秘蔵ライブ(4) ラブラブショー
今回は1975年6月1日放送のテレビ番組『ラブラブショー』の録音です。
『ラブラブショー』はフジテレビ系列で1970年4月から1979年9月まで日曜夜に放送された30分番組です。司会は芳村真理さんで、毎回芸能人の男女1組を招いて恋人に見立てる一種のお見合い番組でした。
真理さんは私の知る限り3回出演していると思います。1回目は当時の横綱輪島関、2回目は阪神タイガースの田淵選手でどういうわけかスポーツ選手で身体の大きい人ばかりでした。私にはどう見ても必然性のない不自然な組み合わせに思えましたが、おそらく渡辺プロが例によってくだらない気をまわして、噂にならない組み合わせを考えたのではないでしょうか。
3回目はちょうど公演中のミュージカル『君よ知るや南の国』での恋人役峰岸徹さんですからまったく自然でしたし、内容もお聴きいただけばわかる通り楽しいものでした。真理さん自身も楽しめたのではないでしょうか。
しかしこの録音を取り上げたのは、番組を紹介するためではなく、ここでの真理さんのうたの見事さを紹介したいからです。そこに注目してご覧ください。
きちんとしたデータをつけて資料的にも貴重な多くの放送録音を公開されているSugi4Geruさんの提供です。
最初の「ラブラブショーのテーマ」での真理さんのうたの素晴らしさはどうでしょう!あたたかくやさしい真理さんの声がなんともいえない幸福感を生み出しています。とくに「たとえ何と・・・・」のところの美しさは格別です。ただそれは非常に微妙なニュアンスですからもしよくわからないという方はこちらをお聴きください。これは私がオープンリールテープで録音してあったもので微妙なニュアンスが多少聴きとりやすいかと思います。ただし、最初の峰岸さんの部分が欠けていますのでご承知ください。
なお、この「ラブラブショーのテーマ」はATOZ2012さんもYoutubeにUPされています。
この番組で歌われたのは当時上演されていたミュージカル「君よ知るや南の国」から「初めての涙」「明日へのワルツ」「君よ知るや南の国」の3曲です。
実はこの3曲は私も『ミュージカル「君よ知るや南の国」メドレー』というタイトルでYoutubeにUPしています。少し趣向を変えていますが同じ音源です。
この3曲はミュージカル「君よ知るや南の国」のダイジェスト盤(プレミアムボックスではDISK8)にももちろん収録されています。また「初めての涙」と「君よ知るや南の国」はシングルのA、B面としても発売されましたが、ダイジェスト盤とは違うバージョンです。
この内、一番早いのはシングル版で1975年の5月21日に発売されています。次はこのラブラブショー版で6月1日の放送、ダイジェスト版は7月1日の発売です。もちろん発売日と録音日とは違いますので、正確にはわかりませんが、だいたいこの順ではないかと思います。公演は5月31日~6月24日ですから、シングル版はまだ役もあまり身についていない頃、このラブラブショー版は公演が始まる頃で準備が整った頃、ダイジェスト版はしっかり歌い込んだ頃ということになるのではないでしょうか。そういうことがそれぞれのバージョンの違いにも影響を与えていると思います。
シングル版は単発で売るわけですから、ミュージカルの中の1曲というよりひとつの完結した歌であり、ストーリーに関係なく万人向けという性格を持ちます。その上、上記のようにまだ歌い込んでいない頃ですからどうしても物足りないところがあります。「初めての涙」でいうと表情が平坦でどんどん流れていくような感じです。
これに対しダイジェスト版はストーリーに沿って劇的に歌われています。表情も振幅が大きく、流れを止めて<ため>をつくるようなこともかなりあります。「初めての涙」でいうと2番のはじめ、「やさしく、してくれる時は、うれしい、でもちがう、何かしら、この気持ち、わかってくれない」というところをシングル版と比べるとこの違いは一目瞭然です。
それらに対してこのラブラブショー版はいわば中間型です。かなり歌い込んできているので、ストーリー展開を頭に入れてシングルよりは劇的な表情が見られます。しかし、この場はテレビ番組であり、歌うのは3曲だけです。視聴者はミュージカルの筋書きは知りません。したがって、ここで歌う歌は単発の、それ自体として完結した歌でなくてはならないのです。そこで、ダイジェスト版よりは劇的な面は抑えられ、振幅の大きい表情というよりは細やかな表情でシングル版より深い表現をしているのです。その結果、ここでの3曲は豊かな表情を持ちながら劇的になりすぎることなく、絶妙なバランスを保った完成度の高い美しい表現に成功していると思います。「初めての涙」の同じ個所を比べてみていただけば納得いただけると思いますが、そのほかにも、3曲それぞれをじっくり聴き比べていただけば、このライブ音源の素晴らしさがお分かりいただけると思います。
もちろん、ダイジェスト版は臨場感あふれる素晴らしいものですし、「君よ知るや南の国」はシングル版も優れたものです。また、Sugi4Geruさんは「初めての涙」の多数のライブ録音を時系列的にまとめてくれていますので歌詞の変遷を含めて興味深く聴くことができます。
ダイジェスト版はぜひプレミアムボックスをお求めになってお聴きください。
アーカイブ(過去記事)へ 「空いっぱいの幸せ」へ
