひとりじゃないの」は2曲目で3:20頃からです。


「うまい」と言われる森昌子さんもこの時点では若いですね。現在Youtubeでは聴けないようですが桜田淳子さんも「ひとりじゃないの」を歌っていましたが、それは幼いくらい可愛いうたでした。それに比べると森昌子さんは少し大人の感じですが、真理さんの豊かな表現に比べると素朴ですね。しかしそれは年齢的に仕方ないことです。森昌子さんはこの頃はこういうポップス調の曲も歌っていましたが、基本は演歌なのでこの「ひとりじゃないの」にも、目立たないけれど演歌的な歌い方が出ていて独特なうたになっていますね。

次は森昌子さんと同年代で後に演歌歌手に成長する石川さゆりさんの「若葉のささやき」ですが、埋め込みコピーができないので、こちらをご覧ください。
http://www.youtube.com/watch?v=ZH_8BfG5VjE
こちらも明るくさわやかに歌おうとしているけれど、やはり演歌的な歌い方があちこちに顔を出しますね。

次はキャンディーズの「空いっぱいの幸せ」です。


キャンディーズは中3トリオより少し年齢が上だけに充実したうたですね。特に3人がひとりづつ交代で歌うところはなかなか表現が豊かです。しかし3人が一緒に歌うところでは、3人で合わせなければならないのでちょっと機械的になって表情が豊かとは言えないのが残念です。

次はぎりぎり70年代に入る石川ひとみさんの「想い出のセレナーデ」です。


声に透明感があって感傷的になり過ぎず、品のあるうたですね。ただ心を動かすというところまではいってないようです。
石川ひとみさんは真理さんにあこがれて歌手への道を歩んだ人ですが、他の人たちも当時、天地真理さんを目標にしていて、だからカバーも録音しているのですね。だからいずれも真理さんより年下なので、どうしても少し子どもっぽくなります。
真理さんの歌を童謡みたいとか子どもっぽいとかいう人がいます。そういう人は<曲>と<うた>の区別ができないのです。確かに同じ曲を中高生の年代の歌手が歌うと子どもっぽく聴こえます。しかしその曲を真理さんが歌うと実に豊かになるのです。同じ材料、同じレシピを使ってもできあがった料理にはおいしいものもあればおいしくないものもあります。どんな素朴な材料、どんな簡単なレシピでもとびきりおいしい料理をつくってしまう、それが天地真理さんなのです。


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愛ってなんだろ

先日、ラピュタ阿佐ヶ谷で「愛ってなんだろ」を見てきました。
よかったです。全盛期の真理さんの魅力が100%現れていました。
全編でなくとも、一部、例えばオープニングの部分だけでもテレビで放映されたら、大反響があると思います。
当時の真理さんを知らない世代の人たちも、これを見れば「空前のアイドル」であることを誰もが納得すると思います。

この日は暗いうちに一番の電車に乗って、阿佐ヶ谷駅についたのは9時半過ぎでした。地図はもっていたのですが駅の前に地図があったので、すぐ左へ行くのが近いと思って進んで行きました。だいたいこの辺だが、と言うところまで来たところで道がわからなくなりました。路地がいくつもあって、間違えたかな?と周りを見回したところ、ありました!
ラピュタ阿佐ヶ谷
「さくら貝」掲示板で見た建物が目の前にありました。でもやはり道を間違えていたようで、駐車場を横切って入口に出ることができました。
少し階段を上がって中に入ると受付には誰もいなくて「チケット販売は10時15分から」と書いてありました。実は私は10時からと思いこんでいたので、「え!どうするんだ?」と戸惑ってしまいました。そこへスタッフらしい人が来たので聞いてみたら10時半からだということで安心しましたが、そうすると時間がずいぶんあります。
ちょっとぶらぶらしてみようと外へ出て、「そうだ、近くにスクリーンコンサートの会場があったはずだ」と思いつき、記憶を頼りに歩いてみました。確か一本向こうの通りだったと記憶していたのですが、よくわかりません。気がつかないで通り過ぎたのかなと、またおなじ道を引き返していくと、何の変哲もない建物の隅に地下へ降りる狭い階段があり、その入口に小さな字で「アート・アニメーションのちいさな学校」と書いてありました。この時間、階段は閉鎖されていて降りることはできませんでしたが、場所はわかりました。でもちょっとわかりにくいですから、これから行かれる人は地図をよく見て行くのが良いと思います。
帰ってくると10人ほどの人がロビー(?)で待っていてほどなくチケット販売が始まりました。スムーズに進んでいたのですが、私の前の人でちょっとストップ。どうしたんだろうと思っていたら、窓口の人がモギリの人を呼んで「ファンクラブの人はいくらですか?」と聞いていました。慣れない人だったようですが、そうするとそれ以前の人はファンクラブの会員ではなかったということになりますね。とするとファンクラブ会員の10倍くらいの人が見に来てるということになります。もっとも、実は私も会員証が行方不明で使えなかったので、同様の人がいたかもしれませんが。

ホールの中に入ると、座席は50くらいでしょうか、小じんまりしていて、どの座席からも目の前にスクリーンがある感じで、早く見たいという期待が高まりました。上映が始まる時には半分くらいが埋まっていたと思います。

いよいよ上映が始まると、冒頭にも書いたとおり、オープニング場面から真理さんの魅力が全開という感じで圧倒されました。何と言っても大画面で見る真理さんの魅力的なこと、そしてニュープリントだけにカラーも実にきれいで、最後まで陶然と見ていました。

この映画、私は前に一度見たと思っていたのですが、記憶にない場面ばかりで、40年近く前のこととはいえこんなに忘れるはずがない、実際には見てないのに見たと思い込んでいただけではないのか、と思うようになりました。しかしところどころは見た記憶があるので、やはり見たのかもしれません。今でも、どちらかよくわからないのです。人間の記憶なんていい加減なものですね。もっとも単に私の老化現象にすぎないのかもしれませんが・・・。

作品としては明るく楽しい青春映画ですね。深い思想性がある作品ではありませんが、娯楽作品としてはよくできていると思います。しかしそれも真理さんの魅力あればこそですが。
最初の主演映画「虹をわたって」ではちょっと複雑なところもある家出娘の役でしたし、社会的なテーマも内包した作品でした。それに比べるとこちらはもっとストレートで屈託のない役なので、真理さんも自然にのびのびと演じています。また、この間、トップスターとしてさまざまな経験を積んできただけに、自信に満ちて堂々としています。

挿入歌も素晴らしいものです。この映画のオリジナルをあげてみます。「ある日突然」はパーティーの中で歌うという設定もあり、ストレートな歌い方ですが、この頃の真理さんのうたの特徴であるあふれるような生命力、生きる喜びがビンビンと感じられました。
「ある日私も」は真理さんが実際ギター弾いているかどうかわかりませんが弾き歌いの形で、テンポもちょっと遅めで始まるので最初はレコード(CD)とかなり印象が違いました。しかし次第にテンポも速くなり生き生きとしたうたになっていきます。
「幸せなら手をたたこう」は保育園の子どもたちと遊ぶ場面で歌われるのですが、最初のフレーズを聴いたところで涙が滲んできました。もちろんこの歌は楽しい歌です。なのにどうして涙が滲んだか、それは「手をたたこう」の「こう」のところを真理さんは本当にやさしく歌うのです。坂本九さんを含めてここは元気いっぱいに歌うのが普通です。そうやって気持ちをハイにしていくのですね。ところが真理さんはそっとやさしく歌うのです。それによって聴く者の心をやわらかく包み込み幸せで満たしてしまうのです。この歌をこんな風に歌った人を私は知りません。この歌で涙が滲むなんて想像もしませんでした。またひとつ、天地真理の奇跡に出会えました。
ギター弾き歌いのスタイルで歌う「若葉のささやき」もよかったです。「時間ですよ」でも弾き歌いですばらしいうたを聴かせていますが、こちらはストーリーの上での意味もあって、この曲の短調の側面、愁いが強く出ていて、レコード(CD)とは違った魅力を見せていました。

演技、表情、うた、いずれにおいてもこの映画の真理さんは光り輝いて生き生きとしています。全盛期の真理さんがどのような存在だったか、この映画によって雄弁に物語られ、消えない記録として残されたことを心から喜びたいと思います。それだけに、この映画のテレビ放映とDVD化をぜひ実現したいものです。



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「恋は水色」

聴き比べシリーズ第3回は「恋は水色」です。
この曲は天地真理さんが「時間ですよ」で初めて2階の窓に腰掛けギターを弾きながら歌った曲、いわば隠れたデビュー曲とも言える曲ですね。元々は1967年のユーロヴィジョンソングコンテストでヴィッキー・レアンドロスが歌って入賞し世に出た曲です。

ではそのヴィッキーで聴いてみましょう。原詞とその翻訳も見られます。


原詞は一般的に聴く漣健児の日本語詞とかなり違った内容ですね。それもあってヴィッキーのうたもメリハリのある情感の強いうたになっていて、日本人が一般的にもっているこの曲のイメージと少し違っています。