コメントは掲載までに多少時間がかかることがあります。しばらくお待ちください。
『ラブラブショー』はフジテレビ系列で1970年4月から1979年9月まで日曜夜に放送された30分番組です。司会は芳村真理さんで、毎回芸能人の男女1組を招いて恋人に見立てる一種のお見合い番組でした。
真理さんは私の知る限り3回出演していると思います。1回目は当時の横綱輪島関、2回目は阪神タイガースの田淵選手でどういうわけかスポーツ選手で身体の大きい人ばかりでした。私にはどう見ても必然性のない不自然な組み合わせに思えましたが、おそらく渡辺プロが例によってくだらない気をまわして、噂にならない組み合わせを考えたのではないでしょうか。
3回目はちょうど公演中のミュージカル『君よ知るや南の国』での恋人役峰岸徹さんですからまったく自然でしたし、内容もお聴きいただけばわかる通り楽しいものでした。真理さん自身も楽しめたのではないでしょうか。
しかしこの録音を取り上げたのは、番組を紹介するためではなく、ここでの真理さんのうたの見事さを紹介したいからです。そこに注目してご覧ください。
きちんとしたデータをつけて資料的にも貴重な多くの放送録音を公開されているSugi4Geruさんの提供です。
最初の「ラブラブショーのテーマ」での真理さんのうたの素晴らしさはどうでしょう!あたたかくやさしい真理さんの声がなんともいえない幸福感を生み出しています。とくに「たとえ何と・・・・」のところの美しさは格別です。ただそれは非常に微妙なニュアンスですからもしよくわからないという方はこちらをお聴きください。これは私がオープンリールテープで録音してあったもので微妙なニュアンスが多少聴きとりやすいかと思います。ただし、最初の峰岸さんの部分が欠けていますのでご承知ください。
なお、この「ラブラブショーのテーマ」はATOZ2012さんもYoutubeにUPされています。
この番組で歌われたのは当時上演されていたミュージカル「君よ知るや南の国」から「初めての涙」「明日へのワルツ」「君よ知るや南の国」の3曲です。
実はこの3曲は私も『ミュージカル「君よ知るや南の国」メドレー』というタイトルでYoutubeにUPしています。少し趣向を変えていますが同じ音源です。
この3曲はミュージカル「君よ知るや南の国」のダイジェスト盤(プレミアムボックスではDISK8)にももちろん収録されています。また「初めての涙」と「君よ知るや南の国」はシングルのA、B面としても発売されましたが、ダイジェスト盤とは違うバージョンです。
この内、一番早いのはシングル版で1975年の5月21日に発売されています。次はこのラブラブショー版で6月1日の放送、ダイジェスト版は7月1日の発売です。もちろん発売日と録音日とは違いますので、正確にはわかりませんが、だいたいこの順ではないかと思います。公演は5月31日~6月24日ですから、シングル版はまだ役もあまり身についていない頃、このラブラブショー版は公演が始まる頃で準備が整った頃、ダイジェスト版はしっかり歌い込んだ頃ということになるのではないでしょうか。そういうことがそれぞれのバージョンの違いにも影響を与えていると思います。
シングル版は単発で売るわけですから、ミュージカルの中の1曲というよりひとつの完結した歌であり、ストーリーに関係なく万人向けという性格を持ちます。その上、上記のようにまだ歌い込んでいない頃ですからどうしても物足りないところがあります。「初めての涙」でいうと表情が平坦でどんどん流れていくような感じです。
これに対しダイジェスト版はストーリーに沿って劇的に歌われています。表情も振幅が大きく、流れを止めて<ため>をつくるようなこともかなりあります。「初めての涙」でいうと2番のはじめ、「やさしく、してくれる時は、うれしい、でもちがう、何かしら、この気持ち、わかってくれない」というところをシングル版と比べるとこの違いは一目瞭然です。
それらに対してこのラブラブショー版はいわば中間型です。かなり歌い込んできているので、ストーリー展開を頭に入れてシングルよりは劇的な表情が見られます。しかし、この場はテレビ番組であり、歌うのは3曲だけです。視聴者はミュージカルの筋書きは知りません。したがって、ここで歌う歌は単発の、それ自体として完結した歌でなくてはならないのです。そこで、ダイジェスト版よりは劇的な面は抑えられ、振幅の大きい表情というよりは細やかな表情でシングル版より深い表現をしているのです。その結果、ここでの3曲は豊かな表情を持ちながら劇的になりすぎることなく、絶妙なバランスを保った完成度の高い美しい表現に成功していると思います。「初めての涙」の同じ個所を比べてみていただけば納得いただけると思いますが、そのほかにも、3曲それぞれをじっくり聴き比べていただけば、このライブ音源の素晴らしさがお分かりいただけると思います。
もちろん、ダイジェスト版は臨場感あふれる素晴らしいものですし、「君よ知るや南の国」はシングル版も優れたものです。また、Sugi4Geruさんは「初めての涙」の多数のライブ録音を時系列的にまとめてくれていますので歌詞の変遷を含めて興味深く聴くことができます。
ダイジェスト版はぜひプレミアムボックスをお求めになってお聴きください。
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