日本人が一般的にもっているこの曲のイメージはむしろポール・モーリア グランドオーケストラの演奏によると思います。聴いてみましょう。


流麗で明るく、ちょっと懐かしさもある、そんな演奏でした。

日本語歌詞で(おそらく)最初にシングルを出し、日本でのスタンダードのように思われているのが森山良子さんです。


これはおそらく森山良子さん19歳の時の録音と思われますが、若々しくみずみずしい声ですね。元気にあふれ晴れ渡った青空を思わせるうたです。

次に由紀さおりさんで聴いてみましょう。


ちょっと短めで比較がしずらい面もありますが、森山さんの開放的な歌い方と比べるとかなり抑えた歌い方ですね。穏やかであたたかく、実際にはよく考えられコントロールされ歌われているのですが、淡々と歌われているためにヒーリング音楽のように感じます。リラックスして気持ちがいいのですが。昼寝してしまいそうな気もします。

ちょっとめずらしい音源を見つけました。伊東ゆかりさんです。伊東ゆかりさんは中尾ミエさん、園まりさんとともに「スパーク3人娘」と言われました。いわば2代目3人娘ですね。(天地真理さんたち「新3人娘」は3代目です)この音源はテレビ番組からの録音のようです。伊東さんたちの世代のこういうライブ音源は珍しいですね。


この人らしい大げさでない小づくりな歌い方なので鼻歌みたいな感じもしないではありませんが、ちょっと甘えたような声の魅力もあって、力まずに心楽しませてくれます。「恋は水色、空と海の色」というところの歌い回しはなかなか魅力的です。

さてそれでは天地真理さんの「恋は水色」を聴いてみましょう。これはファーストアルバムですから20歳になったばかりの頃の録音です。森山良子さんの録音時の年齢とほぼ同じですね。


これまで聴いた誰とも違ううたですね。敢えて言えば森山良子さんと由紀さおりさんを併せたような感じでしょうか。森山良子さんほど元気よく弾んではいないが滲み出るような生気があり、穏やかに心を潤すようなところは由紀さおりさんに近いですが、はっきりとした起伏があります。
少し森山良子さんと詳しく比較してみましょう。まず波形を比べてみてください。上が森山良子さん、下が天地真理さんです。
波形比較

スケールの取り方など若干正確でないところもありますが、特徴はよく出ています。森山良子さんは全体を通して見るとそれほど起伏は大きくありません。ところが天地真理さんは大きな波がはっきりしています。細くなったところと大きく膨らむところが明確ですね。森山良子さんは終始あかるく元気に歌っていてあまり変化がなく、その意味では一本調子です。それに対し天地真理さんはメリハリがはっきりしていて変化に富んだ構成になっています。しかも変化は全体の構成だけではく、細部の表情にも表れています。一部聴いてみましょう。[広告] VPS

森山良子さんの場合は「青い空が」というところの「ソ・ラ・ガ」や「白い波が」というところの「ナ・ミ・ガ」を区切って歌っているのが特徴的ですね。こう歌うことで歯切れよく元気な感じが生まれていますが、その他のところはあまり表情をつけていません。
真理さんは、テンポがやや遅いこともありますが、実に表情が豊かです。「青い空が」のところはおおらかに弧を描くように歌い、「お日さまに」はそっとやさしく、まさに溶けるように、「白い波が」は波のように大きくしかしやはりおおらかに弧を描き、「青い海に」はさらにやさしく歌って、夢のような世界を紡いでいきます。
もちろんこういう微妙な表情の変化はここだけでなく全編を通じて見られます。たゆたうような繊細な色調の変化、それは私に印象派の絵画を連想させます。
モネ 睡蓮
こういう敏感さ、それは「青い海」と「水色の空」の違いに典型的に現れています。
そもそも「恋は水色」の原題は「 L'amour est bleu」です。英語では「Love is blue」ですが、ウィキペディアによれば、英語のblueには気が滅入る、不快などの意味があるがフランス語のbleuにはそういう意味はないということです。原詞からするとこのbleuは情熱的なニュアンスがあるようですね。強い青と言う感じでしょうか。実は日本では同じ「青」でもいくつもの種類がありそれぞれ違う名前があるのです。こちらを見ていただくとわかりますが、「青」は
青色
「水色」は
水色
こういう違いを真理さんのようにくっきりと歌い分けている人はいません。ともかく、きまりきったこれ見よがしの表情ではなく、一見何の技巧もないようでいながら、すみずみにまで豊かなニュアンスが通い、水に反射する光のように、刻々と表情をかえながら聴く者を夢幻的な世界にいざなっていく、それが天地真理さんの「恋は水色」なのです。

なお、本編HP「空いっぱいの幸せ」の各曲寸評もご覧ください。

※リクエスト情報

FMしばたhttp://www.agatt769.co.jp/index.htmlから。

NHKFM「ミュージックプラザ」(月曜)12月9日は「祝 ザ・タイガース再結成」、16日は「年末リクエストスペシャル」です。他の日や特集に関係のないリクエストも可能です。
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